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肥前陶磁器あれこれ~

オールド香蘭社、オールド深川、古伊万里、平戸焼などを集めています。

 

星に願いを ~カシオペア座と古伊万里~ 

ブログに書きたいのに、なんとなく書きづらいものがあります。
それは、気に入っているのにその素性がわからない物。

先日、こんななます椀を見つけました。

Imari Constellation 086

タイトルに、”古伊万里”とついていますが、”古”なのかは謎です。
結構新しいのではないかと思いますが・・・幕末、明治、大正くらいでしょうか・・・

表面は真っ白でつやつやです。縁は結構厚く、全体的には重さがあり、どっしりとしています。
幕末、明治の有田のなます椀だと、もうちょっと縁が薄く、重さもやや軽めのような気がします。
なます椀にしては、上等の陶石をつかっているように感じられるのですが、
あくまで素人の感想です。重量としては重さがあるのに、全体的な印象は
妙にすっきりしています。

さて、特筆すべきは、その珍しい図柄です。

どこかの船着場に南蛮船が停泊しています。湾の先には二つの高い山と
なんと空には、カシオペア座が・・・

Imari Constellation 094


その後いろいろ調べると、面白いことがわかりました。
古伊万里とカシオペアってわりとよくある図柄のようなのです。

同じようにカシオペア座のついた器をお持ちの方のブログを覗いてみますと・・・

ふむふむ。

カシオペア座は古い呼び名で、山形星というのだそうです。
図柄はいろいろとあるようで、中国人が海の上に浮かんだ山形星を眺めているもの、
山形星と船の上で囲碁をする賢人等々・・・

ただ、ここで出てくる山形星はカシオペアの三ツ星なのです。
三ツ星のカシオペアは、古伊万里の図柄では中国の船あるいは中国人と関連付けられています。
中国では天文学上、山形星は北方玄武、西方白虎、紫微垣と関係があるようですが、
残念ながら私にはこの辺りのことはさっぱりわかりません。

さて、私の手元にあるなます椀ですが、上記の物と図柄にやや違いがあります。

Imari Constellation 091


まずは、中国の船でなく南蛮船が停泊していること。
そして、カシオペア座が西洋の星座の形、M字型(W字型)になっていること。

これと似たような例で、他に西洋人(南蛮人)と北斗七星の組み合わせの図柄をみたことがあります。
西洋の星座は西洋の物と関連付けられているのでしょうか。

この図柄についての本当の意味はよくわかりませんが、勝手にあれこれと
その意味を考えるのは楽しいものです。

この港はどこなのでしょうか?
南蛮船なのでやっぱり長崎なのでしょうか?
湾の形は、長崎の鶴の港を思わせます。

この船は遠いヨーロッパから長い航海を終えて
やっと長崎にたどり着いたのでしょうか。

航海、といえば、カシオペア座は古くから北極星を見つける目印の
役割を果たしました。
天測航法というやつです。

この図柄を考えた人は、南蛮船の辿った長い航海と
その航海を導いた星座に思いをはせたのかもしれません。

ちなみにカシオペア座のもう一つの異名は錨星だそうです。
W字型が錨に見えるからです。

航海を終えて、ようやく目的地に錨を下ろした南蛮船を
ひっそりとカシオペア座が見守っている図柄でもあります。

殆ど記号論のようになってしまいますが、このあたりが
古伊万里の魅力の一つであるのかもしれません。

器を楽しむのに、それぞれの記号の持つ文化的な意味や歴史背景、知識を
統合して、全体の意味を文学のように理解するカルチュラルリテレシーが
求められているような気がします。

そうすると私のような文学を理解できない者は慌ててしまいますが、それはそれ。
いろんな解釈のできる詩を楽しむように、器も楽しみたい、というとすっぱいブドウですかね?

Imari Constellation 096

裏には銘はありませんでした。

横から見ると有田っぽくもありますが・・・

Imari Constellation 099

記号論(というか、こじつけ?)といえば、
カシオペア座の三ツ星は、嵯峨源氏の紋でもありますね。
すると、これってもしかして平戸藩御用窯の三河内焼?
港は、長崎ではなくて平戸??

・・・・などと思うのは、私の天体観測ならぬ希望的観測でしょうかね(汗)

だれか、この図柄の意味をご存知の方がいらしたら教えてください。

Category: 古伊万里

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East Meets West ~ 鯉よ、コイコイ~ (深川忠次の図案帳 其の二)  

このブログを始めて3週間ほど、かれこれ20日ほど経ちます。
カウンターを設置したのですが、なにしろ素人なので設定をどうも間違ってしまったらしいのです。
チェックしてみると今のところ閲覧者は0人・・・

思わずウッ・・・・となってしまいましたが、ブログ村でランキングを見るとあら不思議。
ちゃんと読んでくれている人がいるではありませんか!

