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肥前陶磁器あれこれ~

オールド香蘭社、オールド深川、古伊万里、平戸焼などを集めています。

 

王道を行く? ~染付陽刻青海波山水虎婦人文獅子耳付広口花瓶~ 

気がつくと、なんと一ヶ月もブログを更新していませんでした(汗)

言い訳ではないのですが(←?)、10月は一年で一番忙しい時期です。
我が家は、子供二人の誕生パーティとハロウィーンパーティで大忙し。
来月締め切りの原稿は書きあがっていないわ、
子供のハロウィーンのコスチュームはできてないわ・・・もう何がなんだか・・・

ホミ・バーバ!もうちょっとわかりやすい英語で文章書けんのかいっ!!!

さて・・・・

当ブログを覗いてくださる方には、古伊万里や深川・平戸などに
かなり詳しい方もいらっしゃるので、適当に書いて更新するわけにも
いかないわけです・・・・ヽ( ´_`)丿

そうやって焦っていたある日、あるブログにちょっと気になる平戸焼についての記述が・・・・

要約すると、

「平戸焼の美しさは白磁の美しさであり、それ以外は品のない作品も結構多い」。

うーむ・・・

美的感覚というものは主観的なものなので、私が美しいと思うものをそうでないと
言われるのは仕方のないことですが・・・

でも、平戸の良いものが一般にまだまだ知られていないからではないかなぁ~、とも
思うわけです。

御用窯だった割には、鍋島とくらべるとまだ知名度があまりないんですよねぇ。
海外ではそうでもないと思うのですが・・・・

しかしながら、平戸焼を応援する会員の私としては
これを黙って見過ごすわけにもいきません(笑)

というわけで、今回、ちょっと大物を紹介してみようと思いたったわけです。

それがこちら。

ど~だぁ~!
vase 1

ぐうの音も言わさぬ、いわゆる平戸焼の王道もの花瓶です。

御用窯の本領がいかんなく発揮されていますね。
時期は、呉須の色合いなどからおそらく江戸後期・幕末ではないかと見ています。

では、詳細を見てみましょう。

まず正面。
首の部分は、鶴と波。
平戸お約束の図柄ですね。

繊細な筆です。

vase 2

実はこの花瓶、三面に絵付け、首の部分は表裏に絵付け、と
なかなか凝っています。

正面の第一面は、山水画。

平戸お得意の松の木のある山水画です。

vase 3

蹟も良いですね。
あくまで個人的な意見ですが、山水画に関しては、全盛期の亀山焼を除いては
平戸焼が一番ではないかと思っています。

vase 4

獅子の細工物の耳がついています。
これでもか!というほど平戸ですね~。

vase 5

さて、第二面。
図柄は、花瓶の胴の窓絵に虎です。

vase 6

唐獅子や龍の絵付けを好む平戸焼ですが、虎もたまに見かけます。

vase 7

虎というか、虎猫というか・・・・

竹林に虎。

vase 8

絵付けが見事です。

こんな良い絵付けは、さすがの平戸焼でもめったに見かけません。

vase 10

肩や腰の部分もかなり凝っています。
腰の部分の文様は唐草でしょうか。
それとも羊歯でしょうか・・・?

ご覧の通り、花瓶全体に陽刻で
青海波が彫ってあります。

vase 9

最後の第三面は、首の部分が梅にウグイス。
胴の窓絵には、婦人が鏡を覗いている様子が描かれています。

vase 11

梅にウグイス、良いですね。
筆遣いも繊細です。

これによく似た絵付けのものが、三川内の産業文化会館で販売されている
資料に載っていました。

こちらは、1760年ごろのものだそうですが、この花瓶はそれよりは
新しいように思えます。

古い可能性もありますが、その誘惑をなんとか抑えて
あえて江戸後期と言っておきます。(笑)

