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肥前陶磁器あれこれ~

オールド香蘭社、オールド深川、古伊万里、平戸焼などを集めています。

 

明治意匠の魅力 

海外で骨董を収集する私の趣味は、国内のコレクターの趣味とは
若干異なるようです。

本来なら、染付の蕎麦猪口とか集めて、日本人の美意識である
「粋」とやらを見出したり楽しむべきなんでしょうけど、海外市場には
あんまり蕎麦猪口とかないしなぁ・・・・

それに、正直なところ蕎麦猪口って
あんまり魅力を感じないんですよねぇ・・・・( ̄^ ̄)ゞ
トキメキがないんだなぁ、これが・・・

それよりも、どちらかというと輸出物に心惹かれます。
海外市場で戦った日本製品の持つドラマ性に魅かれるのかもしれません。
ま、あくまで趣味の問題なんでしょうけどね(´・Д・)」

さて、今日は明治香蘭社のデミタスカップを紹介します。

demitasse.jpg

これぞ明治意匠!
キラキラしているのに上品なのはさすが明治香蘭社!
うぅ~む!これはトキメク!

万国博覧会に出品していた頃のものでしょう。
香蘭社の歴史の中でも、最盛期のものだと言って良いと思います。

demitasse2.jpg

松竹梅のモチーフです。
窓絵には、松・竹・梅の花が入ります。


こちらは竹。
demitasse3.jpg

窓絵の間には、これまた明治意匠のお約束、鳳凰と桐。

皇室御用達らしい意匠ですね。
鳳凰と桐は天皇にちなんだのでしょうか。

demitasse 4

カップとソーサー。
裏面は染付で蘭のマークが入っています。

demitasse 5

カップの内側にも絵付けがしてあり、かなり手が込んでいますね。
明治はやっぱりすごい時代だったのだと、改めて思わされます。

demitasse 6

ソーサー。
まったく手抜きがありません。

demitasse 7

近影。
写真を撮るのが下手なので、このカップの絵付けのすごさが
わかっていただけるかどうか・・・・

demitasse 10

デミタスですが、他のコレクションと比べてこれは若干小さめに作られています。
平戸に発注された卵殻手ではないので、有田で造られたものなのでしょう。

demitasse 11

明治のデミタスを並べてみました。

右から、深川製磁(明治後期)、香蘭社(明治中期)、香蘭社(明治中期)。

demitasse 8

個人的には深川製磁の製品が好きな私ですが、明治香蘭社の製品には
どうにもあらがい難い魅力があります。

深川製磁のものはモダンで洗練されていますが、香蘭社のものは
豪華絢爛で勢いがあるように思えます。

こういう美しいものを見ると、本当に昨今の流行りには不満を感じます。
北欧系などの「こんなデザイン、子供でも描けるわ~」と思うようなものが
若い女性や奥様達の間で流行っていますね。

こういうものをかわいいとかモダンだとか愛でるのは個人の勝手ですが、
これが主流となり、昨今主流であるがゆえに、こういうものが「良いもの」なのだと
認識されるようになると、「オイオイ」と思ってしまいます。

流行りというものは、それはそれで結構ですが
良質の文化というのは時間が経っても色あせないものです。
メディアというのは、そういう良質の物やそれを作り出す人材を
守る義務があると思うのですがねぇ・・・・

過度な商業主義も考えものです。
日本の文化がアメリカ文化のような中流レベルに停滞するのは
いかがなものでしょう・・?( ̄^ ̄)ゞ

それにしても、ポストモダンだと理論ではツッパっても、
根っこは案外権威主義的な私であります(汗)
馬脚をあらわした私・・・・
ハハッ    ヽ( ´_`)丿

demitasse 9

でも、まぁ良いものは良い!150年経っても良い!
これは一つの真理なのであります!


(おまけ)

メキシコ国境の街にある和菓子屋さんへ月一くらいで
車を走らせる私。

これで$13  

sweets.jpg

ご主人は、敦賀の人だそうです。
アメリカに来たくて、なにか一つ技術を身につけねば、と
和菓子を勉強したそう。

LAにも和菓子屋さんはありますが、ここのは本当に
おいしくて日本人むけです。

アメリカ人にも人気のお店ですが、ご主人は
そんなことはどこ吹く風。

「なんで、こんなもん人気あるの?こんなん日本だったらどこにもあるよねぇ?
珍しくもなんともないけど・・・あの人(アメリカ人)たちには珍しいから
こんなとこまで買いに来てくれはるんかなぁ・・?」と言っておりました。

その昔、長崎市でのお茶会で出される和菓子は
平和公園近辺にある和菓子店というのがお約束でした。
白あんは甘すぎず上品、しかもお値段もお手ごろ価格でした。

ここのお菓子は、見た目は一流和菓子店のものには
及びませんが、味は長崎のあのお店に近いと思います。

まぁ、アメリカにも宗家源吉兆庵だの、神戸風月堂とか
あるんですけどねぇ・・・
有名店のって高いばっかりで、味はそうでもないよね・・

皿は明治の有田。

arita 1

こちら、皿は大聖寺。

敦賀のお菓子なので、大聖寺の皿がよく似合っています。

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ごちそうさまでした。

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Category: オールド香蘭社

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見立てる (古平戸・染付梅花雪月文硯屏) 


渡米する前、ずいぶん昔の話ですが、長崎市の諏訪神社内にある
諏訪荘というところで茶道(裏千家)を習っていました。
仕事帰りの土曜日には、車を走らせて通ったものでした。

