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肥前陶磁器あれこれ~

オールド香蘭社、オールド深川、古伊万里、平戸焼などを集めています。

 

皇帝たちの陶磁器 ~フィラデルフィア美術館(2) 

フィラデルフィア美術館の二階には、ヨーロッパバロックを
支えた文化遺産の数々が展示されています。

17世紀から19世紀にかけて、ヨーロッパでは
伊万里、と呼ばれる有田陶磁器がもてはやされました。
ヨーロッパの諸侯が収集する中でも、特に伊万里とチャイナに
執着したのが、ザクセン自由州の選帝侯であり、後に
ポーランドとリトアニアの国王になったアウグストゥス(アウグスト)2世でした。

当時、ヨーロッパでは陶磁器の製造の秘密を解明することができず
王侯貴族たちは専ら輸出品のチャイナや伊万里を買い求めました。
陶器製造を試みる職人たちは、陶土に卵殻などを混ぜ合わせたそうですが
なかなかチャイナや伊万里のような白磁をつくることはできません。

しかし1709年、ついにアウグスト2世が金製造をさせるために軟禁した
錬金術師のべトガーが陶磁器製造に成功します。
(この過程はまさに瓢箪から駒、なんですが・・・興味のあるかたはググッってみてください)
ドレスデンにツウィンガー宮殿を建築した際、アウグスト2世はいくつもの大型の陶器の像を造らせます。
残念ながらこの傑作のほとんどは、第二次世界大戦のドレスデン爆撃によって破壊されました。
しかし、いくつかは難を逃れ、修復されて美術館に保存してあります。

その一つが、こちら。等身大の羊です。
Philly museum 055

こちらは、等身大のヤギと子ヤギのユキ(笑)です・・・
Philly museum 060

平戸焼の職人さんもビックリ、の精巧な造りです。
陶磁器を製造してすぐにこんなものを造るとは、恐れ入ります。

当時、この手の像はみな大理石で作られていましたが、強健王アウグスト2世、
そこはポーセリン狂いです。
全部陶器で造ってしまいます。
さらにリアルにするために、その後色をつけたそうですが、こちらは失敗。

Philly museum 059

やっぱり白磁の像に勝るものはありませんね。

さて、陶磁器に狂ったアウグスト王ですが、当時大人気の
柿右衛門を模したものをマイセンに造らせています。
それがこちら・・・

Philly museum 052
Philly museum 053
Philly museum 054

柿右衛門は柿右衛門ですが、ほのかにヨーロッパの香りが・・・・
やっぱりどうしても造る人たちの文化がにじみ出てしまいます。
これはこれで面白いですね。

カキエモン、って感じです。

こちらのヨーロッパバロックの間を出て、今度は反対のウィングのアジア美術を観に行きます。
まずは、泣く子もダマル(?)中国歴代皇帝の器たちの間。

Philly museum 065

すごさが半端じゃありません・・・
これぞ皇帝御用達窯の威力です。
世界の中心の帝王とは言ったもんです・・・

Philly museum 067

なぜ紫禁城などにあった中華皇帝の至宝の一部がアメリカにあるか、というと
ここが中国の近代史の哀しさです。
展示物の多くは、アメリカの歴代の軍関係者や指揮官、司令官の家庭から寄贈されたものなのだそうです。

欧米諸国の植民地政策のあおりを受け、大変な思いをした中国のつらい歴史が偲ばれます。
中国の大いなる遺産である絹や陶磁器、茶の値段はあまりにも高くつきました。


さて、次はこちらの花瓶をごらんください。

Philly museum 070

すばらしい造りですね。
この花瓶、どうも対のようなんです。
これはおそらく皇帝所有の花瓶ではないと思います。というのは
もう片方の花瓶、なんとドレスデンにあったんです。
アウグスト王が所有していました。

輸出用の花瓶なのでしょうが、あきらかに王侯貴族用に作られた一級品に
間違いはありません。

Philly museum 078

Philly museum 079

Philly museum 081

すごいですよね。
これぞ世界に名をはせたチャイナ!

