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肥前陶磁器あれこれ~

オールド香蘭社、オールド深川、古伊万里、平戸焼などを集めています。

 

日本の夏はあつうござんした・・・  (明治・深川製磁 染付透彫菖蒲文香炉) 

今年の夏は暑かったですね~。
7月の中旬から8月上旬にかけて日本へ里帰りをしていましたが
日本の夏の暑かったこと!

着いた当初は、まだ梅雨明けもしていなかったので
そうでもなかったんですが、梅雨明けしてからの暑さといったら・・・
伊万里の大川内山に行ったときは、さすがにめまいがして
ろくに窯元めぐりもできませんでした・・・

さて、里帰りではいろんな方に肥前磁器についてのお話を伺う事ができました。

こちらの宿題はさておき(←夏休みの宿題を8月30日にやるタイプ)、今日は深川忠次時代の
明治後期の透かし彫り菖蒲図香炉を紹介したいと思います。

Fukagawa koro 1

カリフォルニアの骨董商から、セットで買いました。
完品です。

fukagawa koro 2

特筆すべきは、菖蒲の透かし彫りです。
香炉の外側は、菖蒲の花と葉の部分が透かし彫りしてあり、
内部は二重構造となっています。

fukagawa koro 3

細部にわたるまで彫りこんであり、岩の部分の凹凸まで細工しています。

fukagawa koro 4

内部はこのようになっています。

ちなみに、この二重構造(外側透かし彫り)は染付龍透彫龍文酒注と基本的に同じです。

外側に透かし彫りをした容器の中に筒を入れたもので、
平戸焼の透かし彫りをした高級磁器に見られるものです。

fukagawa koro 6

さて、先に紹介したLouis Lawrence の著書Prince of Porcelainによると、
廃藩置県以後、松浦藩の後ろ盾を失った平戸焼の職人は
各自窯を開いたりしたようですが、その中には有田の香蘭社や
深川製磁などと協力して作品を世に出した職人もいたそうです。
これらの会社が発表した明治の名品には明らかに有田・平戸の合作のものも多かったようで、
ローレンス氏のこの記述が正しければ、平戸焼の高い技術と伝統を引き継いだのは
皮肉なことに過去平戸の競争相手であった有田の名門窯だったわけです。

fukagawa koro 7

このような歴史の中で起こった有田・三川内のハイブリッドな性質の好みはともかく、
私のような平戸・深川ファンにとっては、このような合作は、平戸の高い技術と深川忠次の
デザインのセンスがひとつになって生まれた結晶でありまして、早い話、おいしいわけです。

fukagawa koro 8

一粒で二度おいしい。(?)

fukagawa koro 9

蓋を取ってみました。
Double Barrel.

fukagawa koro 10

細部まで凝りに凝っています。

fukagawa koro 11

鼎。

fukagawa koro 12

蓋の裏に、富士流水。
深川と書いておりませんが、この銘は明治後期のもののようです。

余談ですが、この明治後期に作られたものの中には秀作が結構あります。
香蘭社も同様です。明治後期には、クオリティの高いものが多く作られました。

fukagawa koro 13

香をいれてみようかなぁ。

fukagawa koro 14

さて、この夏、有田のチャイナオンザパークに遊びに行きました。

chuji kan

ここでアウトレットをぶらっとして、忠次館で深川忠次の名品や復刻版などを見て
その値段にビックリしつつ、二階のティールームでお茶を飲むのが定番です。

今回、忠次館内にこの香炉の復刻版が置いてありました。
復刻版は、菖蒲の花に薄紫の色がついていて非常に美しいです。

店員さんとの会話の中で、「実はこの香炉を対で持っていますが、染付ですよ」というと
店員さん曰く、「あ、デザインでは花に色がついていますので、色がついていないのなら傷物かなにかでしょうか?」と
言われ

「・・・・・・・」
(ちがう~!!!)

と固まってしまいましたが・・・・・

まぁねぇ・・・ 

なんだかなぁ・・・・

ま、いいんですけどね。

その後、忠次館の二階のティールームでお茶しました。

ここで使用される器はすべて深川製磁のものです。
こんな風に出てくると、ついつい買いたくなってしまいます。

モダンなカップ。
横には干支の羊。

この日は暑かったので、アイスコーヒー。

chuji kan 3

チョコレートケーキ。

chuji kan 2

ここ数年、深川製磁はイタリアなどのデザイナーを組んだりして、
モダンなものを作ったりしています。

なかなかセンスがよいと思いますが、やっぱり深川の基本である忠次の図案帳のようなものを
もっとたくさん出してほしいですね~。

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Category: 深川忠次

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Comments

Michnoskiさま,

またまた魅力的なお品のご紹介、ありがとうございます。
香炉、お求めになったのですねv-354
わたしもちょっと(かなり)気になっていました。

猫脚のところの図柄は、ひとつは唐草(でしょうか?)、もうひとつは花模様と描き分けられているところを見ると、一対の注文品なのでしょうか。
もしくは、いくつかのバリエーションがあったのか、興味深いところです。
その当時、どんな方がこれを買い求めたのでしょうね。

