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肥前陶磁器あれこれ~

オールド香蘭社、オールド深川、古伊万里、平戸焼などを集めています。

 

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一富士二鷹三茄子(後編) 

あっというまに2月の後半に入りました。
この間新春のご挨拶をば・・・と思って丁子風炉の記事を半分書いたところでした。
後編を書かないと、と思ってあせっていたらあっという間に2月になってしまいました。
新春の誓いはどこへやら・・・・面目ない・・・。うううう。

一月の下旬からやたら忙しくてPCを開けるのは仕事の時だけ、というトンデモな状態でした。
やれやれ・・・このブログに来てくださった方には本当に申し訳ないです。

言い訳はこのくらいにして、前回の続きをします。

Clove burner 1

こちらが件の、謎の丁子風炉(香炉)です。

前回のブログにも書いたとおり、丁子風炉(香炉)は、二重構造になっています。
上の段に丁子をいれて、下の段に火を入れ、丁子を煎じることで香気を発散させるのだそうです。

ということは、火を下段に入れることが前提のつくりになっているというわけですね。

この香炉(風炉)の只者でないところは、この火を入れることを計算した
透かし彫りの仕掛けにあります。

火を入れてみましょう・・・

Clove burner 11

火をいれると、透かし彫りの富士山がまるで燃えているようです。

そして・・・なんと、なんと・・・!!!
裏の透かし彫りの雲が背面の壁に映し出される、という仕掛けが。

Clove burner 2

炎が揺れると、映し出された雲もゆらゆらと揺れるわけです。
なんとも粋な仕掛けだと思いませんか?

Clove burner 3

最初に火を入れたときはビックリしました。

Clove burner 4

前回書いたように、この香炉の造形や手描きの質の高さから、
すでに只者ではない雰囲気が十分伺えるのですが
その本領を発揮するのは、実は火を入れてからこの仕掛けの妙を
目の当たりにする時なのです。

Clove burner 5

では、ひっくり返してみましょう。

Clove burner 10

雲が燃えているようです。

Clove burner 6

正面に雲がくると、背面に富士山が来ますね。
背面の壁に、富士山と朝日が映る仕掛けになります。

Clove burner 8

さて、この香炉ですが、先日レポートした夏のヒアリングに続いて
この冬も長崎でさらに二人の方に話を聞きました。
お二人とも亀山焼のスペシャリストです。

Clove burner 8

AさんーN市で有名な某骨董屋さんの紹介でお話を聞くことができました。
ご本人はディーラーではなく、亀山焼と平戸焼のコレクターだそうです。
趣味が高じて、亀山焼関連の文書や本を読まれるそうで、骨董屋さんからも
お墨付きの、亀山なら見るだけでわかる、というスゴイ方なのだそうです。
ご自分で所蔵されている亀山焼を時々美術館に貸し出すことがある、という
コレクターさんです。余談ですが、脂ぎったところのない、物静かな紳士でした。

これは一体なんでしょう?
こんなものは初めてみました。亀山かどうかはわかりませんが、こういう凝った造りの亀山焼は
みたことがありません。可能性としては平戸でしょうか?
これを亀山といわれると抵抗がありますが・・・


BさんーN市のN川の骨董街でハイクラス向け(?)の骨董・アンティークの
お店を営んでおられますが、お店のほうはどうも趣味のようです。
亀山焼のよいものを扱うようで、この方もお手持ちの亀山を美術館に入れたりすることが
あるのだそうです。若くて頭の良いデキるビジネスマンという感じですが、
脂ぎった感じはまったくなく、これまた立派なイケメンの紳士でした。
英語がお上手なので、通訳無しでお話を聞くことができました。

これはめずらしいですね。
こんなものは見たことがありません。
亀山では無いと思います。というのも、亀山焼でこんな凝った造りのものは
みたことがないんですよね。
珍しいものには間違いないと思います。

Clove burner 9

さて、謎が謎をよぶ丁子風炉(香炉)。
一体これはだれがどんな目的で作ったのでしょうか?