こちらは、17世紀後半から18世紀まで流行ったノワールものです。

Philly museum 076

陶磁器以外にも

明時代の部屋を再現したものや・・・

Philly museum 097

中国の古いお寺の内部をそのまま再現した部屋

Philly museum 103
Philly museum 101

陶磁器のランタン

Philly museum 090

婦人像・・・伊万里も良いけど、やっぱりチャイナはすごいです。
目もとのリアルさが違います・・・

Philly museum 094

こちらは、水晶を磨き球体にしたもの。
これもすごいですね。
如意宝珠だと思いますが・・・
ちなみにこの銀細工の水の台の部分は日本製です。

Philly museum 091

最後に、我が日本の文化遺産はどんなものが展示されているのでしょう。
前にも書きましたが、この美術館は深川製磁作のエキスポで金賞をとった花瓶を所有しています。
しかし、常設も特別展示もされていません。

Philly museum 089

東京にあった茶室を日本で解体して、アメリカまで持ってきて、それから組み立て展示しています。

昔の日本人、小さかったんですね。

Philly museum 083

こちらは平戸焼の酒瓶。
平戸焼はどの美術館でも必ず展示されています。
これ以外にも、屏風、掛け軸、千利休作の茶杓などが展示してありました。

フィラデルフィアは、首都DCとNYの間にある全米第五の都市です。
どちらの都市からも車で2時間程度に行けます。

歴史と芸術の街、フィラデルフィア、アメリカ東部にご旅行される方はぜひ足をのばしてください。

名物、チーズステーキを食べるのもお忘れなく。

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Category: 旅行記

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フィラデルフィア美術館(1) 

3連休を利用して、アメリカ東部の大都市、フィラデルフィアに行ってきました。

フィラデルフィア、といえばアメリカ独立宣言がされた街です。
合衆国建国の父たちによって、自由と平等、植民地支配からの独立が高らかに宣言されたのは
1776年7月4日のうだるような暑い日のことでした。

歴史の街にふさわしく、ここにはもちろん大きな美術館があります。
これが、今回の旅行のお目当てです。

Philly museum 024

Philly museum 025

全ての敷地を含めると、数あるアメリカの美術館のなかでも
1,2位を争うのではないでしょうか。
メトロポリタン美術館は所蔵数はアメリカ一ですが、中は結構混みあっていますから・・・

Philly museum 033

フィラデルフィア美術館は、建物そのものがアートです。

Philly museum 035

ギリシャのパルテノン神殿を模している建物で、アールデコの影響が
あちこちに見られます。

正面入り口からのフィラデルフィア市街の眺めも美術館の立地に華を添えています。

Philly museum 038

肝心の所蔵品ですが、大英博物館やメトロポリタンとはいきませんが、
ヨーロッパの名画を数多く所有しています。
印象派の名画も多いですね。

こちらは、ゴッホ。題は、雨、です。
浮世絵の影響を強く受けているのがよくわかります。

Philly museum 040

こちらは、クリムト。
これは所蔵はしていないようですが・・・
クリムトの絵も日本の影響を強く受けていますね。

Philly museum 042

そして忘れちゃいけない、誰でも知っている名画の集まるロタンダ。

Philly museum 044

ゴッホ、セザンヌ、ルノワール、モネ、ドガ、ゴーギャン、ありとあらゆる名画が・・・

常設しているのでみんな血眼になって鑑賞していません。
いすに座ってリラックスしたり、話し込んだり・・・・

こういうところは、外国の美術館の良いところだな、と思います。
美術館は教養のある大人だけのものではありません。
子供が絵を描いたり、みんなが芸術を楽しめる空間になっています。

