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肥前陶磁器あれこれ~

オールド香蘭社、オールド深川、古伊万里、平戸焼などを集めています。

 

竜鳳錦手黄地龍手付水差~深川忠次の図案帳其の三~ 

先日の平戸焼と龍つながりで紹介するのは、深川忠次の竜鳳錦手黄地龍手付水差です。

Fukagawa dragon 1

以前紹介した深川忠次の図案帳に載っているものです。

Fukagawa dragon 12

見つかりましたか? 

Fukagawa dragon 13

図案帳の色を忠実に再現しています。

Fukagawa dragon 2

この竜の絵は、中華皇帝の有名な竜を模したものだそうです。
本物はルーブルにあるのだとか・・・

これは深川忠次が描いたものなので、爪は4本です。
Fukagawa dragon 3

中国では、龍は皇帝の、鳳凰は皇后のシンボルなのだそうです。
ちなみに、西太后がかつて北京から奉天まで乗った貴賓車の名前は鳳凰号と言ったそうです。

Fukagawa dragon 4

龍の顔をみて、おや、と思った方もいらっしゃるかもしれませんね。
いわゆる日本人になじみのある龍は狩野派が描くような鋭い眼をした龍です。

深川製磁が昨今、この水差しを同じデザインのままビアジョッキに変えて
復刻版として販売しています。
この復刻版では、龍の顔だけ和風です。

中国美術における龍の顔は、概ねこういった丸い眼が多いように思います。
日本人から見ると、なんとなくユーモラスですよね。

Fukagawa dragon 5

取っ手にも、龍が取り付けられています。
凝った造りになっています。

Fukagawa dragon 6

縁の部分にも形押しで模様が入り、色も変えてあります。
復刻版はここまで凝っておりません。

Fukagawa dragon 8

裏を見ると・・・・
底がへこまないように二重高台になっています。
底にまで雲が描かれています。
気合が入っていますね。

Fukagawa dragon 9

銘はわざわざ書かれたものです。
深川忠次時代の銘は普通印字のように同じものなのですが、これだけは当時のものなのに
銘が手書きです。同じ富士流水ではありますが・・・

察するに、これはディスプレイ用かあるいは見本用だったのかもしれません。

受注が少なかったのでしょうか?
あまり市場で見かけないところをみると、大量生産はしていなかったのかも・・・

Fukagawa dragon 10

深川製磁会社製のマグカップ(普通の大きさです)と並べてみました。
このビアジョッキ、もとい水差し、どれだけ巨大かお解りいただけますか??

持ち上げるのに百年、飲むのに千年、下ろすのに万年かかりそうな(笑)重さなんです。
筋肉がつきますよ、これは。

それにしても、これは水差しなのでしょうか、それともビアジョッキなのでしょうか?
昔、ドイツのミュンヘンのビアホールで出てきた巨大ジョッキを思い出しました。
あっちの人たち(こっちの人たちもですけど)、飲むのも食べるのも、サイズが大きいんですよね。

Fukagawa dragon 11

今年の夏、里帰りの折に西有田の深川製磁会社の経営するチャイナオンザパークに行ってきました。

ここは深川製磁のアウトレットが併設されていますが、丘をのぼると瀟洒な建物が見えます。
ここ忠次館には、深川忠次時代の復刻版の商品や彼の時代の作品や愛用品が展示されています。

二階はカフェになっており、深川製磁の皿やカップでコーヒーやケーキを頂くことができます。

この忠次館で、過去に深川製磁が行った展示会のパンフレットを購入しました。

Fukagawa dragon 15

おなじみ深川忠次の図案帳や忠次時代の素晴らしい作品、皇室献上の品々を紹介した内容に
なっています。

Fukagawa dragon 16

ここにも、この水差の図案がありましたよ。

ナンシーシファーの本と記念撮影。パチリ。

Fukagawa dragon 14

最後に、購入先はテキサスでした。
復刻版よりも安い値段でゲットしたりして・・・

なぜかわかりませんが、アメリカ南部にはオールド深川製磁やオールド香蘭社の良いものが
沢山あるようです。
ミシシッピ河口の港付近の街からは、良い品々が安い値段で売られていたりします。
こういうことは、NYやニューイングランドの骨董屋ではありえません。
案外、南部も骨董ハンティングに適しているのかも・・・・

