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肥前陶磁器あれこれ~

オールド香蘭社、オールド深川、古伊万里、平戸焼などを集めています。

 

輸出明治有田・魚形皿(青木兄弟商会) 

あっという間に10月も終わりに近づきました。
もうすぐハロウィーンですね。
我が家は子供のハロウィーンの衣装作りに追われています。
今年は娘は狼少女(?)になるそうで、ナゼ?と思っていたら
おおかみこどものゆきとあめ、という日本の映画を観たからなのだそうです。
完成しつつある衣装は狼男なんですがねぇ・・・・
ハロウィーン当日怒ること間違いなし・・・

さて、10月も終わりと思うと焦りを感じます。
大学の中間テストも終わり、やれやれ・・・なのですが
今月もあんまりブログをアップできていませんね・・・
定期的にブログを覗いてくださる方がいらっしゃると思うと心苦しいです。
ページを開けても、いつも同じ写真が出てくるとそのうち来てもらえなくなるかも?

というわけで、輸出有田の皿をアップしてお茶を濁すことにしました。

Fish plate 1

ベロ藍が鮮やかな明治の輸出有田です。
海外で人気の魚形皿です。
以前ブログで紹介した染付魚形皿がありましたが、今回はスタンダードな一枚を紹介したいと思います。

Fish plate 2

鱗は金で縁取られなかなか凝っています。
細部も丁寧に色がつけられています。

かなり大きい皿ですが、刺身でも盛ったらよいのかな?

Fish plate 3

Fish plate 4

このベロ藍は好みが分かれるところでしょう・・

Fish plate 6

裏は明治時代に会社を興した青木兄弟商会の銘が入っています。
青木兄弟商会は青木甚一郎が明治三十二年に設立した会社ですが、当時は
香蘭社に次ぐ有田を代表する会社だったそうです。
明治時代有田陶磁器を欧米に輸出しました。

Fish plate 7

角に青の銘はこの会社設立時に使用したものです。

Fish plate 8

この皿がほしかった理由は、以前も取り上げたアメリカの古伊万里収集家ナンシー・シファーの本
Japanese Porcelain に載っていたからでした。

背表紙の皿を見ながら、こんなの買えたらいいなぁ、とか思っていたわけです。

あれから6ヶ月、意外と早く購入することができました。
値段もそう高くなく買えて、めでたしめでたし。

Fish plate 9

まぁ、ナンシー・シファー氏が所有している皿のほうが出来は一枚上なんですけど。
ニアピン賞ということで・・・

Fish plate 10

次回はもうちょっと面白いものをお見せします!

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Category: 古伊万里

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なんという酷い事を・・・(オールド香蘭社と輸出陶磁器の悲劇)  

海外で日本の陶磁器を収集する時に、思いもかけないものに遭遇することがあります。

それがこれです。

Fukagawa vase 2

これはオールド香蘭社の花瓶です。時代は明治中期から後期にかけて。
裏は青で蘭のマークと深川製という文字がはいっています。いわゆる香蘭社が万博などで
賞を取っていた黄金時代のものです。

この色絵(エナメル)の絵付け、素晴らしいと思いませんか?
香蘭社創生期にはこんな素晴らしいものを造っていたんです。

さて、問題はこの素晴らしい絵付けではありません。
この西洋風の真鍮の細工です。
真鍮の台がつき、花瓶の口にも真鍮の花入れが内側に施されています。

こうなってしまうと生花を生ける花瓶の役割は果たせませんので、
ドライフラワーを飾るしかありません。
この細工をするために、深川の銘の入った底にはドリルで丸く穴が開けてあります。
花瓶の口縁の部分も、細工を取り外すとドリルで削った痕があり、
それはもう見るも無残な姿です。

これってどうなんでしょう・・・

Fukagawa vase 3

欧米人はよくこうやって陶磁器に穴を開けて細工を施します。

大抵は花瓶をランプに仕立てることが多く、底にドリルで穴をあけ、口縁を木片などで閉じて
電球を差し込めるようにしてみたり・・・・
こういうことをするのは、マイセンなどのヨーロッパの陶磁器会社がランプ台などを
造ったからだと思います。