vase 12

窓絵には、婦人が部屋の椅子に座って
鏡を覗いています。

vase 13

近影。

vase 14

なんとも凝った絵付けですね。
女性の顔を側面から描いていますが
鏡にその表情が写っているわけですね。

絵をつけた人、またこの花瓶を鑑賞する人の視線を
この花瓶自体が考慮して造られているわけです。

フーコーのOrder of Thingsにある ヴェラスケスの「侍女達」の章をちょっと思い出しました。

この絵付け、蹟と構成どちらも素晴らしいですね。
思わず唸ってしまいます。

vase 15

窓絵の下の部分も点描が・・・

漫画家でもあるまいし、筆でつけたのでしょうか・・。
おそるべき技です・・・・

vase 16

先に紹介した山水画と比べます。 

vase 17

一つの花瓶の窓絵それぞれの絵の趣がかなり異なることに
気づきます。

いわゆる伝統的な山水画、屏風に描かれたような珍獣画。
そして、浮世絵の構図のような婦人画。

三つの異なる、しかし江戸時代までの日本美術を代表するかのような絵が
この花瓶に描かれているのは興味深いですね。

いかがでしょう。
平戸焼も、唐子だけのうつわではなく
陽刻でも、染付でも、細工物でも有田を圧倒する技術を
持っているわけですね~。


さて・・・

この花瓶、かなり大きいんですよ。
比較するために、他の平戸焼と並べてみました。

小さいものを作らせても、大きいものを作らせても
平戸はスゴイっ!!! (←しつこい・・・)

vase 18

大きさは左から右へ、大→小ですが、お値段のほうは、実は
右から左へ、大→小なんですねぇ。
人魚の細工物、高かったなぁ・・・・( ノД`)

最後に・・・・

平戸焼についての書籍がいくつかありますので、ちょとだけ紹介します。

まず、最近購入したこちら。
北カリフォルニアのモントレーにあるアジア美術館所蔵の平戸焼コレクションです。

なかなか良いものがそろっていますよ。
でも、なぜモントレーにあるんでしょう・・・???

vase 19

お次は、長崎県佐世保市の三川内にある三川内焼伝統産業会館で販売されている本。
これ1000円ですが、値段の割りにかなり良いです!

中には、平戸焼の歴史が満載。
お買い得です。

ちなみに、伝統産業会館は入場無料ですので、ハウステンボス近辺へ行かれる方、
または有田・波佐見・嬉野方面へ行かれる方は、ぜひ足をのばしてください。

というか・・・・有田・波佐見・嬉野・三川内はそれぞれ近いので、
車だと全部一日で回れます。

vase 20

頑張れ、平戸焼~!

vase 21

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Category: 平戸焼

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Comments

No title

こんばんは。
大変ご無沙汰しています。
今回の平戸の広口花瓶、堂々として素晴らしいですね。
部分部分の解説付きなので、その素晴らしさが更によく分かります。

所で、伊万里の器によく、短足の、もっちゃりした鶴が描かれていますが、
これは「虎猫」為らぬ、「鶴鵜」的なものなんでしょうか?⁈
波に海鵜ではなく、南国で鶴を見た事が無い職人さんが海鵜を見ながら
鶴を想像して描いたのでは無いかと、しろうとはかんがえてしまいます。
余計な事を言ってすみません。ただ、予々思っていた事を訊ねる人が
周りに居ないもので・・・

話は変わりますが、ハロウィーンのキャプテンアメリカのコスチュームは
Michnoskiさんの手作りだったんですね!!! きっと可愛かったでしょうね👍🎶🎃

#- | URL | 2015/11/02 07:01 [edit]

No title

わざわざコメント、ありがとうございます。
今年のハロウィーンは、チビのキャプテンアメリカは
中国製(!)の既製品、大きいほうは、日本のお稲荷さんの
仮装をしたいというので、例の狐のお面を作りました。
(日本だったら難なく買えるんでしょうけど・・・)かくれんぼ、という
日本のブラックなアニメの仮装なんだそうで・・・
夜お菓子を求めて徘徊するお稲荷姿はたしかに不気味でした・・・

伊万里のお皿に短足の鶴ですか?
足が短い時点で、鶴ではなさそうですね・・・・(笑)
でも、おっしゃるとおり、注文にあわせて、見たことのないものを
描くのに職人さんたちは四苦八苦したのかもしれませんね。
西洋風景画のついた古伊万里も、もとはオランダの銅版画などを
コピーしたものなんでしょうけど、職人さんたちの想像力の限界を超えた
苦労が目にうかぶようです・・・
ちなみに、平戸は御用窯だったので、伝統的に狩野流のものを
手本にしたりしたそうですが・・・虎猫なのはなぜなのでしょうね・・

ブログの更新、楽しみにしていますよ~。

Michnoski #- | URL | 2015/11/02 14:07 [edit]

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