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肥前陶磁器あれこれ~

オールド香蘭社、オールド深川、古伊万里、平戸焼などを集めています。

 

The Getty Center/Museum へ行く! 

夏休み直前なので、突然ですが先日訪問したLAにあるGetty Center の紹介を
したいと思います。

以前訪問したLACMAでもそれとなく触れましたが、この世の楽園、西海岸にはただ一つ欠けているものがあります。

それは文化!
SFに居た頃も同級生にボヤいたものですが、西海岸の美術館、レベル低すぎですっ!
東海岸にいた頃は、ボストン美術館をはじめ、イェール大の美術館、NYのメトロポリタン、
そしてフィラデルフィア美術館など、ほぼ月一から毎週通っていた者としては、
西海岸の美術館のレベルは「?」でした。アートスクール出身の友達が、それでもSFのめぼしい
美術館やバークレー、スタンフォードなどの美術館など連れまわしてくれましたが、
いや~、さすがの北カリフォルニアでも全然ダメですね・・・
東海岸には全然勝てません、

予想した通り、LAも例外ではなくハリウッドの近くにあるLACMAに行ってみましたが
あまりのしょぼさに呆然としてしまいました。それにしても、このしょぼいコレクションは
どうよ?デトロイト美術館のほうが規模は小さいけど、いいもの置いてるよ?

そんなわけであきらめた感がありましたが、相方の希望で先日The Getty へ
飲茶のついでに行くことに。

「見るもん、あんの?」と感じの悪い私に、
「なんか景色がいいらしいよ。まぁ、そんなに期待せずに行こうよ!」という相方。
LAのダウンタウンを抜けて、サンタモニカを北上すると、西海岸の動脈である
高速の右手にはマルホランド・ドライブが。
デヴィッド・リンチの話に華を咲かせていると、間もなく
左手の山の上に、The Getty が見えてきました。
山の上にそびえる美術館です。
気分が上がってきました(笑)。

山の上なので、モノレール(?)に乗って行きます。
稲佐山っぽい、と思う私(。-_-。)

そして、ついに着きましたよ!
建物全般、素晴らしいですね!高台の美術館からLAそして太平洋が
望めます。景色、良すぎます!

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Getty Museum はアメリカの石油王、Jean Paul Getty の資産で創設された私美術館ですが、
そのコレクションたるや、印象派を中心になかなか良いものを集めています。

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私の世代だと、ゲティと聞けば、映画「蠅の王」のバルサーザル・ゲティを思い浮かべます。
可愛かったなぁ。バルサーザル・ゲティ。(ノ´▽`*)b☆

ジャン・ポール・ゲティはバルサーザルの曾祖父。JPゲティの長男は経営のストレスで自殺、
その孫であるJPゲティ三世(バルサーザルの父)は少年の頃誘拐され、
祖父(ゲティ)が身代金の支払いを拒否したため、
片耳を切り落とされ、その後ドラッグ中毒になった、という、アメリカのいわゆる
トンデモダイナスティを地で行きました。そのコレクションたるや、
メトやボストン、フィラデルフィアとまではいきませんが、質的には
デトロイト美術館くらいのレベルではないでしょうか。
デトロイトのコレクションの多くがフォード・ファミリーからの寄贈であるのに対し、
ゲティは寄贈ではなく、LAの一等地に自分の美術館と財団を築きました。

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太平洋を一望。
絶景です。

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カフェなどもあり、一日楽しめます。

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セザンヌ。

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有名どころでは、ゴッホのアイリス。
これは、以前フィラデルフィア美術館でヨーロッパにおける「ジャポニズム」についての展覧会で見ました。
ゴッホのトンデモ浮世絵とか、置いてたっけ。
アイリスはゲティが所蔵してたんですね~。

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印象派も結構ですが、私としてはやはり東洋磁器が気になります。

すると相方、すかさず「ここにはいろいろと古伊万里やら景徳鎮があるんだよ」と言います。
Mounted Oriental Porcelain in JP Getty Museum という本を、相方はすでに
熟読していました。

本棚にあった本を思い出しつつ、「あれ?ゲティのコレクションだったの?」と
間の抜けた質問をする私。( ノД`)
すんません。ちゃんと表紙見てなかったぜ。

さて、東洋磁器コレクションは、美術館の中のいわゆるヨーロッパの広間を再現した空間を中心に
装飾品として置いてあります。

ホラ、ありましたよ。
1680年頃から1700年くらいに作られた有名な染付の大蓋物です。

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同じものは、メトロポリタン美術館及び、イギリスの有名美術館にも所蔵してあります。

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以前紹介した染付楼閣山水文ケンディとおそらく同じ窯で作られたものではないかと思われます。
この時代の輸出染付でも高級磁器にあたるものです。

さすが、ゲティ!