その答えはまだ出ていません。

しかし今のところヒントがあります。

有田・伊万里・鍋島の人たちにはこれが亀山焼に見えるということです。
おもしろいのは、この方たちはもともとは骨董のディーラーではなく
やきものを生産・販売する人たちです。

生産者なので、当然呉須の発色には並々ならぬ知識と拘りがあると思います。
なんといっても、呉須の発色によって作品の質が大きく変わるわけですから。
その彼らが口をそろえて、この香炉の呉須は有田・伊万里・鍋島の物とは
明らかに違うというわけです。

私もその意見には全く同感です。

この丁子香炉に使用されている呉須は幕末の有田・伊万里・鍋島のものとは明らかに違います。
元禄期の呉須でもありません。
そしてさらにいうなら、こんな呉須を使った日本の磁器をみたことは
ほとんどありません。

こんな含みを持たせて書くのにはちょっと訳があるんです。
実はこういう澄んだ鮮やかな呉須を使った皿を過去に見たことがあります。
清時代のチャイナでした。

そして、いま一度、同じような発色をする呉須を使った皿を最近手に入れました。
このお皿は日本製なのですが、これまた謎の多い物体Xなのです。
この話題はまた近日中に・・・・

さて、最後になりましたが、ここで気になるのは
この香炉は亀山ではない、という大方の亀山通の意見です。

亀山焼の専門の方に言わせると、この香炉が亀山ではない理由は概ね

1.こんな凝った造形の亀山焼をみたことがない
2.亀山には凝った造形の物は造れない
3.染付山水は文人画風ではあるが、香炉の下段の単純化された瓔珞文との
組み合わせは見たことが無い

4.これが亀山だとしたら大変なことになる
(美術館でもそうお目にかかれないようなお宝がなぜこんな素人の手にある?)

というものです。

このあたりのご意見は尤もですが、このあたりも亀山焼というものが
一筋縄ではいかない、謎に包まれた焼き物であることを示しています。

亀山焼には、本当にこのような凝った造形は無理なのでしょうか?

瓔珞文といえば平戸焼が有名ですが、瓔珞文と文人画の組み合わせは
亀山では本当にありえないのでしょうか?

亀山焼をサポートした長崎奉行所のある当時の長崎はこのような美術工芸品を
造る文化基盤があったのでしょうか?

1800年頃、突如長崎の伊良林に現われた亀山の窯。
もとはオランダ船が輸出荷を長崎に下ろしてオランダへ戻る際に
船のバランスを保つための、水を入れる甕を焼いたのが始まりだったそうです。

その亀山焼はおよそ60年間ほど続き、突然姿を消しました。
四期に分かれる亀山焼ですが、その全貌は謎に包まれています。
今日、日本で見かけるミュージアムピースの多くは、小曾根乾堂が亀山焼の
再興を果たした第三期、幕末のものが多いようです。

しかし、実は18世紀に書かれたイギリスの陶磁器の本には既に
亀山焼が当時の日本製磁器の最高峰であったことが
記されているのです。その時代は、亀山焼の全盛期といわれる第二期、
1820-1830年頃のものです。

なぜイギリス人は亀山焼のことを知っていたのでしょう?
その謎を解く鍵は、亀山の興りとその目的市場にあるように思えます。

実はボチボチ勝手にリサーチを始めたので
このあたりのことを考慮しながら、今後ちょくちょく亀山焼について
思うところを書いていきたいと思います。

とりあえず、今回は謎の丁子風炉を通して、肥前磁器の秘密の窓口を
覗いてみました。

次回は、軽~くデミタスカップのコレクションを紹介したいと思います。

亀山焼についてのご意見などございましたら、お知らせくださいませ。


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Category: 亀山?

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コメント

Michnoskiさま、続編を待っていましたヨ。
確かに面白い細工ですね、よく計算されています。
さて、どこの焼き物でしょうかね。
私は平戸の可能性が一番高いのかなぁーと考えています。
前所有者の説明はいかがだったのでしょうか?。
将来、Michnoskiさまが本品を譲渡される時は産窯の説明は必要になると思います。

kahohira #tGuBn3nQ | URL | 2014/02/19 02:15 [edit]

Kahohiraさま

お待たせしました(笑)。
お待たせした挙句に、この香炉はどこのものかわかりません、などというのは
全く申し訳ない、としかいえませぬ。
実はこの香炉を買った際、ディラーの方も全く素性が
わからなかったようでした。
出所は、イギリスのケンブリッジ大学のある街でした。
誰かが亡くなった際に、遺品を処分するステートセールで
骨董ディーラーが発掘したようです。
それを私が二束三文で購入したのでした。

私も最初は平戸だと思ったのですが・・・・
この呉須の色がどうしても気になります・・・・
呉須の発色が極めて似ている、亀山と思われる皿も
近日(?)紹介したいと思います。
こちらもよろしくお願いします。

ちなみにこれと平戸焼の人魚だけは手元にずっと置いておくつもりです。
地震があったらこれと人魚だけバッグに入れて逃げないと・・・・v-12

kahohira様のブログ更新も楽しみにしています。
中国の副葬品、珍しいですね~!!!

Michnoski #- | URL | 2014/02/19 18:02 [edit]

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