深川忠次の卵殻手カップ(初期深川製磁)
先日からオールド香蘭社の記事が続いたので、今日は深川忠次時代の卵殻手カップを紹介します。
グリーンの龍の絵が手描きされています。

日本で描かれる龍とは顔がずいぶん違いますね。いわゆる狩野派が描くような怖い顔の龍ではなく
眼が丸く描かれて、なんとなくユーモラスです。
これは中国の龍の絵を模しています。
緑色の龍が如意宝玉を追いかける図は、明時代から清時代にかけてよく描かれたものです。

爪は四つ、皇帝の龍ではありません。
ものの本によると、肥前の陶磁器は元々中国の器を目指して造られたものですが、
有田の職人達は中国皇帝の守護である五爪の龍に敬意を払い
自分達の描く龍には爪を4本しか描かないようにしたそうです。
しかし幕末になるとそのような慣習もなくなり、職人の中には皇帝のものでない器に
五爪の龍を描くものもいました。
深川忠次は、古今東西の陶磁器の傑作から学び、そのデザインを自分達の器に
取り込みましたが、五爪の龍を描くことはついになかったそうです。

尻尾の後ろにあるのは如意宝珠、漫画のドラ○ンボールではありませんが
すべての望みを叶える玉です。
龍は権力の象徴、この世の権力を手にした龍がさらなる望みを叶えるべく
如意宝珠を追いかける姿はまさに中華皇帝の姿ですね。
世界の半分を手にしながらも、さらに不老不死を求め続けた歴代皇帝達の姿と重なります。
ちなみに佐賀県大和の近くは不老不死の薬を求めて
中国から日本にやってきたと言われる徐福伝説の地でもあります。
有田の職人達が中華皇帝に敬意をはらったのは当然のことだったのかもしれませんね。

カップの内側にも手書きが・・・
結構凝っています。

裏は、深川忠次時代の社銘が。おぼえやすい字体です。
ちなみに、九州の長崎の秋の大祭、長崎くんちで有名な龍踊り(じゃおどり)も
長崎貿易を支えた中国の影響を強く受けています。
緑色の龍が玉を追うさまは本当に迫力がありますね。
ただこの龍が追いかけている玉は如意宝珠ではなく月です。
龍が月を追いかけますが捕らえきれず、やがて月は雲に隠れ見えなくなり・・・という
じゃ踊りの一連の動きにはちゃんと理由があるんですよ。
中国の龍が如意宝珠を追いかけるのに対し、長崎の龍は月を追いかけます。
なんとも日本人らしい風情に溢れると思いませんか?

このカップ、惜しむらくはソーサーがないことです。
でもこれはE-BAYで$5で落札したものなので文句は言えませんね(笑)。
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グリーンの龍の絵が手描きされています。

日本で描かれる龍とは顔がずいぶん違いますね。いわゆる狩野派が描くような怖い顔の龍ではなく
眼が丸く描かれて、なんとなくユーモラスです。
これは中国の龍の絵を模しています。
緑色の龍が如意宝玉を追いかける図は、明時代から清時代にかけてよく描かれたものです。

爪は四つ、皇帝の龍ではありません。
ものの本によると、肥前の陶磁器は元々中国の器を目指して造られたものですが、
有田の職人達は中国皇帝の守護である五爪の龍に敬意を払い
自分達の描く龍には爪を4本しか描かないようにしたそうです。
しかし幕末になるとそのような慣習もなくなり、職人の中には皇帝のものでない器に
五爪の龍を描くものもいました。
深川忠次は、古今東西の陶磁器の傑作から学び、そのデザインを自分達の器に
取り込みましたが、五爪の龍を描くことはついになかったそうです。

尻尾の後ろにあるのは如意宝珠、漫画のドラ○ンボールではありませんが
すべての望みを叶える玉です。
龍は権力の象徴、この世の権力を手にした龍がさらなる望みを叶えるべく
如意宝珠を追いかける姿はまさに中華皇帝の姿ですね。
世界の半分を手にしながらも、さらに不老不死を求め続けた歴代皇帝達の姿と重なります。
ちなみに佐賀県大和の近くは不老不死の薬を求めて
中国から日本にやってきたと言われる徐福伝説の地でもあります。
有田の職人達が中華皇帝に敬意をはらったのは当然のことだったのかもしれませんね。

カップの内側にも手書きが・・・
結構凝っています。

裏は、深川忠次時代の社銘が。おぼえやすい字体です。
ちなみに、九州の長崎の秋の大祭、長崎くんちで有名な龍踊り(じゃおどり)も
長崎貿易を支えた中国の影響を強く受けています。
緑色の龍が玉を追うさまは本当に迫力がありますね。
ただこの龍が追いかけている玉は如意宝珠ではなく月です。
龍が月を追いかけますが捕らえきれず、やがて月は雲に隠れ見えなくなり・・・という
じゃ踊りの一連の動きにはちゃんと理由があるんですよ。
中国の龍が如意宝珠を追いかけるのに対し、長崎の龍は月を追いかけます。
なんとも日本人らしい風情に溢れると思いませんか?