これはゴッホのひまわり。
自分の名前が書いた花瓶にひまわりが生けています。

Philly museum 047

こちらは、モネの日本の橋。

Philly museum 045

ロートレック。有名なムーランルージュ。

Philly museum 050

こういう絵の構成もまた日本の浮世絵の影響です。

一階から二階に上がる階段の途中には、アルテミスの像が・・・

Philly museum 063

この階段を上って、ヨーロッパの強王アウグストゥスの造らせた陶磁器を観に行きます。

(2)に続きます。
近いうちに更新します。

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オールド香蘭社の卵殻手カップ~普段使いの器2~ 

ブログを始めて2ヶ月ほど経ちました。
時々コメントももらえるようになり、なんとか続いています。

もともとブログを始めたのは、収集している香蘭社・深川製磁のものを
紹介しつつ、他のコレクターさんと交流したいと思っていました。

ところが、昨日自分のブログを見ていて気づいたのです。

香蘭社のものをまだ一個しか紹介していない・・・・

いけませんねぇ。
平戸焼やら伊万里のものを欲しがるようになってからは
ついつい深川系のものを載せるのを後回しにしていました。

というわけで、今日は普段使いのオールド香蘭社のカップを紹介します。

Koransha Cofee cup2 007

前回の記事で、骨董を普段使いにするのは気が引ける、
というようなことを書いていました。
これは、アメリカで安く手に入れたオールド香蘭社のカップで
エスプレッソ用の卵殻手(エッグシェル)です。
一応明治時代末期頃輸出されたものですが、今は完全に普段使いしています。

Koransha Cofee cup2 019

裏は青で、香蘭社の香の銘が入っています。
朱のものだと時代が下がりますので、これは明治末期のもののようです。

カップの図柄は、明治時代の輸出カップによく見られる日本趣味(ジャポニズム)のものです。
表の日本女性、これはサムライ・フジヤマ・ゲイシャの芸者さんでしょうか?

こちらではこの手の図柄の卵殻手(大抵は瀬戸ものや横浜で絵付けされたもの)多いですね。

裏は、というと

Koransha Cofee cup2 008

こんな感じ。
ちょっと手抜き?

これを見つけたときは、一応明治の卵殻手なので単純に喜んでいました。
でも先日ココペリ778さんのブログで紹介されていたカップをみて唖然。
ココペリさんのお持ちの香蘭社のカップ、同じ明治末期に造られたものなのに
すばらしく手の込んだ、美しいカップなんです。

この差はなんじゃ~、説明せぃ~!!!

日本向けのものには手をかけた、というわけではないと思うのです。
ヨーロッパに輸出された同時代の香蘭社のカップにもかなり手のこんだものは
ありますので・・・・
まぁ、つまりこのカップ、一級品として輸出したわけではなさそうですね。

Koransha Cofee cup2 015

くやしいので、毎日コーヒーを入れて
これでもか!と使っています。

まぁ・・・そんなに高いお金を払って買ったわけでもないので
怒るほどのことでもないのですが・・・・

Koransha Cofee cup2 011

このカップ、異色といえば異色のカップではあります。
香蘭社のこの時代のカップは、結構手の込んだ有田独特の図柄
(牡丹、鳥や蝶々など)のものが多い中で、
これは明らかに肥前ものでない、
瀬戸物・横浜・東京絵付けのものを意識しています。

明治時代に海外に輸出し、欧米を魅了した日本の陶磁器ですが、
瀬戸物の台頭にやや焦りを感じている王者・肥前ものの横顔が
伺えます。(笑)


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Category: オールド香蘭社

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普段使いの器 ~波佐見焼(無陶人)~ 

みなさんは普段どんな器を使っていますか?

