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肥前陶磁器あれこれ~

オールド香蘭社、オールド深川、古伊万里、平戸焼などを集めています。

 

 平戸焼 染付和犬置物 (幕末・明治初期) 

明治日本の産業革命遺産が世界遺産に登録される予定ですね。
いや~、喜ばしいことです。

19世紀のアジア諸国が西欧諸国に植民地化されていた時代に
急速に近代の産業革命を成し遂げた日本の偉大なる功績を称えるのは
別に歴史を書きかえるわけでもなければ、その後の軍国主義を
賞賛するわけでもありません。
きちんと、後世に語り継がれるべき輝かしい歴史だと思います。

さて、世界遺産と言えば、来年は「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」が
登録されるそうで、長崎市にとっては(うまくいけば)軍艦島に続き、大浦天主堂と
観光客がますます増えることになり、これまた喜ばしい限りです。

里帰りするたびに、故郷が観光で潤っているのを見るのは嬉しいことですが
その反面、長崎市以外の土地に行くと、あまり活気がないのが気になります。

個人的には、平戸などは歴史も古く、見所も多いと思うのですが
長崎と比べるとマーケティングの仕方が悪いと言うか、
イマイチ感がありますね。

でも平戸って歴史を紐解くと
いろんな話題があって、なかなか面白い土地なんですよ。

台湾の国父である鄭成功は平戸藩士の娘と中国人のハーフでした。
彼の誕生地は平戸です。

漢民族の明王朝が、女真族に滅ぼされようとしていた時代
明のために最後まで戦った鄭成功の忠誠心を
「いよっ!サムライ!」などと褒めたら中国人に怒られそうですが
ああいう忠誠心は、やはりなんとなく日本的ですね。

平戸は、アメリカ人観光客にとっても魅力があるように思えます。
リチャードチェンバーレン扮するTVドラマのShogunの
主人公のモデルとなった三浦安針が最期を迎えた地も平戸でした。

平戸観光を盛り上げるには、平戸と外国人との接点に焦点をあてた
戦略をたててはいかがでしょう。

さて、平戸観光をサポートするわけではありませんが
今日は平戸焼の和犬の子犬の置物を紹介します。

じゃーん。

hirado dog 1

現在はコスモポリタンなどという言葉とは結びつかない平戸ですが
幕末から明治にかけて、平戸焼はヨーロッパ人に愛され
特にイギリスに多く輸出されました。

hirado dog 2

フラッシュなし。

平戸お得意のひねり物。

顔を正面から捉えてみました。

hirado dog 3

アップ。

hirado dog 4

なにが素敵かというと、やはりこの丁寧な細工ですね。

平戸焼のひねりものは、どんなに小さいものでも
通常、目がきちんとくりぬいてあります。

目が呉須で描いてあるものは、平戸焼ではないことを
疑ったほうがよいでしょう。

hirado dog 5

台。
平戸ならではの繊細な絵付けです。

呉須の色や、絵付けの繊細さから
おそらく幕末、明治初期のものと思われます。
まだまだ、御用窯の本領を十分に発揮していた時代ですね。

後ろ姿。

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血統の良い和犬の判断の一つは
尻尾が綺麗な弧を描いていることですが
この犬も、ちゃんとそのあたりを押えています。

hirado dog 7

置物の後ろ姿。

hirado dog 8

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さらにアップ。

hirado dog 10

こうしてみると、平戸焼のひねり物がただの置物と違うのがお分かりいただけると思います。
造形の確かさだけでなく、そのつくりの細やかさ。
犬の毛並みをきちんと全身彫って表現しているのが見えますか?

hirado dog 11
hirado dog 12

ちなみに、この手の犬は掛け軸などにかかれていますね。
応挙などのものが有名だそうですが、どうも秋田犬の仔犬なのだとか。

私も昔柴犬を飼っていましたが、日本の犬はかわいいですね。
ちなみに、アメリカでもShiba-inu として、結構人気があるようです。
柴を散歩させているアメリカ人、得意げです

hirado dog 13

底。
穴がありますが、水滴ではないようです。
輸出用のペーパーウェイトだと思います。

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平戸焼の完成度の高さが、目の利くイギリス人に愛されたのは道理です。
イギリス人の書斎を、きっと美しく飾ったことでしょう。

hirado dog 15




おまけ

ミシガンで飲茶。
NYやカリフォルニアの飲茶とは比べ物になりませんが
これなしでは生きていけないなぁ・・・・

dim sum 1

ごちそうさまでした。

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Category: 平戸焼

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古伊万里・ヴィヴァルディ・ストラディヴァリウス 

先日、うちの長女の通う某大学のコンサヴァトリーで、
とあるオーケストラのコンサートマスターの方が
客員教授としてレッスンをしてくださることに・・

うちの娘は一応ジュニア[9歳)なので、僭越といえば僭越。
でも、まぁこんな機会はめったにない、とずうずうしくも、
お茶を濁す程度にヴィヴァルディを弾かせてもらいました。