花瓶ではつまらないし、棄てるには惜しいし・・・ということで、ランプ台にし直して、
実際の生活で使うわけです。

私はアンティークを実際に生活の中で活用するのは良いと思うのですが、
こういう細工をするのはどうかなぁ、と思ってしまいます。

余計なお世話ですが、これを造った職人さんたちはよもやこの花瓶がこんな姿になるとは
夢にも思わなかったことでしょう・・・

Fukagawa vase 4

エナメルの絵付けは繊細で美しいものです。

この美しい花瓶には生花が似合うと思うのですが・・・

Fukagawa vase 5

実は最近、イギリスでこれよりももっと上手のオールド香蘭社の花瓶を手に入れました。
竹林七賢人の黒地の花瓶です。
本当に素晴らしい花瓶です。

しかし、これも底にドリルで穴こそ開けていませんが、ランプとして使用されていました。
花瓶の口に木片をはめ込み、周りを接着していました。
こうなると木の性質上、温度の変化などで膨張し花瓶にダメージを与えてしまいます。

なんとか木片を取り除き元の姿に戻しましたが、案の定花瓶にはヒビが入り
結局口のところが割れてしまいました。
仕方がないので、こちらで骨董陶磁器専門の方に修理してもらうことに・・・

骨董やさんも花瓶の美しさに見とれながらも、こういう細工はしたら駄目なのに、
と怒っていました。

ふーん。

細工にもよいものと悪いものとあるんですね・・・

Fukagawa vase 6

こういうときは日本と欧米の文化の違いを感じてしまいます。

日本人は、与えられたものをどうやって活用するかということに心を砕きますが、
欧米人は与えられたものと共存するというより、
あくまで相手を変えて自分の好みに合うようにします。

西洋と日本の庭園造りにおける哲学の違いと似ているような気がします。

Fukagawa vase 7

こういう細工も、私としてはちょっとなぁ・・・という感じです。

昔読んだ本にドクターモローの島という物語がありました。
ある島にまよいこんだ主人公が、そこで人と獣を掛け合わせた実験を
繰り返す博士と出合うというストーリーです。

えげつないたとえですが、こういうのをみるとなぜかあの手の話を思い出してしまいます。


うわー、なんというひどいことを・・・・(絶句)っていう感じ?

Fukagawa vase 8

明治の輸出陶磁器の中には、多少こういう目に遭いながらも
未だスクラップにされず、欧米の各家庭で骨董美術として生き永らえているものがいます。

好みの問題もありますが、こういう細工は骨董品の価値を下げるというだけでなく
不敬罪だと思うのは私だけでしょうか?

Fukagawa vase 9

ちなみに、明治黄金期の香蘭社がランプになっているので驚いてはいけません。

これまでに、明時代、あるいは清時代の上手のチャイナのノワールも
ドリルで穴を開けられ、ランプにされているのを見てきました。

技術的には明時代のものでしょうが、いかんせん穴があいているので
底に木の葉が描かれていたのかどうかもわかりません。
色絵の技術だけが、その花瓶が只者でないことを物語っています。

この手のノワールは、アヘン戦争なので国が荒れていた時代に安価で売り飛ばされたものか
あるいは西洋の植民地闘争のどさくさで盗まれたものが殆どだと思います。
それをこんなランプにされてドリルで穴を開けられた日には、泣くに泣けません。
中国人は今日、こんな姿になった文化遺産をどんな気持ちで眺めていることでしょう・・・

Fukagawa vase 1

・・・と、なぜかシリアスに語ってしまいましたが、
実はこの細工のおかげで安価で手にはいったんですけどね・・・

いくらかって?
6500円くらいでしたよ・・・


はぁ~


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Category: オールド香蘭社

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蔵春亭三保 コーヒーカップ ~武器と古伊万里~ 

海外の骨董屋でよく見かける輸出伊万里に、幕末の蔵春亭三保の陶磁器があります。

蔵春亭を設立したのは、佐賀が生んだ稀代の豪商、久富与平。

1841年に佐賀鍋島藩より有田陶磁器の一手販売の権利を獲得し、
蔵春亭という独自の陶磁器ブランドを設立し欧米に輸出しました。
ちなみにこの屋号は小城藩の藩主鍋島直亮に賜ったものなのだそうです。