ブログ村の方々のページを覗くと、みなさん古伊万里などの器を惜しげもなく(←よけいなお世話)
使っていますね。料理などを盛り付けた古伊万里などを見ると
器が生き生きしているように思えて、とても素敵だな、と思います。

以前ブログに書いた湯布院の骨董屋さんに、明治時代の伊万里の蓋物を買ったとき、
器はどんどん使ってください、料理を盛り付けると味がさらにおいしくなりますよ、と
言われました。

小市民なので骨董を普段使いするのは気が引けますが、そのうち、天丼でも作って食べようかな
と思ってはいます。

今日は骨董とは関係ありませんが、普段使いのコーヒーカップを紹介したいと思います。
くらわんかで有名な波佐見焼です。

Fish Plate Blue White 023

写真を撮るのが下手なので、このカップの良さが半分も出ていません。
作った方に本当に申し訳ないです。

このカップは、波佐見町の作家、松尾高雄さんこと無陶人さんの作品です。

Fish Plate Blue White 025

染付牡丹蛸唐草文、とでも言いましょうか。
カップ全体に牡丹と蛸唐草がまんべんなく描かれています。
どこに置いていても、はっとするような美しさです。

くらわんかで知られるように、波佐見焼の窯元は今も昔も日常使いの器を造ることが多いです。
波佐見は、地理的に平戸焼の三河内町、志田焼の嬉野・武雄と有田焼の有田町と隣り合っています。
有田で有田焼の器を買った、と思って波佐見にいくと同じものが置いていたり、
今日、美術工芸品や有名作家の作品でないかぎり、日常使いの器を波佐見焼か有田焼かで区別するのは
難しいものがあります。
素人見解ですが、強いて言えば、波佐見焼は白磁がやや青みがかって器にも厚みがある
といったところでしょうか。

Fish Plate Blue White 027

さて、この無陶人さんの作品を知ったのは昨年のことでした。
日本に里帰りした折、実家の父が使っていた湯飲みと飯茶碗が
パッと目に入りました。
地理的な関係で、我が家には昔から有田焼の器が溢れています。
結構よいもの(源右衛門など)を普段から使っているのですが、
この湯飲みを見たときは、アレ?と思いました。
なぜか気になったんですねぇ。

父に聞いてみると、以前仕事関連でお世話した方からお礼に頂いたとのことでした。
この作家はその方のいとこなのだそうです。

カップを頂いた時に、いとこサンがいろいろと作家について説明をしたそうですが、
父は器には興味がないので、全然聞いてなかったそうです。

しかたがないので、ネットでいろいろと調べてみますと、おもしろい情報がありました。

この無陶人さん、どうやら澤田痴陶人のお弟子さんなのだそうです。
そういわれて調べると、痴陶人の展示会で過去に名を連ねているようです。
業界の方には良く知られたことなのでしょうか?

さらに、北山魯山人の最後の弟子だと言うまことしやかな噂まで・・・

痴陶人のお弟子さん、というのは聞いてちょっと納得でした。
この方の白と藍の作品、なんか独特なんです。
一見雑なように見えますが、奔放なのにスキルが見え隠れします。

絵画のたとえですが、例えば基本的なスキルがない人がゴッホ風の絵や
ピカソ風のものを描いても下手な絵に過ぎません。
ゴッホもピカソも、普通の写実的な絵がものすごくうまいわけです。
抽象的なものや印象的なものを描くには当然、写実的なスキルが必要なわけです。

同じような感じで、この方の絵も奔放なのに、美しい。
雑とか下手では全然ないんです。
古伊万里などの昔の作品をみて修練したのがわかります。

Fish Plate Blue White 032

今は波佐見で夫婦でこじんまりと作品を作られているそうです。

無陶人窯の作品は、波佐見町のギャラリー、つちくらさんというところで主に扱っています。
ちなみにこのギャラリーも素敵なものが沢山置いてあります。
お買い物が済むと、おいしいコーヒーを好きなカップでご馳走してもらえますよ。

Fish Plate Blue White 034

この冬訪れた時、飯わんやらカップなどいくつか買いました。
こんど里帰りしたときも、また買いに行きます。

美しい器で食べたり飲んだりすると、味がさらにおいしくなったように思えるのは
本当のようです・・・

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Category: 波佐見焼 (現代)