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こちらは典型的な輸出伊万里。
装飾の感じからいって、ヨーロッパの王侯貴族所蔵のものだったようです。

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こちらは、対面で二つのショーケースが並んでいます。
一つは東洋磁器、と言っても、中国と日本の磁器のコレクション。
向かいは、ヨーロッパの磁器のコレクションです。

メインは景徳鎮。そして、両脇の白磁は徳化窯。一般にBlanc De Chine と呼ばれます。
和訳が「高麗白磁」となっていますが、徳化は中国福建省の窯であり、朝鮮とは
まったく関係ありません。なんで、こんな和訳なのかな?
ご存知の方、教えてください。

手前の青磁の栄螺(法螺貝か?)は元禄の頃の有田製。
素晴らしいですね。

東洋磁器の東の雄は景徳鎮、西の雄は有田、といったところでしょうか。
余談ながら、日本で磁器の祖とされる朝鮮の磁器は欧米の美術館では
ほとんど見かけません。
ご存じの方も多いでしょうが、李氏朝鮮の頃の磁器は実は19世紀に作られたものですら
初期伊万里に毛の生えたレベルなんです。
昨今、米国の有名な美術館に韓国企業がお金をばら撒き、
あちこちで韓国文化の展覧会をしていますが、このような場所でみかける
王族の特別イベントの時の使われたという龍の染付の磁器(大型の花瓶)などを見ると
正直、「・・・・」といった感じです。
当然、これらが景徳鎮と並ぶことはありません。

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さて、向かいのショーケースは、ヨーロッパの名窯のものが並びます。
マイセン、セーブルなどなど。
美の競演ですね。

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ここにも古伊万里。

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こちらの青磁は中国の景徳鎮。
景徳鎮は誰が何と言おうと磁器の皇帝です。
景徳鎮以上の窯は世界中探してもありません。
有田の美を理解すればこそ、景徳鎮のすごさを認めざるを得ません。

悔しいけど、しょうがありませんね。

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360度展望室です。

古伊万里、もういっちょう。

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ギリシャ、大理石の彫刻。
ゲティの財力、あっぱれです。

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18世紀以降のヨーロッパ王侯貴族の部屋を再現した部屋。
中国と日本の磁器は、ヨーロッパの貴族にとっては
抜きんでた経済力と社会地位の証でもありました。

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強王アウグストゥスは、景徳鎮や古伊万里を自分の所有する
戦士や奴隷などと交換したそうですよ。
こんな話聞いたら、ポーランド人の友達嫌がるだろうなぁ(笑)

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鏡の前に象の置物がありますね。

日本だと柿右衛門の象が有名ですね。
BBCの記事によると、徳川吉宗の頃に日本に持ち込まれた象は
長崎の出島からシュガーロードを通り、江戸まで東海道を上ったそうです。
京都では、天皇に象を見せるためにわざわざ象に官位まで与えたという話もあります。

当時めずらしかった象の置物は、もちろん景徳鎮でも作られました。

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今回訪れたゲティ、なかなか見ごたえがありました。
この美術館、この内容でなんと入場料は無料なんです。

JPゲティは忌まわしい話も多い人ですが、この美術館は私立としては
圧巻です。

名画を買い求め、美術館まで開いたゲティでしたが、本人が存命中は一度も
美術館には足をはこばなかったそうです。
ま、典型的な成金趣味といってしまえばそれまでですが、誰も信じきれなかった孤独な
大富豪が自身の名を残すために財産の使い道を選んだのがこの美術館設立だったのかも
しれませんね。

でも、私的には同じ成金趣味なら、唐津の高取家のほうがよっぽど好感が持てます。
財を成した後、文化的素養を得る努力をしたことはやっぱり立派だと思うからです。

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それはともかく、もしLAに行かれる方、時間があればLACMAではなく
ぜひゲティに行ってほしいと思います。
こちらのほうが断然おすすめです。
一日じっくり遊びましょう!o(^▽^)o

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