お茶を習って「おもしろいなぁ」と思った事のひとつに
「見立てる」ということがあります。

日本人って、想像力が豊かですね。
いろんなものを、別のものに見立てて
様々なものたちを記号としてパズルのように組み合わせながら
最終的により大きな意味をなす文化記号を
与えられた場に作り上げます。

茶会に招かれた方も、亭主にそのような意図があることを理解し
もてなしを受けなければなりません。
もてなしという芸術を理解し楽しむのに必要なのは
まさにこの文化記号を解読する能力、つまり文化リテレシーなのですね~。

と言うと、文化を楽しむことや必要とされる文化素養がまるで
西洋的無機質で味気ないものに聞こえてしまうのは残念ですが、
要は文化を楽しむには、ある文化の一領域だけに精通するのではなく
いろいろな領域に触れておかないとならないということでしょう。
そうやって教養を養って初めて文化の暗号解読ができるのではないかと思います。

見立てるという文化は、そのような教養がいかに高いレベルで求められているかを
示すように思われます。もし、ものの表面的な形しか理解できないと
何を何に見立て意味を成そうとするのか理解できないわけですから。

・・・・とあれこれうざったくポストモダニズム論を繰り広げているのには
ワタクシなりに理由があるのです。

前置きが長くなりました。
本題に入りましょう(・Д・)ノ

こちらをご覧ください。
古平戸の硯屏です。

screen 1

あちこちの有名な本に掲載されているそうで、一般的には
染付・梅花雪輪文硯屏と呼ばれるものです。

三川内の産業会館で入手可能な資料によりますと
制作年代は幕末。

思ったより古いですね。
大正時代頃のものと思っていました。

輪文のベースに梅の花木の細工、そして雪が描かれています。
文化レベルの高いことで知られた松浦藩の御用窯らしい
作品ですね。

書道具へのこだわりには、藩の文化教養の高さがうかがえます。

screen 2

近影。
梅の花。
screen 3

梅の木と枝。
古典的な図柄です。

screen 4

雪。
南国の作品らしく、雪も細雪というよりも
牡丹雪っぽいですね。

余談ですが、これと全く同じ図柄の雪(と桜)の
火入れを嬉野の源六窯が明治時代に造っています。
(源六と亀山・平戸との関係はまた改めて書くことにします)

screen 5

ひっくり返して、もう一面を見てみましょう。
同じく梅と雪ですが、微妙に図の構成が異なります。

screen 6

先に紹介した面は、梅の木が丸く曲線を描いており
まるで太鼓橋のようにも見えますね。

こちらは、まぁ普通の梅の木です。
曲線が美しいです。

screen 7

近影。

screen 8

さて、この梅の花と雪の硯屏ですが、最初購入した際
「輪文に梅の花かぁ~」というと、相方が
「輪文じゃなくてこれは月でしょ?白居易の詩にある雪月花だよ」と言いました。

そうだったのか~!!!

screen 9

・・・というか、まぁそうでしょう。

こうやって暗い背景に置いてみると
まさに月ですね~!

screen 10

白居易の雪月花とは「雪月花時最憶君」のこと。

自然の景物が美しい時に遠くにいる大切な人
(中国人の場合は同性の友人)を想う、ということです。

雪月花、というと日本人の場合、大伴家持の
「雪の上に 照れる月夜に 梅の花 折りて贈らむ 愛しき子もがも」を
思い浮かべる方もいるかもしれませんが、
平戸松浦藩は中国文化教養に通じた藩だったことを考えると、
雪月花というテーマは白居易にちなんだものと
考えるのが正解ではないでしょうか。

いずれにせよ、梅花雪輪文と呼ぶよりも梅花雪月文と呼ぶほうが、
この硯屏によく似合っていることは間違いありません。

雪月花という漢字の組み合わせが東洋の美的感覚と融合して
なんともいえない優美な趣をこの作品にもたらします。

言語という記号(テクスト)が、コンテクストに取り込まれ
二次的な意味をもつ瞬間です。

ロラン・バルト、ミシェル・フーコーバンザイ~ ヾ(o´∀`o)ノ

screen 11

さて、裏を見てみましょう。
下部に小さな穴が開いていて、中は空洞になっています。
型に入れて成形したのでしょう。

この裏の土の質感、触った時に思わず
「あれだ~!」と叫んでしまいました。

以前紹介した三彩唐獅子の底の質感と全く同じです。

あれはやっぱり平戸だったんだと、この時思いました。
平戸がなんらかの理由で三彩風(釉薬でなく色をつけている)の
唐獅子を作り、輸出用にいくつかヨーロッパに売り込んだのでしょう。
これと同類、あるいは三彩風の肥前磁器を見たことがまだないので
一体どれほど作られ輸出されたのかはわかりませんが・・・・

平戸だったのかぁ・・・・
まぁ、そうだよなぁ~。大きさとかもほぼ同じだしねぇ。
中国の三彩っぽく作って輸出したけど売れなかった、というのが
本当のところでしょう・・・・

余談ですが、中国製の三彩唐獅子はオランダにかなり輸出されていました。
そりゃそうだ。( ̄^ ̄)ゞ
なにしろ、オランダ王家の紋章は青地の金色のライオンですからねぇ。。。。

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側面。

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雷文。

screen 14

輪文でなく月文だと思って改めてみると、
最初にお見せした面の太鼓橋のような梅の木が
今度は月にかかった雲のようにも見えてきます。

screen 15

日本人の美意識というのは、表面的な意味や形だけを楽しむのではなく
それぞれの記号によって作り上げられた表象を読み取り楽しむところにあるのだと
痛感します。

日本文化はまさに表象の帝国ですねヾ(・∀・)ノ

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Category: 平戸焼

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