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肥前陶磁器あれこれ~

オールド香蘭社、オールド深川、古伊万里、平戸焼などを集めています。

 

輸出平戸卵殻手・一挙公開!(1) 

昨年末、平戸焼の里・三川内へ行ったことは先のブログでも
触れましたが、その際に平戸卵殻手の再現を成功させた藤祥さんに
復刻した卵殻手を見せてもらいました。
その作品たるや、本当に古い平戸の卵殻手のようで
大変感心しました。

お話によると、卵殻手を再現するのに
大変な苦労をされたそうですが、作品をみるとたしかに
平戸ならではの繊細さがあり、他の磁器の追随を許さない高品質のものでした。

さて、卵殻手というのは英語でegg-shell、つまり卵の殻のように薄い磁器のことを
言います。もとは当然中国が本場です。薄手の磁器は15世紀初期の明の時代に
皇帝に献上され、その後高級磁器として製造されたそうです。
コクトーの「呉須の秘密」ならぬ、「薄手磁器の秘密」とでもいいましょうか、
当然その製造法は外へ漏れないようになっていたわけでした。

その超薄手磁器の存在を、平戸のお殿様が知っていたのは当然のことでしょう。
なにしろ平戸は鄭成功以前からすでに中国人の町が存在するほど
中国とは文化的にも経済的にも密接に繋がった土地柄でした。
その松浦氏の命令で、御用窯であった平戸焼の職人がもてる知識と技術を
集結して見事作り上げたのが、平戸の卵殻手なわけです。

平戸製卵殻手は、文字通り卵の殻ほどの薄さであり、
「箸よりも軽い」と言われる所以は、磁器とは思えないほどの
重量の軽さによります。

私が初めて卵殻手の平戸焼を手に取ったのは、平戸井元資料館に
行った時でした。
その時の衝撃というのは大変なもので、「磁器だ」という
先入観を持つと、手に取った瞬間に大いに裏切られることになります。

もちろん、これ以前にも、〇〇紅茶専門店だの妙にカップにこだわる店などで
いわゆるエッグシェルのカップを使ったことはありましたが、それと同じだろうと
いわれると、反論せねばなりません。
また、平戸製卵殻手は明治有田が作るエッグシェルとも異なります。
どう違うかというと説明が難しいのですが、とにかくただ薄いというだけでなく、
感覚的に言うならばプラスチックで出来ているような、
それくらい軽いわけです。

素材の違いがあるのでしょう。

久しぶりに卵殻手を見たので、ちょっとインスパイアされてしまいました。
やっぱり平戸焼はすごいなぁ・・・・

・・というわけで、ついに私も重い腰を上げて、これまで収集した卵殻手(平戸製)を
プチプチから開けて、まとめて紹介したいと思います。

過去二度も引っ越したため、実はずっと箱の中に眠ったままでしたが、ついに3年ぶりの再会となりました。

お久しぶり!( ^ω^ )




eggshell 1

まずは、有名なものから・・・

(1)赤絵六歌仙 (銘:満宝山枝栄製)
eggshell 2

満宝山商舗は1871年創業。でも実際は1804年創業の平戸焼物産会社を引き継いだ
輸出貿易会社でした。

つまり江戸時代後期から行われていた平戸藩による
平戸焼の輸出は、王政復古以後はこの会社によって
継続したわけです。

eggshell 3

三川内製である兜型卵殻手。(蓋の形が兜に似ています)

カップとソーサー、そして蓋までついて
その総重量なんと89グラム!

軽い!

eggshell 4

絵付け。
手抜きなしです。

eggshell 5

光にかざすと、底の高台の部分以外のすべてが透き通るのが
わかりますね。


eggshell 11

お次は、同時代に作られたと思われる色絵の卵殻手です。
(2)色絵花鳥牡丹岩文。

eggshell 6

平戸焼は通常、染付中心で色絵はあまりありませんが
輸出用卵殻手はどうやら例外のようです。

ここに載せているもの以外にも輸出品の卵殻手カップは
色絵が圧倒的に多く、所蔵こそしていませんが
その中には錦絵(美人画・侍)なども数多くあります。

当時、平戸藩同様磁器の輸出を行っていた鍋島藩の蔵春亭(久富家)の
海外輸出用のものに影響されたのかもしれません。
いずれにしても、錦絵のついた磁器はイギリスやオランダで
よく売れたようです。くどいようですが、ヨーロッパを大いに沸かせた
ジャポニズムの先駆けに、有田焼と平戸焼が一役買ったと言ってよいと
思います。

eggshell 7

閑話休題。

この卵殻手の碗ですが、蓋だけ別銘になっています。
ミスマッチか?とも思ったのですが、所蔵している二客ともそうなので
三川内で作られて、別の場所で絵付けがされたのかもしれません。