Fukagawa dragon 7

先日から深川忠次の父親の栄左衛門の作品を紹介してきましたが、彼の才能を受け継いだのは
香蘭社を後継した長男ではなくて、この次男坊だったのかもしれませんね。

まぁこの親子、只者でないことだけは確かだったようです・・・


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Category: 深川忠次

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染付龍山水文酒注 ~輸出平戸で召しませワイン~ 

先日のフィラデルフィア旅行記関連です。

フィラデルフィアはボストンと並んでアメリカ有数の古都です。

この独立宣言で知られる街は、ベンジャミン・フランクリンが創設した
名門ペンシルバニア大学やハリウッド全盛期の女優、グレース・ケリーでも有名です。

さて、この東部の古都には当然ながら骨董屋が沢山あります。
ダウンタウン(フィリーではセンターシティと言います)には、
アンティーク・ロウ(骨董通)があり骨董屋が数多く立ち並んでいます。
ただこちらの骨董屋さんは普段は予約した人にだけ店を開ける
Open by appointmentが多いのが難点です。

この街にはなんとアメリカで一番古い骨董屋があるのだそうです。
そうと聞けば行かないわけには行きませんね。

このお店、アンティーク・ロウから外れたリッテンハウススクエア(中心部のオアシス)の近くに
ありました。生憎お店の写真は取り忘れましたが、ビクトリア様式の古い建築物(東部に多いです)
のショーケースからは沢山の東洋美術が見えます。

ここでついに平戸焼を見つけました。

最近のマイ・お宝、染付龍山水文酒注です。

dragon 12

染付山水、なかなか良いと思います。
呉須の色はイマイチですが、この時代は仕方ないですね。

dragon 1

龍の後姿、なんとも美しい細工です。

dragon 3

このワイン注の使い方ですが、まず青い部分の蓋を取って、ワインを注ぎ入れます。

カーブを描いた龍の尾の部分は取っ手にあたり、この部分を持って
ワインを注ぐと、龍の口からワインが出てくる寸法です。

dragon 2

この口からワインが出てくるとは・・・
平戸焼職人、なんという遊び心でしょう!!!

dragon10.jpg

そしてそして・・・・ご覧ください。この細部にいたる拘りよう。
うろこにもきちんと一つ一つ凹凸が・・・

dragon 4

龍の爪は三本です。
中華圏と随時交流のあった松浦藩ならではの気の使いようでしょうか。

dragon6.jpg

角が四本生えています。

良い顔をしております。
さすが竜顔ですね。ハイ。

dragon7.jpg

とぐろの巻き具合も優雅な線で、まるで生き物のようです。
見とれてしまう美しさです。

dragon8.jpg

残念ながら(?)、逆鱗は確認できませんでした。
あー、でもホッとしたりして。

dragon9.jpg

ちなみに、なんとこのワインボトルは平戸焼にして完品でした!
前にも書きましたが、平戸焼の細工物の完品にはめったにお目にかかれません。
ましてこの手の龍の細工物は、海外には割と流れているにもかかわらず、
その殆どは爪などが損傷しています。

骨董屋さんの話ですが、この龍、元の持ち主が大切に飾り棚に入れて
しまっておいたので、あらゆる難を逃れた(?)そうです。
この骨董屋さんも状態が良いことに驚いた、と言っておりました。

お値段は〇万円でしたが、完品だったので値切るのも忘れて
一も二もなく買ってしまいました。
でも日本だったら〇十万くらいしませんかねぇ??