駄文ではありますが、誰かが読んでくれた、というのは励みになるものですね。
すっかり気を良くして、もう一丁なんか書こうかな。


さて、先日紹介した深川忠次の図案帳の続きですが、今日もまた、
この本に載ってある皿を紹介したいと思います。

まずは図案帳をご覧ください。

Fukagawa chuji 1 067

下段中央の図案です。
鯉と菖蒲ですね。

Fukagawa chuji 1 068

ご存知の方も多いと思いますが、明治時代に会社を設立してからの香蘭社と深川製磁の
こだわりの作品の多くには鯉が描かれています。
香蘭社本店、またはチャイナオンザパーク(深川製磁本店かポーセリンパークだったかもしれませんが)には
特大の花瓶が飾ってあります。
この花瓶、深川製であれ香蘭社製であれ、
圧巻なのは、ゆったりと本当にそこを泳いでいるかのような鯉の姿です。

うっとりと眺めますが、もちろんこんな花瓶、小市民の私の手に入るはずもありません。

しかしある日、某国の骨董市で見つけてしまいました。

Fukagawa chuji 1 088

鯉ですよ~、コイコイ。

件の花瓶とは比較になりませんが、それでも目をこらして観察すると・・・

Fukagawa chuji 1 090

鯉の描写にしっかりと深川、香蘭社のスピリットが(笑)

さて、このお皿ですが、眺めてみると
本当に鯉がこちらにすいすいと泳いでくるような
錯覚をおぼえませんか?

Fukagawa chuji 1 095


鯉そのものは写実的であるのに、全体的には印象派、という(矛盾ともいえる)不思議。

遠近感の妙もありますし、菖蒲の描き方や構図は非常に印象派の影響を受けている
と思うのですが・・・・

Fukagawa chuji 1 096


印象派、というと、日本ではモネやらゴッホやらの名前がよく聞かれます。
以前、某国某美術館で、印象派とジャポニズムというテーマで展覧会が開かれていました。
ゴッホの名画、アイリス(菖蒲)などの隣には、日本の版画がいくつも並べられていました。
印象派は、West Meets East (ここでは日本限定)の賜物である、といわんばかりでした。

こんな時、外国にいる日本人としては思わず胸を張りたくなります。
あ、自分の才能とはなんの関係もありませんが・・・(笑)

ちなみに、このジャポニズム関連のExhibition、海外では人気のテーマで
美術館によって何冊か本も出版されています。過去にはMOMAがやっていたと思います。

本の中身ですが、印象派の絵と日本の浮世絵等が沢山載っていて、
読んでみるのもよし、絵を眺めるのもよし、のなかなか充実した内容です。
この本も、そのうち陶磁器か何かとタイアップして紹介したいと思います。

印象派とジャポニズム、そしてアール・ヌーヴォー、西洋の芸術に多大な影響を与えた
日本の芸術は、何百年にも渡って培われた文化の賜物ですね。

日本でも、西洋に影響を与えた偉大な日本の芸術を
印象派などと関連付けて、もっと学校などで子供たちに教えて欲しいものです。




Category: 深川忠次

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芙蓉手とオランダ(輸出伊万里) 

ブログを初めて以来深川系の物が続いたので、今回はちょっと趣の違ったものを一つ紹介します。

先日、こんな皿を手に入れました。

芙蓉手 皿 029

芙蓉手の古伊万里の皿です。
芙蓉手というのは、皿の全体が芙蓉の花を思わせるところからきているそうです。
見込み(皿の中心部)は花の中心、周囲の八つに区切られた部分は花びら、といったところでしょうか。

さて、この染付の皿、見込みには、芙蓉の花と手前にチューリップが生けた花瓶が
描かれています。

芙蓉手 皿 020


周囲の絵は、宝尽くし。
八宝紋というそうですが、お宝がなにかわかりますか?