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染付魚形皿 - 鯛のひらき - 

骨董に興味を持ち出して間もなく、魚の形の皿がほしくなりました。

ナンシー・シファー氏の本にも多数載っている様に、海外のコレクターの間では
魚形皿は人気があるだけでなく、どうやらマストアイテムのようなのです。

日本にいる時は、こういう形の皿を見たことはありませんでした。
今日有田に行くと、深川製磁が昔のデザインの復刻版を造って売っていますが、
結構いいお値段ですよね。手がでません。

むぅ・・・

毎日本を眺めながら、こんなの買えたらいいのになぁ・・・と思っていましたら
結構早く入手できるチャンスが巡ってきました。

Fish Plate Blue White 014

遂に買ってしまいました。

どうやら元の持ち主は、魚形皿の収集家だったようです。
これと同時に、肥蝶山信甫の色絵の魚形皿が出品されていましたので、
コレクターの入札はそちらに集中しました。

ラッキーだったことも手伝って、あっさり競り勝ち、このお皿を入手した次第です。
ふっふっふ。

このダブルヘッドとでもいうのでしょうか、鯛のひらき(?)のような形の皿が欲しかったのです。
染付で、全体的に日本人好みだと思います。

Fish Plate Blue White 013

手書きが美しいですね。

いろいろと調べてみると、このお皿、有田の梶山菊三郎の作品のようです。
近現代肥前陶磁銘款集によると、鯛形鉢の製造に関しては他の追随を許さないものが
あった、と記されています。

黒牟田の梶原系の窯元は、過去に魚形皿を造ったところも多く、
今日でも梶兼製磁社などでは、鯛形の土型や木型を保存・展示しているそうです。

さてこのお皿ですが、間近で見ると案外凝っています。

Fish Plate Blue White 022

鱗がうっすらと型押しされているのがわかりますか?

Fish Plate Blue White 021

写真だとちょっと見辛いですが、一応お分かりいただけると思います。

Fish Plate Blue White 020

それにしても、なんでこんな変なひらきの形なのかは謎です。
普通なら、腹からひらきませんかねぇ?

本来なら、刺身でも盛るところでしょうが、そんなことはせずちゃんと大きめの皿たてに入れて
飾っていますよ。(結構大きいんです、これが・・・)

Fish Plate Blue White 018

裏はこんな感じです。

Fish Plate Blue White 019

梶原菊三郎さんの銘ですね。
明治時代だそうです。


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Category: 古伊万里

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平戸焼の本 -Prince of Porcelains 

以前書いた、Prince of Porcelain - 平戸焼の魅力 の記事が
時間が経っても、まだ読まれているのは嬉しいかぎりです。

改めて考えてみたら、この記事の(1)には写真を全く載せていませんでした。

今回は、追記、という形で、Louis Lawrence氏の平戸焼入門書、Prince of Porcelainを
紹介したいと思います。

Hirado Book 001

英語圏では、平戸焼の専門書はこれ一冊しかありませんが、
あなどるなかれ。
平戸焼珠玉の品々が満載の大満足の一冊なのです。

表紙は、平戸焼の唐獅子ですね。19世紀のもので、同じものが大英博物館に所有されています。

Hirado Book 005
Hirado Book 006

中身も、日本でもなかなかお目にかかれない傑作の数々が・・・

特に面白いのは、筆者が松浦藩の歴史及び平戸焼の歴史を
かなりくわしく紹介しているところです。
上2のページ右側の題にもあるように、フォン・シーボルトが平戸焼を買い集め
オランダ国王や王侯貴族に売ったという話などもあり、興味深いです。
シーボルトのこのような功績がなければ、平戸焼の傑作がオランダ国の手によって
美術品として大切に保管されることはなかったであろう、と書かれています。

海外にこのような物が流れたのは、日本人としてはくやしい半面、
今でも大切に美術館に収められているのはありがたいことでもあります。

Hirado Book 009
Hirado Book 010

すばらしい細工の施された平戸焼は、今でも日本陶磁器の骨董収集家には
大人気なのです。
完品はなかなか手にはいりませんが、写真にあるような物は
案外こちらの骨董やさんにも、さらりと置いていたりもします。(値段は高いですが)

