08 «1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.» 10

肥前陶磁器あれこれ~

オールド香蘭社、オールド深川、古伊万里、平戸焼などを集めています。

 

菊と桐 ~平戸焼菊花透彫染付鶴桐波千鳥紋燈籠~ 

今年の夏は、あろうことか中西部で過ごす羽目になりましたが
昨年は非常に楽しい夏休みを過ごしました。

有田・伊万里・唐津などを訪れて器めぐりをして周りましたし、
かの地の美味しいものを食べ歩きました。

佐賀、と聞くと、地味な感じがしますね。
華やかな福岡・博多や観光地・長崎、温泉天国の大分などと比べると
確かに地味といえば地味なのですが、一流の食材が手に入る
隠れたグルメ王国だと思います。

昨年の旅行記で、伊万里の旧鍋島藩窯・大川内山を訪れたこと
書きました。
日本一と名高い伊万里牛や、呼子ではイカを堪能しましたっけ。

もちろん食べ歩いただけでなく、もう一つの目的は
手持ちの骨董について調べまわっていたわけですが、
今日はそれにまつわる話を一つ。

一年半ほど前、イギリスの骨董商から平戸焼(らしき)磁器の燈籠を購入しました。

これです。

hirado lantern 1

珍しいのでついつい買ってしまったわけですが、その後いろいろ調べても
似たようなものは見つかりません。
強いて言えば、有田の陶祖神社に大きな磁器の燈籠がありますが
そちらはもちろん本物の燈籠です。
私の燈籠のように飾り物ではありません。

また古平戸のコレクションに、これよりももっと凝った細工を施した
燈籠がありますが、それと比べると私のものは
平戸!といえるほど、細工が素晴らしいわけでもありません。

昨年の夏、有田に出向き、香蘭社と深川製磁本店を見て周ったあと
近くの土産物屋に入りました。
このお店は器などのほかに
和の小物などを売っている店なのですが、取り立てて見るものも
ないと思われた店頭に意外なものが飾られていました・・・・

なんとそこには、私が購入したものとよく似た磁器の染付灯篭が・・・。

ビックリして店主に尋ねると、以前大川内山にある
色鍋島で有名な窯元の店から購入した、とのこと。
なるほど、底を見るとよく知られた窯元銘が書かれてあります。

hirado lantern 3

早速数日後、伊万里の風鈴祭りへ行くかたがた大川内山へ・・・
そこで例の窯元さんのお店を発見。失礼とは思ったのですが
ダメモトで聞いてみようと、飛び込んでみました。

I pad に入れてある画像を見せると、お店の人はビックリして
”なんか、こういうの昔造っていましたよね~”とのこと。

早速、伊万里市内の自宅にいらっしゃるという社長さんを携帯で
呼び出してくださいました。

ちょっと情報がわかればいいな、と思って訊ねただけだったので
申し訳ないやら、あせるやら・・・・

5分くらいして、社長さんが車を飛ばして来てくださいました。
幸運にもお話がきけることに・・・

hirado lantern 4

社長さんが仰るには、燈籠は社長さんのお父さんである
先代の時に販売されたもので
どうやら有田などが昔造っていたものに倣ったものだそうです。

社長さん曰く、

”しかし、これは有田ではなく平戸のようですねぇ~”。

色鍋島の伝統を受け継ぐ窯元の社長さんなので、
職人ではないにしても、いろんな器や美術工芸品は
鍋島と言わず有田といわず熱心に勉強されるそうですが
この手の燈籠は平戸焼の細工物で見かける、というようなことを
仰っていました。

さすが、よくご存知でいらっしゃいます。

また、その造形だけでなく、白磁の色や質感、染付の呉須の色、
蹟の具合から平戸焼だと思われたようです。

骨董商からの説明とも合っていたので、まぁひとまず安心。
イギリスの骨董商から手に入れたものだと話すと驚いていました。

hirado lantern 5

さて、この平戸焼の燈籠、裏がこのように開いておりますので、
キャンドルをいれてみたら、菊の花が浮かび上がる仕掛けになっていますが
以前紹介した丁子風炉と比べると、甚だ見劣りがします。

hirado lantern 6


hirado lantern 7

火袋を正面から見ると、透かし彫りの菊が。

火袋の側面には、五三の桐紋。

菊紋と桐紋の併用って意味があるのでしょうか。

hirado lantern 8

実はこの燈籠を手に入れた当初は、この菊紋が
皇室の物ではないか、と疑ってみたものでした。

皆さんご承知の通り、天皇家の菊は一六弁です。
私の燈籠の菊紋は十二弁。
何度数えても、四枚足りない!!!(←こればっか・・・)

桐紋は、これまた明治政府発足後の大日本帝国の時代より
日本政府の象徴として使われたものです。

さて、いろいろ調べていると面白い情報を見つけました。

明治神宮はかの明治天皇を祭った神社ですが、なんとこの神社は
授与品などに十二弁の菊紋と五三の桐紋を使うのだそうです。
天皇家ゆかりの神社でありながら、皇室にはちょっと遠慮をして
16でなく12花弁の菊の紋章を使うのだとか。

・・・ということは、これは明治神宮関連のもの?