カップに銘はありませんが、ソーサーと図柄がマッチしています。

eggshell 8

これもかなり軽いです。

カップ、ソーサー、蓋込みで総重量97グラム。

eggshell 10

平戸焼というと、その上品な染付には定評のあるところですが、
なぜか輸出用色絵は毒々しいまでの色彩を採用しています。

この場合私的には疑問がいくつかあります。
色絵は三川内でつけられたのでしょうか?
それとも別の場所でつけられたのでしょうか?
毒々しい色、と書きましたが、中国的な嗜好なんですよね。
このあたりはまだ調べているところです。

(3)染付漢詩山水文。(平戸・三川内)

これは過去にブログでも紹介しているので、詳しいことは
ここでどうぞ。

eggshell 9

上品な漢詩と山水文です。
後日改めて紹介しますが、亀山銘のものに
よく似たモチーフのもの(卵殻手)があります。

eggshell 12

(4)色絵山水家屋文。(蔵春亭・三保)

eggshell 17

お次は、有田の久富家・蔵春亭経由で輸出された平戸製卵殻手。
平戸製ながら、前述の色絵とは違う繊細で上品な絵付けです。

eggshell 18

鍋島藩である有田の蔵春亭が、平戸藩である三川内に卵殻手を注文し
絵付けをして輸出したことは、鑑札札が田代家に渡ったころから大問題となりました。
このスキャンダルが、後に他の有田の名窯(深川など)にも輸出の機会を与えることに
なるのですが、ここで特筆すべきことは、蔵春亭の銘のついた平戸製のものは
高級磁器が多いということです。

この蓋碗も例外ではありませんね。
色絵でありながら繊細で上品です。

まるでさっき窯から出てきたような美しさです。
eggshell 19

こちらはカップ・ソーサー・蓋込みで総重量100グラム。

eggshell 21

時代的には、この二つ同じころに作られたようです。
蔵春亭用はハイ・エンドですね。
1860-1870頃のものと思います。

eggshell 20

(5)染付・芙蓉手人物文。(平戸製・枝栄)

清王朝時代の輸出品を思わせる絵付けですね。
eggshell 2 01

アヘン戦争、太平天国の乱などで荒れに荒れていた中国では
輸出用磁器をつくるのもままならない時期がありました。

そこに空いた穴を埋めるかのように輸出市場にやってきたのが
有田焼と平戸焼(そして亀山焼)でした。

この時代の輸出品のモチーフ、おもしろいですね。
時には日本的なモチーフを売り込んだり、ある時は
中国製か?と思わせるようなモチーフのものをつくったりも
しています。

もとは17世紀の終わりに流行った芙蓉手の図柄から来ています。

eggshell 2 02

(1)と同時代の満宝山の輸出品ですが、光にかざすと(1)や(2)などと異なり
やや厚手に仕上がっています。

eggshell 2 03

この二つ、作られた時期はかなり近いのではないかと思います。

eggshell 2 04

ここまでは同系の兜型碗を紹介しました。
次回は、ちょっと趣の異なるものを紹介したいと思います。
卵殻手、いろんなタイプがあるんですよ。
こうご期待(?)  ヾ(・∀・)ノ

卵殻手(2)に続く・・・・

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Comments

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# |  | 2017/02/01 21:03 [edit]

T様、

はい。もう見ました!わざわざ調べてくださったんですね。
ありがとうございました。
早速お礼のコメントをしようと思ったのですが
ヤフーのIDを持っていないので、改めて
こちらのブログでお礼をしようかと思っていた次第でした。

もうちょっと早くこの卵殻手の記事をアップできたら
援護射撃になったのに、と反省しきりです。
仕事遅いですね(笑)・・・

とりあえずお礼まで。
ありがとうございました!

Michnoski #- | URL | 2017/02/01 21:33 [edit]

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# |  | 2017/02/05 05:56 [edit]

T様、

ありがとうございます。
是非見てみたいと思います。

わざわざご連絡、ありがとうございました!

Michnoski #- | URL | 2017/02/06 10:04 [edit]

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