忠次舘の対応、残念でしたね。
さいきん、若手の方が配属されたせいか、接客がうまく行き届いていない印象です。
改善頂けるよう、役職者の方にお伝えしたいと思います。

それから、忠次の図案帳のようなものをもっとたくさん出して頂きたいっていうのは、ほんとに同感です。
ここ数年、工芸品ラインの製品はほとんどが受注生産品扱いになって、明治意匠の作品との出会いの機会が減ってしまって、残念に感じています。
あとはフルオーダーで、という事なのかなとも思いますが、ちょっと勇気が必要ですよね。

jake #- | URL | 2015/08/20 08:07 [edit]

Jake様、

こんにちは!
いつもコメントありがとうございます。

なるほど自分では気づきませんでしたが
調べてみたら、香炉の猫脚の模様、一つは唐草文様
もうひとつは牡丹唐草でした!
ご指摘のとおり、対の香炉だったのかもしれませんね。
なんにせよ微妙にちがう文様は、粋!ですね。
すごいな、明治深川!!

忠次時代のものはアメリカでよく見かけますが、
この香炉は、アメリカでも有数の軍港、そして人気の保養地から出てきたものなので
将校クラスの退役軍人、またはそれなりに裕福な家庭が
所有していたのではないかと思います。
品格を感じる品物ですよね。

そうですか~
明治意匠の物は現在オーダーしないとお目にかかれないんですね。
チャイナオンザパークや本店で見かけるものがウェブに
載っていないのはそのせいなんですね。
忠次デザインのものは、今見ても全く色あせていないので
なんだかもったいない気もします。
でも、こういうものをみて「ほしい!」と思う消費者が増えないと
生産もしにくいだろうし・・・・
消費者側にも、こういう本当に良いものが喜ばれるようになってほしいですね。
モダンなものも良いけれど、明治意匠には日本の美意識が詰まっていると思います。

チャイナオンザパークのやりとりですねぇ・・・
ここの店員さんたち、
通常は非常に感じが良くて、個人的には行くのが楽しみです。
この日はたまたま、というか、この方は親切な方だったんですが
たぶんお店の物が復刻版だとご存じなかったのではないかと思いました。
まぁ、悪気はなかったと思うので無問題(笑)ですv-218

深川製磁でむしろ気になるのは、英語のウェブサイトです。
書かれてある英語が滅茶苦茶(失礼!!)なので、
作り直したほうがよいと思うのですが・・・
今度行ったときに進言したら・・・・怒られるかな、やっぱり・・・v-292




Michnoski #- | URL | 2015/08/20 17:22 [edit]

Michnoskiさま,

教えて頂いてありがとうございます。
香炉の猫脚は、唐草文様と牡丹唐草でしたか。
100%推測なのですが、色絵が一般品、染付で猫脚の部分の図案を変えたものが特注品、だったのかもしれませんね。
一対のまま手放した方も、ばらで売らなかった骨董商の方も、さすがです。
(入手されたMichnoskiさまもv-354)

一対で飾るだけではなくて、例えば一つずつ、春先から梅雨の入りまでの頃は牡丹唐草、梅雨明け以降は唐草に入れ替えて飾るのも楽しそうですね。

明治意匠の商品は、定番品以外にも、毎年4月頃にその年の図案が2パターンほど選ばれて、注文を受け付けているのですが、直営店だけの取り扱いなのであまり知られることもなく、といった感じではないかと思います。
さらに形も図案もお好みもままというフルオーダーの面白さも、もっと知られてもいいと思うのですけどね。

英語のウェブサイトは、社内(チャイナ)の方が担当されているとのことで、もしご指摘を頂けるようでしたら確認致します、とのことでした。

jake #- | URL | 2015/08/24 08:07 [edit]

Jakeさま、

なるほど、季節に合わせて香炉を使い分けるのもいいですね。
猫脚の模様の違いに気づかなければ、対だと喜ぶことも
できなかったので、ご指摘感謝します。
買った当時は、「高かったなぁ~」と思ったのですが
忠次館で香炉の値段を見てビックリ。
あの香炉一つで、こちらの対が2つ分買えると思うと
お得感もあったりして・・・v-218

明治意匠は、毎年図柄を選んでサンプルを紹介していたんですね。
赤絵地に牡丹のお皿が最近出ていましたが、実はあの明治バージョンを持っています。
明治のものと復刻版、同じ図柄ですが全体の雰囲気がやっぱり違いますね。
時代というものが出るんですねぇ・・・

Jakeさんは深川製磁会社の方をよくご存知なんですね。
ウェブの件、大変失礼致しました!v-7
使われている英語が非常に不自然で、ところどころ間違いもあったようなので
海外にアピールするにはどうかなぁ・・・と思っていました。

実は私の教え子(アメリカ人)が昨日から京都の会社のウェブデザインの仕事をしに
来日しています。昨今は、日本文化に通じたアメリカ人にウェブを作らせることも
多いようなので、深川さんもネットで海外に素晴らしい商品をアピールしてほしいですね。
今後もし機会があれば、そのように伝えてみようかな。v-14

Michnoski #- | URL | 2015/08/25 09:29 [edit]

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