1980年代のバブルの頃、伊万里の値が国内で高騰して、大変な値段がついていたそうです。
知り合いの骨董屋さんにいわせると、あの頃からすると、
今日の伊万里の値は比べようがないほど大暴落してしまった、ということでした。
反対に、昨今は深川、香蘭社などの明治陶磁器の値が上がってきているそうです。
この方も、深川・香蘭社は好んで買い付けているようです。

平戸焼は、といいますと、値はあまり変わらず、常に高い、ということでした。

この話をした時は、ふーん、という感じで聞いていたのですが
今改めて考えてみると、欧米の市場と傾向が良く似ているのがおもしろいと思います。

こちらも、昨今の伊万里の値はそう高くはありません。
反対に、深川・香蘭社の年代物でよい品物は、時々大変な値がつくことがあります。
平戸焼は、だいたい常に値が高いようで、ディーラーも好んで買い付けるようです。

Hirado Book 011
Hirado Book 013

平戸焼の細工物は、19世紀のヨーロッパで特に人気を博しました。
アウグスト2世が白磁器に狂い、伊万里・チャイナを買い集めただけでなく、
ドレスデンで白磁器の製造をし始めたのは有名な話ですが、
この時代以降も、ヨーロッパでは輸出伊万里と平戸焼の細工物が大人気となり、
あちこちで収集家が買い求めたようです。
今日、ヨーロッパの各地の美術館で平戸焼のひねり物がみられるのは
そのような理由からです。

日本では、平戸焼はあまり注目を浴びていないようですね。
正直、ちょっと驚いていますが、数そのものが少ないので仕方がないのかも。

ちなみに日本国内では、平戸市にある井元さんという方が個人所蔵している
平戸焼の資料館でひねり物のコレクションなどを見ることができます。
この方の平戸焼のコレクションは素晴らしいので、
もし平戸に行かれることがあればぜひお立ち寄りください。

あと、おいしい魚や平戸牛を食べることもおわすれなく!


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Category: 平戸焼

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栄螺と郷愁 -湯布院の思い出ー 

日本に里帰りをすると、いつも湯布院に泊りがけで遊びに行きます。
由布岳が美しいのと、食べ物がおいしいこと、そしてなにより温泉が
単純泉でやさしいことが贔屓の理由です。

ここ数年ですが、それに加えもう一つ、由布院を訪れる理由が加わりました。

金鱗湖のすぐそばにおいしいコーヒー屋さんと骨董屋さんがあるのです。

初めて行った時は、生憎お目当ての骨董屋さんは閉まっていました。
しかたなく、隣のカフェでウィンナーコーヒーを飲んだのですが、その味に驚愕!
昔、オーストリアのカフェで飲んだような素晴らしいコーヒーでした。

その後また訪れた時は、掛け軸やら明治時代の伊万里の蓋物、
大聖寺伊万里の豆皿などを買いました。
買い物が済むと、骨董やのご主人に
隣のカフェでコーヒーをご馳走になりました。

骨董を買いたい、と思うけどなんとなく腰が引けていたのは私だけでしょうか?
骨董屋と聞くと、なんとなくボラれてしまう恐怖があります(笑)。
ですが、ここの骨董屋さんはそういう怖い感じがまったくありません。
お店に入っても、どうぞゆっくりごらんください。というだけでゆったりとしています。
お値段も思ったとおりのリーズナブルな値段なのです。
質問をすると、訥々と答えられるだけです。
押し付けがましくなくて、なんとなく好感が持てます。

湯布院は人気の観光地なので、骨董屋さんが多いです。
ですが、買い手が若いと思うと、変な店はとんでもない値段をふっかけてきたりします。
ここのご主人は、そういう商売のあり方を否定はしませんが、
ご自分ではそういう売り方はしないようです。
もとがコレクターだったので、いろんな人に骨董の魅力を知って欲しいのだそうです。