蔵春亭のものは柴田コレクションでもおなじみですね。
色絵のものが多いですが、実は三川内にも作らせています。
この三川内もの(平戸)の染付はかなりレベルが高いのですが
こちらはそう簡単には手に入りません。狙っているのですが
オークションではいつも負けっぱなしです。

しかたがないので色絵のカップを買うことにしました。
もともとはデミタスを集めて有田のデミタスカップの変遷を探ろう、と思っていました。
勝手に研究のテーマ(?)をつけているのは購入の言い訳が必要だからなんですけど・・はは

まぁそういうわけで、アメリカはジョージア州のアトランタから
出品されたカップを購入したわけです。

samp 2

初めて見たときの感想は・・・

デカッ!!!

あれ?
デミタスじゃないの?

大きいんですよ、これ。
普通のマグカップとほぼ同じサイズです。

そしてマグのように重いんです。
以前波佐見焼のマグを紹介しましたが、あれよりも
重さがあるというトンデモな代物なのです。

裏は、というと

samp 1

蔵春亭三保とブランド名が書いてありますね。

赤絵に金の羊歯そして窓絵と、幕末の伊万里・有田陶磁器の特徴が顕著に見られます。

samp 3

蔵春亭として海外へ輸出陶磁器を売ることになった久富与平ですが、当初は
並々ならぬ苦労があったと推察されます。
そもそも欧米への輸出品には輸出先の生活、文化に合ったものを用意しなければならなかった
わけですから、おそらく試行錯誤しながらコーヒーカップやソーサーを発注、製造しなければ
ならなかったことでしょう。

これより十数年後には深川栄左衛門が薄手(卵殻手ではないですが)のデミタスを
イギリスへ輸出していますので、この蔵春亭のカップは幕末欧米輸出用有田陶磁器の変遷を
考える上でも、そのスタート地点を飾るものではないかと思うわけです。

samp 4

さて、この久富与平にまつわる話ですが、この稀代の豪商はイギリス等へ
陶磁器をただ売っていただけではありません。

歴史を紐解いてみると、久富与平は長崎へ常駐しトーマスグラバーなどの
武器商人と親交が深かったそうです。

佐賀鍋島藩が幕末において最新の洋式軍備をしていたことは、
司馬遼太郎氏のアームストロング砲などの短編でもおなじみですね。
その佐賀藩が長崎港の保安を命じられ、その利を生かして長崎の武器商人より早くから
最新の大砲及びアメリカの南北戦争の終焉により使われなくなった銃器を買い付け、
藩内で装備していたのは興味深いことです。
この膨大な資金を必要とする武器の買い付けに、陶磁器を欧米に売ることで富を得た久富氏が
鍋島藩をサポートしつつ、グラバーなどと謀っていたことは想像に難くありません。

あくまで司馬遼太郎の主観ではありますが、戊辰戦争における薩長土肥の勝利と
明治維新は、この佐賀藩の最新洋式軍備なくしてはありえなかったわけです。

そう考えると、この蔵春亭のカップやソーサー、大手の花瓶など美しい陶磁器が
巡り巡って明治維新という決して無血ではなかった革命を成功させたことは
歴史と文化の妙だと言えるのではないでしょうか。

samp 5

こんなことを徒然なるままに考えたのは、きっとこのカップが日本の骨董とはあまり縁のない
南部、ジョージアのアトランタから出てきたからかもしれません。

アトランタ、といえばマーガレット・ミッチェルの名作、風と共に去りぬでおなじみですね。
久富氏がジョージアに陶磁器を売ったのかはともかく、売ったお金で南北戦争で使われた
銃器を買い付けたというのは妙な縁を感じます。

samp 6

このカップもたぶんずっとジョージアのアトランタにいたわけではないのでしょうけど・・・
そんな歴史の縁を考えるのはちょっとロマンティックな気もします。

samp 7

ご覧の通り、元の持ち主は随分このカップを愛用していたようです。
金縁がはがれかけていますし、カップの内側にはなんとコーヒーのしみが・・・
でもきっと大事に150年以上も使われたんでしょうね。

samp 8

そんなわけで、私も本日Illyでたてたコーヒーを一杯いただきたいと思います。



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Category: 古伊万里

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