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Category: 深川忠次
ジャポニズムな飾り皿 ~明治輸出のオールド香蘭社~
外国で日本の器を集めると、どうしても国内の骨董屋で見かけるような物とは
一線を画した珍品の収集になってしまいます。
なぜかというと、輸出伊万里などの日本製陶磁器は海外では日常品というより
ディスプレイ用に用いられる贅沢品として広まったからでした。
明治時代以降、有田や瀬戸物の日常用テーブルウェアがだんだん欧米で使われるように
なりましたが、それは中期、本格的には後期の話のようです。
今日紹介するのはそんな珍品(?)の中から、ディスプレイ用のオールド香蘭社の飾り皿です。

団扇二つと扇子を二つ合わせた、ジャポニズムを色濃く反映した飾り皿です。
チャイナの影響を受けているようですが、形や色などはやっぱり日本独特のものです。


向かい合った団扇の絵が対になっています。
有田の好きなテーマ、花鳥ですね。鳥の図柄はチャイナに影響を受けています。
でも、ノワール(黒)の対に濃い赤を合わせるところは日本的美意識ですね。

扇子のほうも対になっています。
水色と明るい朱色です。
竹と花、そして空に昇る太陽(朝日)でしょうか。


うっすらと扇子の骨が型押ししてあります。
ディスプレイ用なので、なかなか凝った造りになっています。

朱色の蘭に香蘭社の銘が入っています。
これはだいたい1860年から1870年にかけて造られたものです。
(*誤記:明治8年から10年代のものです。同時期に栄左衛門のものが手に入ったので、つい混同していました。
すみません)
深川栄左衛門が中心になり事業をはじめた頃で、いわば香蘭社創成期の輸出ものです。
彼の鋭い感性もあってか、(日本人はともかく)西洋人の好む日本趣味に仕上がっていますね。
ちなみに実物は写真よりもう少し落ち着いた色合いです。

深川栄左衛門のものや初期の香蘭社のものは、日本向けと海外輸出向けとでは作風が異なるようです。
近いうちに、オールド香蘭社かそれ以前のものをアップします。

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一線を画した珍品の収集になってしまいます。
なぜかというと、輸出伊万里などの日本製陶磁器は海外では日常品というより
ディスプレイ用に用いられる贅沢品として広まったからでした。
明治時代以降、有田や瀬戸物の日常用テーブルウェアがだんだん欧米で使われるように
なりましたが、それは中期、本格的には後期の話のようです。
今日紹介するのはそんな珍品(?)の中から、ディスプレイ用のオールド香蘭社の飾り皿です。

団扇二つと扇子を二つ合わせた、ジャポニズムを色濃く反映した飾り皿です。
チャイナの影響を受けているようですが、形や色などはやっぱり日本独特のものです。


向かい合った団扇の絵が対になっています。
有田の好きなテーマ、花鳥ですね。鳥の図柄はチャイナに影響を受けています。
でも、ノワール(黒)の対に濃い赤を合わせるところは日本的美意識ですね。

扇子のほうも対になっています。
水色と明るい朱色です。
竹と花、そして空に昇る太陽(朝日)でしょうか。


うっすらと扇子の骨が型押ししてあります。
ディスプレイ用なので、なかなか凝った造りになっています。

朱色の蘭に香蘭社の銘が入っています。
これはだいたい1860年から1870年にかけて造られたものです。
(*誤記:明治8年から10年代のものです。同時期に栄左衛門のものが手に入ったので、つい混同していました。
すみません)
深川栄左衛門が中心になり事業をはじめた頃で、いわば香蘭社創成期の輸出ものです。
彼の鋭い感性もあってか、(日本人はともかく)西洋人の好む日本趣味に仕上がっていますね。
ちなみに実物は写真よりもう少し落ち着いた色合いです。

深川栄左衛門のものや初期の香蘭社のものは、日本向けと海外輸出向けとでは作風が異なるようです。
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Category: オールド香蘭社
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