さて、昨年末、湯布院を訪れたときに、その骨董やさんで平戸焼のさざえの蓋物を購入しました。

Koransha fan Hirado Sazae 068

平戸焼でもよく見かけるものですよね。
これが、私の記念すべき(?)ファースト平戸焼です。

誰かが壊れた部分を修繕してくれています。

Koransha fan Hirado Sazae 074

平戸焼の魅力の一つは、職人さんの遊び心だと思います。
このさざえの蓋物、妙にリアルだと思いませんか?
イソギンチャクが顔を出していますが、
細工の加減でちょこちょこ動くようになっています。

その他にも、コガニやら小さな貝殻がくっついてリアルなんです。
平戸は海に囲まれた島なので、こういう細かい観察眼は平戸焼職人ならではなのでしょう。
景徳鎮を模した染付山水に見られる中国の風景も良いのですが、
身近な海の生き物の細工は、なぜか生き生きしているように思われます。

Koransha fan Hirado Sazae 071

この蓋物を買うときに、平戸焼を収集したいのだ、と話すと、
骨董やのご主人に思わぬことを言われました。

海外に暮らしているので、故郷の焼き物を集めることで、
遠く離れた故郷のことを思うのでしょう、と。

そういう事は過去に思ったことはありませんでしたが、
そう言われてみると、そうなのかな?という気もしないでもありません。

私は平戸の出身ではありませんが、平戸の街並みは
なんとなく私の故郷を思わせます。

そう思い始めると、この平戸焼の蓋物は、だんだん骨董以上の意味を持つように思えるのです。

Koransha fan Hirado Sazae 083


こういう風に、骨董収集の背後にある潜在的な郷愁の想いを理解できるのは、
きっとこの骨董屋のご主人が、骨董を商品とみるよりも、
コレクターとして愛着を持ってみているからだと思います。

この骨董屋のご主人、現在は闘病中なのだそうで、
初夏の帰省の折には、湯布院に行ってもお会いできないようです。
湯布院に行く楽しみは一つ減りましたが、一日も早いご回復をお祈りしたいと思っています。

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Category: 平戸焼

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平戸焼の魅力(2)- Prince of Porcelain -  

平戸焼の魅力の一つは、なんといっても繊細な細工だと思います。

アメリカのニューイングランド地方に行った時に、こんな掘り出し物(?)を見つけました。

Hirado vase 019

平戸焼の花瓶ですが、正式な名前は、染付山水菊花貼付文花生と言うそうです。

なぜ正式な名前云々かといいますと、なんと同じものが2012年春に、
愛知県陶磁資料館で、日本近現代の陶磁器展として展示されていました。
江戸時代後期に造られたものだそうです。

さて、この花瓶ですが、まずは平戸焼の真髄とも言える繊細な菊花細工をごらんください。

Hirado vase 025

ラッキーなことに、あまり壊れていません。

Hirado vase 027

以前、長崎の骨董屋さんと話したときに、平戸焼の収集は難しいということを聞きました。
なぜかというと、老舗の骨董やでも、
なかなか平戸焼の一級品にはお目にかかれないからなのだそうです。
もともと平戸焼が献上物だったことを考えれば、それもそうかもしれません。

さらにこの骨董やさん曰く、平戸焼の一級品の細工物で、
完品はめったに手に入らないのだとか。

この花瓶も輸出物としては質もよく、状態も悪くはないのですが、
6箇所についている菊の細工はあちこち損傷しています。

Hirado vase 022
Hirado vase 023

染付山水もなかなかいい感じです。

Hirado vase 024

裏面の菊の花びらが欠けています。

Hirado vase 026

この花瓶を平戸焼の第一弾にしたのには理由があります。

それは、この花瓶が平戸焼のあらゆる特徴を備えた作品であり、
平戸焼の素晴らしさを簡単に説明できるものだと思ったからです。

陶磁器の貴公子、と西欧で褒め称えられるにふさわしい精巧な細工と、
純白の美しさ、呉須の青の生み出す清楚で気品に満ちたたたずまいは、
日本だけでなくヨーロッパの王侯貴族をも魅了して当然だったのだと思わずにはいられません。

