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肥前陶磁器あれこれ~

オールド香蘭社、オールド深川、古伊万里、平戸焼などを集めています。

 

深川忠次の図案帳 

Nancy N Schiffer という人をご存知でしょうか?

彼女は、英語圏の日本の陶磁器収集家の間では多少名前の知れた人です。
幕末、明治時代とそれ以降の中国と日本の陶磁器の収集家で、
たくさん写真のついた日本陶磁器の本を何冊も出しています。

残念ながら英語圏には日本の陶磁器の本を扱うものはそう多くはありませんので、
彼女の本は自然、こちらの収集家のマストアイテムの一つになっているようです。

本を出版するくらいなので、東アジア美術の博士号でも持っているのかと思いきや、
学者ではなく、単に趣味が高じて本を書いただけのようです。

残念ながら、出版された本の全てが素晴らしい内容とは言いがたいのですが、
それでも、彼女なりの功績というものもあります。


シファー女史は、日本陶磁器の中でも、特に深川製磁と香蘭社の作品を好んで収集していたようです。
彼女のJapanese Porcelain 1800-1950は、彼女の著作の中でも
力作なのですが、この本のかなりのページを割いて、香蘭社と深川製磁の作品を紹介しています。

Fukagawa chuji 1 063

この中で特に価値があるのは、シファー女史が、深川製磁の創始者、深川忠次の図案帳の内容を
紹介していることです。

深川忠次氏は、兄が継いだ香蘭社から1894年に独立して自分の会社を立ち上げました。
それからは、あっという間に香蘭社の競争相手になります。

深川製磁のサイトによると、彼は図案帳を作り、海外の顧客のニーズに応えるべく商品を開発したようです。

この図案帳がすごい!

Fukagawa chuji 1 064

何ページにもわたる図案帳の内容は、深川忠次氏の類まれなる才能を表していると思います。
これはほんの一部ですが、本当に彼のデザインの才能は素晴らしい。
今見ても、なぜか新しいのです。100年以上も前に考案されたとは思えないのです。

深川製磁のサイトにもアーカイブとして、この図案帳がちょっとだけ載っていますが、
興味がある方は、ぜひアマゾンで。ちょっとお高いですが、
一見の価値はありますよ。(当サイトはシファー氏とはなんの関係もありませんが)

デザインが素晴らしい理由はいくつかあります。

まずは、深川忠次氏は基本にならい、Learn from the bestを実践したことです。
鍋島、有田、平戸などのマスターピースを模倣しながら、彼独自のテイストを付け加え
古くて素晴らしい日本の様式美を新しいものに作り変えてしまいました。

前書きが長くなりましたが、当時の流行、アールヌーヴォーを取り入れたデザインは
今見ても新しい美しさなのです。

さて深川ファンならば、この図案帳に出てくる図柄のものが欲しい・・・と当然思ってしまいますよね。
復刻版ももちろんありますが、これがまたお高い。

んが、しかし!
あるんですよ~、イーベイにいくと。あらら?これは見たことある、という具合に
結構深川忠次時代のものが見つかるのです。

まずは、こちら。

Fukagawa chuji 1 082

見事にアールヌヴォーの時代を反映しています。
なんとなく、金箔使いと斬新な和のデザインが
クリムトの絵を思い起こさせると思いませんか?
帝政オーストリア時代に輸出伊万里がもてはやされた事を考えると、
深川忠次のデザインとクリムトの絵に共通点があっても
そう変ではありませんね。

この図柄はもちろん図案帳にあります。

Fukagawa chuji 1 065

Fukagawa chuji 1 085

裏には、深川忠次時代特有の社銘が・・・

どこかで、深川製磁はこの時代泉山陶石を使っていた、と読んだことがあります。
泉山陶石の性質のため、小さめのお皿を作ると、真ん中が盛り上がったそうですが、
このお皿も中心は微妙に盛り上がっています。

この写真では見づらいでしょうか・・・

Fukagawa chuji 1 080

1904年のセントルイス万博に出品した深川製磁はめでたく一等賞金牌を受賞、
この作品はフィラデルフィア美術館にあるそうですが、残念ながら
一般公開はしていませんでした。

この受賞後、当然アメリカが輸出市場として大きな割合を占めるわけです。
アメリカで深川忠次時代のものが簡単に手に入るのはこのためです。

日本にいて手に入りづらかったものが、アメリカで簡単に手に入るとは・・・・
これもイーベイの魅力ですな。

それにしてもこのお皿、いつかは里帰りさせてあげたいです。
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Category: 深川忠次

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Comments

ココペリ778さん、

すみません。
せっかくコメントを頂いたのに、変なところをクリックしたみたいで
ココペリさんのコメントが見れなくなってしまいました~

深川忠次の図案帳すごいですよね。彼の商才と
デザインの才能を考えると、香蘭社を出て自分の会社を
設立した、というのは十分頷けます。このあたり、
一体どんな経緯があったのか気になるところです。

ところで、オールド深川、香蘭社ですが、国外ではオールドノリタケよりも
人気があると思います。
オールドノリタケや瀬戸物がこちらで需要が少ない理由はおそらく
西洋的過ぎるからだと思うんです。オールドノリタケの類は
西洋のあちこちで似たようなものが買えます。
深川や香蘭社は、昨今のものよりも、明治時代のものは
エキゾチックなのでものはものすごく人気がありますョ。
ちなみに、ネットオークションでは、イマリ・フカガワスタイルという
言葉があります。柿右衛門様式という言葉がマイセン物や中国物に使われますが、似たような感じで輸出伊万里の典型的なデザインのものを表す時によく使われています。そう考えると、深川人気も捨てたものではありませんね。

国内ではオールドノリタケ、国外では香蘭社、フカガワに軍配が上がると
いったら、オールドノリタケファンはむっとするかも(笑)

Michnoski #- | URL | 2013/04/25 13:04 [edit]

Michnoski さん

海外ではオールド深川、香蘭社の方がオールドノリタケよりも人気が有ると言うのは嬉しい事ですね。オールドノリタケは西洋的過ぎて・・・と言うのは、その通りと頷けます。
日本ではオールドノリタケの写真集などが多く見られるので、私はこちらの方が人気が有ると言うか、評価されているのかなと思っていました。

これからも、貴ブログを楽しませて頂きます。

ココペリ778 #- | URL | 2013/04/26 07:09 [edit]

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