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肥前陶磁器あれこれ~

オールド香蘭社、オールド深川、古伊万里、平戸焼などを集めています。

 

空想の地、 Deshima ~染付西洋風景図皿~ 

ブログのアップをし始めたら、カウンターの訪問者数が上がり、
すっかり気を良くしている今日この頃。

それならば、と満を持してとっておきの皿をアップすることにしました。

昨年、清水の舞台から飛び降りるような気持ちで買ってしまったお皿。

ご存知の方も多いと思いますが、これは1680年~1700年ごろに
出島からヨーロッパ(オランダ)へ輸出された染付皿です。
各美術館によってそれぞれいろいろな呼称があるようですが
海外の美術館やオークションハウスでは通常、

Deshima Plate、 あるいは

Scheveningen Plate、 と呼ばれています。

日本でもいくつか美術館が持っているようですね。
有名どころでは、戸栗美術館(私は行ったことがありませんが)や九州陶磁器博物館(有田)
などが所有しているようです。
あと、有田の源右衛門窯の古陶磁器館(ここはすごい!)にも一枚あるようです。


海外では、メトロポリタン美術館やその他オランダやイギリスの有名美術館が
お約束のように必ず所有しています。

deshima 1

昨年初め、メトロポリタンに行った時に、しげしげとこのお皿を眺めながら
思ったものでした。

”いつかは絶対に手に入れたい・・・・・”

馬鹿げた願いだと思われる方もいるかもしれませんが、
海外のオークションハウスでは、このお皿は結構よく見かけます。

問題は、といいますと、まぁ値段が結構するわけです。
元禄時代頃のものですので、質も輸出物としては悪くないし
なによりも、この特徴のある図柄と象徴的な名前が
実際よりもその価値を高めているわけですね。

くまった・・・

いや、こまった・・・

deshima 3

そんなある日、とあるオークションでついに出会ってしまいました。
ここで会ったが百年目(?)、ということで、もう思い切って買ってしまいました。

私にとっては高い買い物でしたが、日本人のコレクターの方が値段を聞いたら

”そんだけ??”

とか言われるかもしれません・・・・

思ったより安く買えた理由の一つに、出品者の勘違いが挙げられます。

このあたりが、この皿の面白いところなのですが、これと殆ど同じものが
中国でも当時造られていました。
出品者は、これを中国製だと思ったわけです。

もちろん、当時世界最高峰の磁器を造っていた中国製ですので
問題はないわけですが、現在チャイナバブルで盛り上がるマーケットの事情としては、
中国製の”デシマ”よりも、プランガーの方が文字通り桁違いの人気があるわけです。

そんなわけで、私の手に届く額で落とせたわけです。

ヤッター! 

deshima 2

このデシマ図柄の主な特徴としては、まず丘のある田園地帯に
3人の人物がいて、そのうち一人は牛を連れています。
遠くに建物や塔が見え、向かって右上に雲が浮かんでいるわけです。

deshima 4

この皿の呼び名は、海外ではDeshimaですが、日本では’西洋風景図”と呼ばれています。

では、ここは一体どこなのでしょう?

deshima 5

この皿について詳細を述べるにあたっては、やっぱり東インド会社(VOC)の本拠地があった
オランダの書籍から引用するのが一番良いように思います。

Christiaan Jorg 氏によるFine & Curious での記述によると、
この風景は長崎の出島ではなく、ハーグ市郊外にある漁師街のScheveningen なのだそうです。

実は、1778年にはこの皿はすでにオランダのアムステルダムで
"Scheveningen"という名で売られていました。

deshima 6

さて、この皿のもとの図柄ですが、いろんな研究がされたにもかかわらず
はっきりとした原画(版画)はわからないのだそうです。

Christiaan Jorg 氏 曰く、おそらくもとはFrijtom Style と呼ばれる
デルフトの皿の図柄からきているのでは、とのこと。

ここからが興味深いのですが、このお皿はVOCの注文により有田で生産され、オランダへ輸出されました。
もとはデルフトの皿の図柄でしたが、有田の職人の手にかかったことで図柄そのものが
ヨーロッパ人から見ると東洋的に変容したわけです。

当時のヨーロッパでの東洋趣味も手伝って、この皿はヨーロッパでは大変な人気を拍しました。
そして、遂には中国製だけでなく、デルフトやイギリスの会社が真似たものまで出回るようになったわけです。

つまり、

デルフト → 有田 →デルフト、という、巡り巡って変なサークルが出来たわけです。
これに、中国やイギリスなども加わった面白い構図になったわけです。

当時の文化は、東洋・西洋という区別のついた二分化されたものではなく
すでにグローバリゼーションを反映したハイブリッドな文化だったわけですね。

deshima 7

このお皿は、オランダでは大変人気があったので、
同じような図柄で微妙に異なるパターンのものが
皿だけでなくカップやソーサーにまでもつけられたそうです。

そういえば、出島からこの類似品のカップやソーサーの破片が
出てきていますね。

deshima 9

ふちの部分は墨はじきで波文様になっています。

deshima 8

参考までにいっておくと、中国製の”Scheveningen”(有田のコピーでないもの)は、
この右上の雲が、いかにも”チャイナ!”なんですよね。

これはこれで良いと思います。
いつか、中国バージョンのものも一つほしいところです。

deshima 10

お二人さん、なにを話しているのでしょう?

deshima 11

さて、裏をみてみましょう。

完品、と言いたいところですが、ちょっとだけ高台のふちが欠けて
修理してあります。

目跡は三つ、この皿の特長であるY字目跡、と呼ばれるものです。

deshima 12

中国製のものだと、表の判断はつきかねますが、通常は裏にこの目跡がありません。

deshima 13

使用感がちょっとありますが、まぁこれは飾り皿でしょうねぇ。

deshima 14

それにしても、300年も昔のものが、ヨーロッパでいろんな人の手に渡って
アメリカに住む私の所へやって来た、というのは、なんだか感慨深いものがあります。

deshima 15

我が家へ、ようこそいらっしゃいました。

deshima 16

おかえりなさい。



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