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肥前陶磁器あれこれ~

オールド香蘭社、オールド深川、古伊万里、平戸焼などを集めています。

 

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幕末、明治肥前陶磁器の迷宮~平戸焼(?)色絵冠形香炉~ 

6月中旬から少し早い夏休みをとって、日本に里帰りしていました。
日本を離れたその日から、関東のみならず日本は大変な猛暑だそうです。
皆さん、くれぐれも熱中症には気をつけてください。

今回の里帰り、肥前陶磁器の窯元をあれこれ訪れました。
実はとある品物の出所を知りたくて、伊万里・有田・長崎近辺の
骨董商、輸出骨董ディーラー・鍋島焼の窯元の社長さん、陶磁器博物館の
学芸員の方々など総勢8名の方々にご意見を伺い、いろんな話を聞かせてもらいました。
収集を始めたばかりのビギナーとしては、大変良い勉強になりました。
この辺りのことや旅行記も含めて、そのうちブログでアップしたいと思います。

さて本日アップするのはこちら、平戸焼の色絵冠形香炉なるものです。

いろんな角度から写真を撮ってみましたので、まずは写真をごらんください。

hirado koro 5

前から見るとこんなです。

hirado koro 4

hirado koro 3

お尻はこんな・・・

hirado koro2

香炉なので、開けてみると・・・

hirado koro1

透かし彫りが見事です。

hirado koro 14
hirado koro 13

香炉の足にも色絵が・・・なかなか凝っていますね。

hirado koro 11

さてこれは一体どこで造られたものなのでしょう?

ネットで検索すると、これに良く似たものが九谷焼や京焼にあります。
しかし残念ながら、九谷や京焼の透かし彫りの技術は、この香炉の細工には到底およびません。
陶土の性質のためか、精巧さに差が出てしまいます。

海外ではこの手の香炉はほとんど平戸焼として売られていますし、美術館でも
そのように説明されています。
さてその根拠とは一体何なのでしょう??

そのヒントは長崎歴史文化博物館にありました。

hirado koro nagasaki

この平戸焼の香炉と全く同じものを、NYの東アジア美術専門骨董老舗のフライングクレーンさんが所蔵しています。

私の香炉とよく似ていますが、博物館所蔵のものはおよそ倍の大きさです。
大きさも手伝って、透かし彫りの精巧さは全く見事です。

hirado koro 10

さて、こちらは私の香炉。
これも平戸なのでしょうか・・・

今回旅行中に出会った骨董関係の方々の9割はおそらく平戸焼であろう、といっておりますので
もともと三川内で造られたものに間違いはなさそうです。

hirado koro 9

でも問題は色絵なのです。
平戸焼というと染付けの繊細な図柄で定評がありますね。
明治時代以前色がついたものの主流は、オランダに輸出された卵殻手カップなどでした。
ですがこの手のものは日本人の美意識からすると、うーむ、という感じなんですねぇ。

明治時代以降の平戸焼には色がついたものがあります。しかし、こちらも茶色だとかベロ藍だとか
いまいち良い趣味とは言いがたいものがあります。

この香炉のおもしろさは、平戸焼特有の精巧な細工に有田や鍋島を思わせる美しい色がついているところです。

hirado koro 7

この香炉、おそらくもとは三川内で造られたものに有田で色をつけたものではないかと思われます。
このあたりのことの詳細に関しては歴史を紐解くしかありませんが、幕末期の平戸御用窯は松浦藩の庇護を
失いつつあり、かなり経営が苦しかったそうです。
明治時代に入り完全に藩の保護を失ってからは、有田のように民窯として会社を興し欧米に商品を
売り込む、という器用なシフトがなかなかできなかったようです。
しかしその技術には定評がありましたので、量産したストックを有田などに売り、
なんとか明治の荒波をしのいだのでした。

ちなみに、フィラデルフィアやセントルイス万博に出品した香蘭社や深川製磁も三川内のものに絵をつけて
欧米に良品を売り込んでいたようです。
このあたりのことは地理に明るくないとわかりづらいかもしれませんが、平戸焼の三川内、有田、波佐見は
みんな隣り合っているご近所さんなわけです。

しかしこうなると、幕末、明治時代の肥前陶磁器は生産地などの特定はかなり難しくなってきます。

長崎市の亀山焼で有名な某骨董屋さんのご主人の話ですが、幕末、明治以降はストックの行き来だけでなく、
陶磁器を造る陶土も針尾、泉山などを混ぜたため、なにがなんだかわからなくなっていたそうです。
平戸といえば、天草陶石を用いた白磁が有名ですが、幕末に造られたものによっては青みがかっていたり
呉須もいろいろ混ぜて使っていたので濁っていたり、一様には特定がしがたいということでした。

こうなるとこの時代の肥前陶磁器はほとんどカオスですね。
よほど特徴のはっきりしたものでない限り、君の名は・・・と尋ねてもラビリンスに迷い込むばかりです。

hirado koro 6

ちなみに欧米人にとってこの香炉、ナゾなのはその産地特定だけではありませんでした。

これはネットで落札したものですが、なんと出品者、これはイスの香炉(!)だと思ったようです。
曰く、もしイスでなければベビーカーの香炉かも・・・・ってそんなわけない!!!

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コメント

また、珍しい物を見せて頂き有難うございます。

見事な絵付けと透かし彫りの細工ですね。
特に透かし彫りについては、その精密な作りの工法に興味が有ります。
精密な型の中に陶土を流し込んで?????
でも鑑賞する時は、そんなことを頭から払いのけないといけないのでしょうね。

michnoskiさんの解説もいつも楽しく読ませて頂いています。
冠と烏帽子の違いも分からなかったので、今回も一つ賢くなりました。
次回も楽しみ。^^

ココペリ778 #- | URL | 2013/07/11 20:15 [edit]

ココペリ778さん、

いつもコメントありがとうございます。励みになります。

透かし彫りですが、どうも形成をした後
彫刻刀のようなもので彫りこんでいくようです。
三川内の玉泉窯さん(倒産したそうです。このへんのことは近日ブログで)
が有名でしたが、すごい技術ですよね。
硬くて成形がしやすいのは使用される天草陶土の特性だそうです。

三川内焼の博物館に行ったとき、透かし彫り体験というのが
ありました。難しそうですが次回里帰りの時にやってみたいですv-14

私も冠と烏帽子の違いがわからず改めて調べましたよ。
ブログの良いところは、調べ物をすることで知識が増えることですよね。

Michnoski #- | URL | 2013/07/12 06:01 [edit]

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