Hirado vase 029

ちなみにこれはペアで購入しました。

Hirado vase 031

蛇足ながら、平戸焼は今でも西洋では高い人気を誇ります。
伊万里などは値段が高い、といってもある程度予想がつきますが、
平戸に関しては、まったく予想がつかないことが多々あります。
ネットオークションなどでみかけても、コアなコレクターがいるので、
最後の瞬間に額が跳ね上がることはしょっちゅうです。

そうやってくやしい思いを何度もしながらも、どうしても平戸焼がほしい、と思ってしまう私は
その魅力に早くも取り付かれてしまったようです。

破産しないように気をつけないといけません!(汗)


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Category: 平戸焼

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平戸焼の魅力(1)- Prince of Porcelain -  

Prince of Porcelain

陶磁器の貴公子
これって何のことだと思いますか?

平戸焼のことなんです。

平戸焼は今日、三河内焼と呼ばれます。
有田、波佐見の隣、三河内(長崎県佐世保市)で造られる陶磁器のことですが
もとは、平戸松浦藩の御用窯で造られていたものを指します。

西欧では平戸焼は陶磁器の最高峰と位置づけられています。
伊万里、薩摩は人気はありますが、最高の技術と質を誇るのは平戸焼なのだそうです。
陶磁器研究者や大英博物館をして、最も洗練された陶磁器、と評されます。

なぜこのように評されるのか、それにはいくつか理由があります。

まずは、ご存知の方も多いと思いますが、平戸焼は松浦家の御用窯であり、
もとは利益等を度外視して、将軍や大名、天皇家に献上する器や贈答品が造られた、
という歴史背景があります。
この辺りは鍋島藩の大川内山が質の高い作品を造る歴史的背景と似ています。

もう一つは、平戸松浦藩は長崎での輸出貿易において、かなり優遇されていました。
このため、質の高い平戸焼の輸出品が早くから西欧に渡り、
王侯貴族たちによって愛でられた、という歴史の経緯があります。

さらに大切なのは、平戸焼は天草陶石の使用にこだわったことでした。
天草陶石の使用により、有田よりも、より白い磁器の製造を可能にしたこと、
また、天草陶石が泉山陶石と質が微妙に異なったため、あらゆる細工物を作ることで
美術品として高い評価を得ていたことがあげられます。

しかしながら、最も大切な要因はおそらく平戸松浦藩の
地の利ではなかったでしょうか?

平戸は長崎県北にある島ですが、もとは倭寇が治めた土地です。
昨年の某ドラマではありませんが、”海賊の王”の国なわけですね。
倭寇と言っても、実際の8-9割は中国人だったそうなので、当然
松浦藩は古くから福建省あたりからやってくる中国人の海賊を領内に
住まわせていたそうです。(鄭成功の父親の話などが有名ですね)

当然、中国からあらゆる文化的なものが松浦藩の手に渡ったわけです。
それは当時世界最高峰とされていた中国の陶磁器に関しても例外ではありませんでした。
陶磁器の製作に必要な質のよい呉須も簡単に手に入りました。
このような平戸独特の地政学的、文化的な背景が、
その後の御用窯の陶磁器製造の質に影響を与えたのは当然のことでした。
優れた文化が生まれるのには必ず環境的な理由があります。

・・・と、ここまできて、お読み下さっている方の中には、

それで???お前は本でも書くんかい!

とイラつかれている人もいるかもしれません。

でも、私の平戸焼に対する熱~い情熱はわかっていただけたと思います(笑)。

さて今日は、私のコレクションの中でもお宝(??)に入るものの一つを
紹介したいと思います。


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Category: 平戸焼

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