芙蓉手 皿 021


中国の八吉の一つであるほら貝と、日本のお宝の隠れ蓑が二箇所に描かれています。
もう一つの絵は、これまた日本のお宝、隠れ蓑と打出の小槌。これも二箇所。
縁起がいいですね。

残りの4つの窓には、オランダ輸出を意識したようなひまわりの花。

素人なので、このお皿についていろいろと調べてみました。

1659年に、本格的にオランダの東インド会社を通じて有田焼が輸出され始めます。
この辺りにはちゃんと歴史的な背景があります。

当時ヨーロッパでは明中国の磁器(景徳鎮)がもてはやされていたわけですが、
1656年、女真族が明王朝を滅ぼし清王朝を興していた頃、海禁例が出され、
中国磁器の輸出が減少します。(韃靼疾風録ですね。なつかしいですな)
それと入れ替わるかのように、有田焼のヨーロッパ輸出が始まるのですが、
当初は売れ筋の景徳鎮を模したものが出回ったようです。

当然、この芙蓉手なるものも元は景徳鎮なのです。

さて、このお皿いつごろのものなんでしょう?
おそらく寛文期(1661~1673)あるいはその前後ではないかと思うのですが・・・

呉須の発色加減や、文様表現もこの時代のものと合うように思えます。

ちなみに輸出用の初期伊万里の文様には、当時オランダで栽培されていたチューリップや
ひまわりの絵が好まれたそうです。
やっぱりオランダにはチューリップだけでなく、ひまわりも沢山咲いていたんですね。
そういえば、ゴッホもひまわりを描いていたけれど、身近なものだったのか、と妙に納得。

もう一つ、この時代の古伊万里の(古染付の)特徴として虫喰がありますが、
これにも、見込みに虫食が・・・

芙蓉手 皿 022

裏はこんな感じで、ハリ目の跡が4つ。

芙蓉手 皿 024

ちなみにこのお皿の出所はイギリスです。
オランダに渡ったものがイギリスにいったのか、
東インド会社経由でイギリスに渡ったのかは不明です。

どこをどうして我が家にたどり着いたのか、聞けるものなら一度
お皿に身の上話を聞いてみたいものです(笑)。




Category: 古伊万里

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深川忠次の図案帳 

Nancy N Schiffer という人をご存知でしょうか?

彼女は、英語圏の日本の陶磁器収集家の間では多少名前の知れた人です。
幕末、明治時代とそれ以降の中国と日本の陶磁器の収集家で、
たくさん写真のついた日本陶磁器の本を何冊も出しています。

残念ながら英語圏には日本の陶磁器の本を扱うものはそう多くはありませんので、
彼女の本は自然、こちらの収集家のマストアイテムの一つになっているようです。

本を出版するくらいなので、東アジア美術の博士号でも持っているのかと思いきや、
学者ではなく、単に趣味が高じて本を書いただけのようです。

残念ながら、出版された本の全てが素晴らしい内容とは言いがたいのですが、
それでも、彼女なりの功績というものもあります。


シファー女史は、日本陶磁器の中でも、特に深川製磁と香蘭社の作品を好んで収集していたようです。
彼女のJapanese Porcelain 1800-1950は、彼女の著作の中でも
力作なのですが、この本のかなりのページを割いて、香蘭社と深川製磁の作品を紹介しています。

Fukagawa chuji 1 063

この中で特に価値があるのは、シファー女史が、深川製磁の創始者、深川忠次の図案帳の内容を
紹介していることです。

深川忠次氏は、兄が継いだ香蘭社から1894年に独立して自分の会社を立ち上げました。
それからは、あっという間に香蘭社の競争相手になります。

深川製磁のサイトによると、彼は図案帳を作り、海外の顧客のニーズに応えるべく商品を開発したようです。

この図案帳がすごい!

Fukagawa chuji 1 064

何ページにもわたる図案帳の内容は、深川忠次氏の類まれなる才能を表していると思います。
これはほんの一部ですが、本当に彼のデザインの才能は素晴らしい。
今見ても、なぜか新しいのです。100年以上も前に考案されたとは思えないのです。

深川製磁のサイトにもアーカイブとして、この図案帳がちょっとだけ載っていますが、
興味がある方は、ぜひアマゾンで。ちょっとお高いですが、
一見の価値はありますよ。(当サイトはシファー氏とはなんの関係もありませんが)

デザインが素晴らしい理由はいくつかあります。

まずは、深川忠次氏は基本にならい、Learn from the bestを実践したことです。
鍋島、有田、平戸などのマスターピースを模倣しながら、彼独自のテイストを付け加え
古くて素晴らしい日本の様式美を新しいものに作り変えてしまいました。