弾いている本人は堂々としたものですが、それをみている
ワタクシの背中には冷や汗が・・・・・

さて、このコンサートマスターの方が所有しているヴァイオリンはガダニーニ。
有名なストラディヴァリウスではありませんが、一応三大ヴァイオリンの一つといわれます。
(日本では、ガダニーニではなく、アマティなんだそうですが・・・)

文化・芸術の類と言うのは不思議なもので、
時間と共に進歩するというわけではありません。

今日、ストラディヴァリウスを所有するには何億と言うお金がかかるそうですが
ガダニーニでもやはり億単位の値段がつくそうで、
現在のテクノロジーや進歩した知識をもってしても、
この17世紀から18世紀にかけて造られたものと同じクオリティの
ヴァイオリンを製造することは不可能のようです。

古伊万里も同じこと。
17世紀後半から18世紀前半に造られた高いクオリティの
磁器の数々は、その後時間が経ち、技術が進んだからといって
真似できるものではなかったようですね。

2 fish 1

さて、この染付魚形皿は、明治以降に欧米への輸出品として
多数造られたものです。

このブログでもいくつか紹介しましたが、
骨董を集め始めた頃は、魚形皿が
ほしくて、ほしくてたまりませんでした。

その当時から、ほしいなぁ~、と思っていたのがこのお皿でした。

2 fish 2

鯛ですよ、めで鯛。
やっぱり鯛の刺身を盛るのでしょうか・・・
オバマさんちの晩餐会のように・・・

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繊細な絵付けですね。

有田は黒牟田あたりの窯で多く焼かれたという
この輸出魚形皿。

梶謙さんあたりが有名ですね。
今でも木製の型をちゃんと保存されているそうです。

2 fish 4

裏はこんな感じです。
銘は大明萬歴年製。

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高台なども結構きちんと丁寧に造られています。

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単品で見ると、なかなかいい皿だと思うのですが、
1680~1700年ごろ造られたものと比較してみると
その差は歴然としています。

このお皿、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。
江戸中期に造られた魚形の染付皿。

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1670~1700年ごろ造られた染付魚文魚形皿です。

実は、炭鉱王、高取伊好が所有し、近年九州陶磁博物館に寄贈されました。

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この時代特有の呉須の発色。
素晴らしいですね。

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ヒゲがあります。

鰓や鱗にもきちんと凹凸がついて、細部にわたるまで
なかなか手の込んだ造りです。

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濃淡の付け具合も良いです。

2 fish 11

尾のところにわずかなカケが見られます。
この欠け方も、この時代の古伊万里に良く見られます。

欠けた、というよりも、誰かがバリッと噛み付いたようなあとです。
以前紹介した輸出古伊万里の染付西洋茶碗の欠けとよく似ていることが
お分かりになると思います。

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裏は、宣明年製。

高取氏の物は、波文だそうですので、裏の造りはちょっと違うようです。

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陶石の質も良いですね。
仕上がりが全体的にシャープです。

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さて、今度は時代を超えて有田で造られた魚形皿を
並べてみます。

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質の高さに差があるのは一目瞭然ですね。

明治以降に造られた皿は、単体では良いですが
こうして比べてみると、全体的にボンヤリした印象です。
呉須の発色も比較になりません。

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元禄期(と呼んで良いものか・・)の皿は、造りも丁寧。

こうして比べると、死んだ魚と生きている魚を比べているようです。

文化のクライマックスに造られたものというものは、
技術や知識だけでは説明できないものがあるようです。

中国も同様です。
中国の陶磁器のクライマックスのひとつは康熙帝の時代です。

清の時代に官窯が随分苦労して、明時代の焼物を
模倣しようとしてその質を高めたのは有名な話ですが
康熙年製のものは元禄同様、一つ頭の抜けた高品質のものとして
東洋美術史の中で高く評価されます。

さて、文化のクライマックス、といえば、浅田次郎さんの「蒼穹の昴」で
この時代に康熙帝に使えたイタリア人画家・ジュゼッペ・カスティリオーネが
友人・アントニオ・ヴィヴァルディに手紙の中で対話をする場面が出てきます。



娘のレッスンで、ヴィヴァルディのコンチェルトを聴きながら、ふと
「そういえば、ヴィヴァルディもストラディヴァリウスも康熙の時代なんだよなぁ~」と
変なことを考えてしまいました。

17世紀中期から18世紀初期、というのは
世界の文化史において、神がかった時代だったわけですね。

どこがどう違う、という説明は難しいですが、
その根本的な違いというものは、きっとその時代の言説を生きた人にしか
わからないのかもしれません・・・・

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Category: 古伊万里

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