しかしなのです・・・・

明治神宮が菊紋と桐紋を正式に自分達の紋として
使用することにしたのは昭和40年。

この燈籠はどうみても、幕末・明治初期のものです。
呉須の色合い、陶土の質感などからみても、質にこだわった平戸焼とは
思えぬ、有田などからの呉須やら陶土などを混ぜて造った
ハイブリッドな幕末・明治初期の平戸とよく似ています。

あくまで想像ですけど、この燈籠が出てきた場所を考えても
(イギリスの有名な大学都市です、ハイ)
おそらく明治時代に海を渡ってイギリスに行った政府関係者かなにかからの
贈答品だったのではないでしょうか。

(アメリカから出てきたものだと、占領時代に盗まれた!という憶測もありうるのですが
イギリスですからなぁ・・・・)

基礎には、波千鳥が。
繊細で写実的な描き方は平戸焼に良く見られます。

hirado lantern 9

竿には、また菊紋が。
しかしこちらの花弁は今度は16弁以上あるようです。

hirado lantern 10

これが平戸焼だと言われて納得がいく理由の一つに、
笠に描かれた写実的な鶴と雲の絵付けがあります。

幕末・明治時代に、西洋に高級磁器として出回った
平戸の精巧な細工物の燈籠に
同じように繊細に鶴が描かれているものがあります。
この絵付けの素晴らしさは平戸ならでは、なんですよねぇ。

hirado lantern 11

笠の絵付け、細工ともなかなかよく出来ています。

宝珠。

hirado lantern 12

側面。

hirado lantern 13

菊、桐、鶴となると、やっぱり記号論から考えて
皇室と何かゆかりがあるように思えるのですがねぇ。

hirado lantern 15

この燈籠、実は笠が火袋の部分から取れるようになっています。

この辺りの造形の確かさはやっぱり平戸ですね。

hirado lantern 16

本体の内部は空洞。

hirado lantern 17

この燈籠を最初に発見した相方は、この特異なシンボルの組み合わせに
すぐに気づきました。

”この菊紋って日本の天皇家に関係があるんじゃないの?この紋(桐)も
なんかよく見るよね。”

エ~、そうかなぁ?などと二の足を踏む私に、

”悩んでないで買えよ~、買ったほうがいいよ~!!!お国のために買うのだ~!!!”

しかし、相方の素性を考えると、明治天皇関係のものを欲しがるとも
ありがたがるとも思えなかったのですがねぇ・・・

このブログを書く際にいろいろ調べた結果、
明治神宮が12弁の菊紋と桐紋を
合わせて使っているらしいよ、と話すと、相方は大層喜んで、
”やっぱり明治時代の皇室か公的機関にまつわるものかもしれない”
と、この燈籠の謎について楽しい想像を膨らませているのでした。

どうなんでしょうかねぇ・・・・
明治天皇か明治政府にゆかりがあるものなのかなぁ・・・

そうだと嬉しいんですけどねぇ。

hirado lantern 2

みなさんはどう思いますか?


ブログ村に参加しています。
ポチッとお願いします。

にほんブログ村 美術ブログ 古美術・骨董へ
にほんブログ村

にほんブログ村 美術ブログへ
にほんブログ村


Related Entries

Category: 平戸焼

tb 0 : cm 2   

Comments

おはようございます。

今年の夏は中西部で過ごされたのですか。

今回はまた、素敵なそして不思議な灯篭ですね。
Michnoskiさんの記事はミステリー小説の謎解きの様で
ワクワクしながら読ませて頂いています。

私は素人で古美術・骨董の鑑賞の仕方を知らないため勝手な事を云うのを
御赦し戴きたいのですが、一見頭でっかちでアンバランスにさえ見える灯篭の
笠の部分が素敵に思います。造形も絵付けも良いですね。

>”やっぱり明治時代の皇室か公的機関にまつわるものかもしれない”

と、仰る相方さまのおっしゃる気持ちが良く分かります。
考えるだけでワクワクしますね。

ココペリ77 #- | URL | 2014/07/30 06:43 [edit]

いつもコメント、ありがとうございます!

ミステリー小説の謎解きは、最後に謎が明かされますが
私のブログのミステリーは、最後は”楽しい妄想”で
終わってしまうのが、悲しいところです。
素人コレクターはツライですね・・・・(笑)

でも集めたものについて、あれこれ調べたり
その背景に思いをめぐらすのがおもしろいので
まぁ楽しい趣味だと思っています。
調べる途中でなぜか脱線して、思わぬトリビアに
めぐり合うのも骨董収集の醍醐味かもしれません・・・
ん?これってスッパイブドウでしょうかね(笑)

Michnoski #- | URL | 2014/07/30 08:38 [edit]

Post a comment

Secret

Trackbacks

TrackbacksURL
→http://micnoski.blog.fc2.com/tb.php/51-e5fdb402
Use trackback on this entry.