前書きが長くなりましたが、当時の流行、アールヌーヴォーを取り入れたデザインは
今見ても新しい美しさなのです。

さて深川ファンならば、この図案帳に出てくる図柄のものが欲しい・・・と当然思ってしまいますよね。
復刻版ももちろんありますが、これがまたお高い。

んが、しかし!
あるんですよ~、イーベイにいくと。あらら?これは見たことある、という具合に
結構深川忠次時代のものが見つかるのです。

まずは、こちら。

Fukagawa chuji 1 082

見事にアールヌヴォーの時代を反映しています。
なんとなく、金箔使いと斬新な和のデザインが
クリムトの絵を思い起こさせると思いませんか?
帝政オーストリア時代に輸出伊万里がもてはやされた事を考えると、
深川忠次のデザインとクリムトの絵に共通点があっても
そう変ではありませんね。

この図柄はもちろん図案帳にあります。

Fukagawa chuji 1 065

Fukagawa chuji 1 085

裏には、深川忠次時代特有の社銘が・・・

どこかで、深川製磁はこの時代泉山陶石を使っていた、と読んだことがあります。
泉山陶石の性質のため、小さめのお皿を作ると、真ん中が盛り上がったそうですが、
このお皿も中心は微妙に盛り上がっています。

この写真では見づらいでしょうか・・・

Fukagawa chuji 1 080

1904年のセントルイス万博に出品した深川製磁はめでたく一等賞金牌を受賞、
この作品はフィラデルフィア美術館にあるそうですが、残念ながら
一般公開はしていませんでした。

この受賞後、当然アメリカが輸出市場として大きな割合を占めるわけです。
アメリカで深川忠次時代のものが簡単に手に入るのはこのためです。

日本にいて手に入りづらかったものが、アメリカで簡単に手に入るとは・・・・
これもイーベイの魅力ですな。

それにしてもこのお皿、いつかは里帰りさせてあげたいです。

Category: 深川忠次

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ミュージアムピース?? 

ミュージアムピースの定義というのはなんなんでしょう?
普通に考えれば、美術館や博物館に展示するほど価値のあるもの、
ということでしょうか。
美術雑誌や骨董関係の書物に載っているものも
ミュージアムピースと言えるのかもしれませんが・・・

ある日曜日のこと、朝からイーベイをぼんやり見ていると、
こんなカップが目に入りました。

Koransha Egg shell cup 01 smaller

出品者曰く、香蘭社製のものだとか。

最初に見たときの感想は、
”雑なつくりだなぁ。メイドインチャイナの偽物にしてもこれはなぁ・・・”
でした。

でもなんとなくしげしげ眺めているうちに・・・・

むぅ?見たことある???



あったんです!数年前里帰りした折、九州陶磁文化館で購入した
”有田の名宝”という本に、このカップが載っていたんです。

Koransha Egg shell cup 05 smaller


Koransha Egg shell cup 03 smaller

件の品は、色絵花鳥唐草文のコーヒーカップと言うそうです。
出品者の言うとおり、明治時代のオールド香蘭社でした。

写真からはとてもそんな価値のある代物には見えず、
コレクターが一人、二人入札しているだけのようです。

2時間後、$120ドルくらいであっさり落札しました。
イギリスからの掘り出し物でした。

10日ほどして、パケッジが届き開けてみると・・・

Koransha Egg shell cup 02 smaller

これが結構いいんです。

写真からはわかりにくいのですが、なんと卵殻手、
エッグシェルのエスプレッソ用カップなのでした!
柄は、当時西洋を魅了していたチャイナを模したものだったのでしょう。

エッグシェルのカップといえば、当時はチャイナがヨーロッパで人気を博していました。
そのチャイナを模したものを輸出しつつ、日本の様式美を反映したものも
同時にヨーロッパの市場に売り込もうとした深川栄左衛門の商才には頭が下がります。

裏はもちろん、お約束の明治時代香蘭社のマーク、朱の蘭が・・・

Koransha Egg shell cup 06 smaller

ちなみに、これと同じカップ(有田の名宝に掲載されていたもの)は、
佐賀県有田の香蘭社本店内にある、古陶磁陳列館にあるそうです。

今度里帰りした時は、見にいってこよう!

Category: オールド香蘭社

Thread: いいもの見つけた!

Janre: Diary

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海を渡った深川栄左衛門の輸出皿 

深川栄左衛門が香蘭社を設立したのは1879年のことだったそうです。

幕末の有田焼の流通は、鍋島藩が主導した佐賀商会が取り仕切っていました。
藩から一枚鑑札を得ていた久富氏は、やがてこれを田代紋左衛門へ譲渡し、
その後有田焼の輸出は田代家に独占されてしまいます。
海外で、肥蝶山信甫の輸出伊万里をあちこちで目にするのはこのためです。

ちなみに海外では、肥蝶山信甫銘のものは一般的に質が良いわりに値段はそう高くはありません。
数が多いからでしょうか?
私は集めていませんが、コレクターにとっては嬉しいことだと思います。