ちなみにワインボトルとしては、よくあるタイプの輸出平戸ではあります。
三川内の陶磁器美術館にも同じものが展示していました。
完品だったかな?たぶん違っていたと思いますが・・・

最後に、この作品の時代ですが、おそらく幕末・明治初期だと思います。
以前アップした染付山水菊花貼付文花生
山水の手が似ているように思いますが、同じ窯元の作品なのでしょうか・・・

なにはともあれ良いものを手に入れました。
めでたくマイ・お宝コレクション棚に飾りたいと思います。

dragon11.jpg

日本は猛暑だそうですね。
こちらはなんだか肌寒い夏が終わろうとしています。

秋になったら、こんなワインボトルで晩酌でもしたいものです。

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Category: 平戸焼

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深川栄左衛門と香蘭社~色絵龍鳳凰菊牡丹花透彫輪繋文皿~ 

先日から深川栄左衛門のものが続いています。

これまでは深川(栄左衛門窯)製のものを紹介してきました。

ご覧の通り、稀代の貿易商である深川栄左衛門の窯で造られた器は
彼の元で働く職人達が確かな技術や高い質を誇ったことを証明しています。
深川窯に限らず、明治初期の有田の窯元には優秀な職人が沢山いました。
この頃になると、有田黒牟田の窯元もまた大皿などで良い作品を沢山残しています。

さて、深川栄左衛門が出島貿易鑑札の件で佐賀藩に直訴した後
有田の同志達と共に合本組織である香蘭社を設立します。

1879年のことです。

メンバーは深海墨之介と竹治兄弟、陶器商人の手塚亀之助、禁裏御用達の辻勝蔵。
優れた商人と有田の名工を集めた香蘭社は、当然ながらその初期に秀逸な作品を
沢山造り海外へ輸出しました。

今日紹介するのはこちら。
龍,鳳凰と牡丹および菊花を描いた透かし彫り輪繋文の皿です。

Koransha reticulated 1

鳳凰と・・・

Koransha reticulated 2

窓絵に龍が・・・

Koransha reticulated 3

鳳凰が誘われているのは百花の王、牡丹です。
青と赤に金縁がとられて美しいですね。

Koransha reticulated 5

近影です。
素晴らしい職人技です。

Koransha reticulated 6

さて、明治時代イギリスやアメリカに数多くのものを輸出した香蘭社ですが、
この輪繋文の皿はあまり見かけません。というか、これが初めてでした。

この透かし彫りの輪繋もよく見ると凝っています。

Koransha reticulated 7

輪の部分に金で龍と扇子の絵が交互に描かれています。

Koransha reticulated 8

この輪繋文の皿ですが、古くは有田の酒井田柿右衛門がこのような皿を造っていたと
記録にあります。柴田コレクションでもおなじみですね。

この手の透かし彫りの皿は、幕末前までは有田でも珍しいものだったようです。
透かし彫りをするのに必要な天草陶石の入手が不可欠だったからだと思います。
輪繋文は他でも造られますが、輪の線の部分が鋭利かどうかは陶石の質が大きく問われるようです。

珍しかった輪繋文が有田の絵をつけて多く現れるのは幕末と明治時代に入ってからです。
その背景は推測するしかありませんが、おそらく平戸の三川内からストックが有田に流れたことが
考えられます。

さて、この手の有田系の皿ですが、皿の透かし彫りの細工が良いのに絵(色絵、染付)
がイマイチ雑で皿の細工とのバランスが取れていないものが多いように思います。

そういうわけで、これまでは見かけてもスルーしていたのですが、この香蘭社は
さすがにスルーするわけにはいきませんでした。
皿の輪繋の透かし彫りの技術に十分見合う絵付けだと思います。
やはりこうでなくてはいけませんね。

Koransha reticulated 9

裏から見ると輪繋の線がきれいに見えます。
陶石の練が弱いとこの線が鈍くなります。

Koransha reticulated 10

裏にもちゃんと牡丹と肥蝶山の蝶の絵が・・・

Koransha reticulated 11

香蘭社、明治初期から中期にかけてのものです。

Koransha reticulated 12

香蘭社はその後、深川栄左衛門単独の会社となり
他のメンバーは製磁会社を創ることになります。

家庭用食器の製造ではその後瀬戸物に遅れをとる有田・香蘭社ですが、
明治時代に輸出した装飾用の美術工芸品は現在も骨董としてその価値は高まるばかりです。

なにが成功でなにが不成功なのかは、100年、200年越しで見ないとわかりませんね。
文化に限らず政治や経済でも、目先の利益にとらわれず大局的な見地から取り組んで欲しいものです。

Koransha reticulated 4

明治という時代を作りあげた人々の意気込みが伝わってくる一品です。


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Category: オールド香蘭社

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