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肥前陶磁器あれこれ~

オールド香蘭社、オールド深川、古伊万里、平戸焼などを集めています。

 

なんという酷い事を・・・(オールド香蘭社と輸出陶磁器の悲劇)  

海外で日本の陶磁器を収集する時に、思いもかけないものに遭遇することがあります。

それがこれです。

Fukagawa vase 2

これはオールド香蘭社の花瓶です。時代は明治中期から後期にかけて。
裏は青で蘭のマークと深川製という文字がはいっています。いわゆる香蘭社が万博などで
賞を取っていた黄金時代のものです。

この色絵(エナメル)の絵付け、素晴らしいと思いませんか?
香蘭社創生期にはこんな素晴らしいものを造っていたんです。

さて、問題はこの素晴らしい絵付けではありません。
この西洋風の真鍮の細工です。
真鍮の台がつき、花瓶の口にも真鍮の花入れが内側に施されています。

こうなってしまうと生花を生ける花瓶の役割は果たせませんので、
ドライフラワーを飾るしかありません。
この細工をするために、深川の銘の入った底にはドリルで丸く穴が開けてあります。
花瓶の口縁の部分も、細工を取り外すとドリルで削った痕があり、
それはもう見るも無残な姿です。

これってどうなんでしょう・・・

Fukagawa vase 3

欧米人はよくこうやって陶磁器に穴を開けて細工を施します。

大抵は花瓶をランプに仕立てることが多く、底にドリルで穴をあけ、口縁を木片などで閉じて
電球を差し込めるようにしてみたり・・・・
こういうことをするのは、マイセンなどのヨーロッパの陶磁器会社がランプ台などを
造ったからだと思います。

花瓶ではつまらないし、棄てるには惜しいし・・・ということで、ランプ台にし直して、
実際の生活で使うわけです。

私はアンティークを実際に生活の中で活用するのは良いと思うのですが、
こういう細工をするのはどうかなぁ、と思ってしまいます。

余計なお世話ですが、これを造った職人さんたちはよもやこの花瓶がこんな姿になるとは
夢にも思わなかったことでしょう・・・

Fukagawa vase 4

エナメルの絵付けは繊細で美しいものです。

この美しい花瓶には生花が似合うと思うのですが・・・

Fukagawa vase 5

実は最近、イギリスでこれよりももっと上手のオールド香蘭社の花瓶を手に入れました。
竹林七賢人の黒地の花瓶です。
本当に素晴らしい花瓶です。

しかし、これも底にドリルで穴こそ開けていませんが、ランプとして使用されていました。
花瓶の口に木片をはめ込み、周りを接着していました。
こうなると木の性質上、温度の変化などで膨張し花瓶にダメージを与えてしまいます。

なんとか木片を取り除き元の姿に戻しましたが、案の定花瓶にはヒビが入り
結局口のところが割れてしまいました。
仕方がないので、こちらで骨董陶磁器専門の方に修理してもらうことに・・・

骨董やさんも花瓶の美しさに見とれながらも、こういう細工はしたら駄目なのに、
と怒っていました。

ふーん。

細工にもよいものと悪いものとあるんですね・・・

Fukagawa vase 6

こういうときは日本と欧米の文化の違いを感じてしまいます。

日本人は、与えられたものをどうやって活用するかということに心を砕きますが、
欧米人は与えられたものと共存するというより、
あくまで相手を変えて自分の好みに合うようにします。

西洋と日本の庭園造りにおける哲学の違いと似ているような気がします。

Fukagawa vase 7

こういう細工も、私としてはちょっとなぁ・・・という感じです。

昔読んだ本にドクターモローの島という物語がありました。
ある島にまよいこんだ主人公が、そこで人と獣を掛け合わせた実験を
繰り返す博士と出合うというストーリーです。

えげつないたとえですが、こういうのをみるとなぜかあの手の話を思い出してしまいます。


うわー、なんというひどいことを・・・・(絶句)っていう感じ?

Fukagawa vase 8

明治の輸出陶磁器の中には、多少こういう目に遭いながらも
未だスクラップにされず、欧米の各家庭で骨董美術として生き永らえているものがいます。

好みの問題もありますが、こういう細工は骨董品の価値を下げるというだけでなく
不敬罪だと思うのは私だけでしょうか?

Fukagawa vase 9

ちなみに、明治黄金期の香蘭社がランプになっているので驚いてはいけません。

これまでに、明時代、あるいは清時代の上手のチャイナのノワールも
ドリルで穴を開けられ、ランプにされているのを見てきました。

技術的には明時代のものでしょうが、いかんせん穴があいているので
底に木の葉が描かれていたのかどうかもわかりません。
色絵の技術だけが、その花瓶が只者でないことを物語っています。

この手のノワールは、アヘン戦争なので国が荒れていた時代に安価で売り飛ばされたものか
あるいは西洋の植民地闘争のどさくさで盗まれたものが殆どだと思います。
それをこんなランプにされてドリルで穴を開けられた日には、泣くに泣けません。
中国人は今日、こんな姿になった文化遺産をどんな気持ちで眺めていることでしょう・・・

Fukagawa vase 1

・・・と、なぜかシリアスに語ってしまいましたが、
実はこの細工のおかげで安価で手にはいったんですけどね・・・

いくらかって?
6500円くらいでしたよ・・・


はぁ~


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Category: オールド香蘭社

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Comments

こんにちは。

Michnoskiさん

見事な絵付けの花瓶ですね。

花の絵は香蘭社のお手の物なのでしょうが、鴨の様な野鳥も
生き生きと丁寧に描かれていて、素晴らしいですね。
特に雌雄の、羽根の色調や体型など見事に描き分けられていますね。
花瓶が華やかなので、日本流に生花を生けると花が負けそうですが、
欧米ではてんこ盛りの様に生花を生けるのでしょうか?

美しい花瓶をランプにしてしまう文化の人が、いざ売るとなると
ランプとして売るのではなく、花瓶として売る所が面白いですね。^^

ココペリ77 #- | URL | 2013/10/16 08:08 [edit]

ココペリさん、

コメントありがとうございます。
この花瓶、明治のものにしてもなかなか凝っていると
思います。いわれてみると、花瓶そのものが
国内向けに造られたものと違って瀟洒というか、悪く言うと
奥ゆかしさがない?
ワーッと沢山花を生ける人たち向けの花瓶ですね。
花に負けてません。。。
それにしてもこういう細工は日本人には考えられませんね~
でも細工までしてもとっておくということは
やっぱり最初に購入したときは良いものだったということでしょうか・・v-14

Michnoski #- | URL | 2013/10/17 08:53 [edit]

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