肥蝶山信甫は全体的に西洋人向けの大き目の皿や花瓶など大作が目立ちます。
オリエンタリズムを助長するような、侍や元禄の衣装を纏った女性などがよく描かれています。
好みが分かれると思いますが、外国人を魅了したのは間違いないでしょう。

話がそれましたが、その後、田代氏のモノポリは同業者の非難されるところとなったようで、
1868年に鍋島藩の陶磁器輸出を認可する貿易鑑札は10校に増やされ、
その新たな輸出業者の中に深川栄左衛門が入っていた、というわけです。

その彼は、貿易商として初期の時代にどのような商品を海外に輸出していたのでしょうか。
一月ほど前、こんなものが手に入りました。

Fukagawa yellow plate smaller 1

裏を見ると・・・

Fukagawa smaller 5

日肥山とは、日本国肥前皿山の陶磁器という意味です。深川が造った、と記されています。

近現代肥前陶磁銘款集によると、この銘はどうやら深川栄左衛門が香蘭社を起業する以前の
1860年から1870年代にかけて使われていたもののようです。
肥蝶山と日肥山は同じ意味ですが、後者の銘は前者ほどは多く使われていない
とのこと。蘭マークは入っていないので、香蘭社設立前、と考えていいようです。

Fukagawa smaller 3

それにしても、写真ではわかりにくいかもしれませんが、このお皿はきちんと手描きしてあります。

Fukagawa smaller 4

この写真のほうがわかりやすいかもしれませんが、なんというかゴッホの絵のように、
”絵の具(??)を使った!!!”感があります。気合が入りすぎて、
色が浮いているのがお分かりいただけると思います。

図柄はおそらく、この時代西洋を魅了していたチャイナを模したものだと思われます。
西洋の市場に入っていくのに、まずは売れ筋のチャイナを造ったのは、
商才のある深川栄左衛門ならではの戦略かも・・・

それにしても、このお皿チャイナを模したとしても雑に造られた感は否めません。
初めて見たときは贋物かと疑ってしまいました・・・

皿の底は二重高台になっています。当時の有田の陶石は天草陶石などに比べると柔らかく、
小さく薄い皿をつくると真ん中が中央にせりあがったり、このお皿のように中央がへこんだりしたそうです。
このお皿も横からみると・・・

Fukagawa smaller 2

さらに真ん中は二重高台にしてあるため、ちょっとへこんでいます。

美術的な価値はない皿ですが、明治の初め、海外の資本市場の世界に飛び込んだ日本人貿易商の
意気込みがなんとなく伝わるような気がします。

イギリスからの掘り出し物でした。

Category: 深川栄左衛門

Thread: いいもの見つけた!

Janre: Diary

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すべてはここから始まった! 

それは3年ほど前のことでした。

日本に里帰りの折、長崎を訪れました。
市内をぶらぶら観光中、諏訪町中通の某骨董屋を覗いてみると、
深川製磁や香蘭社の大型の花瓶がならんでいました。
大正時代から昭和前期くらいのものばかりで、烏瓜をモチーフにした金襴手の
ものや、鹿に紅葉といった古典的なテーマのものが置いていました。
見ているうちにほしくなりどちらにしようか迷っているうちに、おばさんが出てきて勧めてくれたのがこちら。

Blue flower vase

ひときわ目を引く染付の花瓶、おばさんいわく、”深川やなかとやろか・・・”

確かにそういわれてみれば・・・深川製磁のお店には、これに似た青地に白い牡丹のものが・・・

聞くところによると、長崎市内の旧家から出てきた代物だそうです。
時代はおそらく幕末だろう、ということですが、悲しいかな銘がない。
でもなぜか心惹かれたので買うことにしました。

その後、いろいろと調べましたが、いまいち素性がわかりません。
幕末の鍋島や平戸にも似たような、でも微妙に趣が違う花瓶やお皿があります。

しかし・・・深川八代目の栄左衛門は近現代肥前陶磁銘款集によると、青花の逸品を造ったという事だし、
その息子たちが引き継いだ香蘭社と深川製磁はどちらも明治、大正にかけて鍋島、平戸、有田の逸品を
写しながら自分たちの商品デザインに取り入れています。深川栄左衛門が同じように写しをしながら作品を造ったのかも。


どなたかこの花瓶の素性をご存知の方がいたら教えて・・・、あ、でも真実を知るのはやっぱり怖いかも。
でも、こういう素性がわからず、あれこれ調べて思いをめぐらしていることが楽しいのかもしれません。

Category: Category: None

Thread: いいもの見つけた!

Janre: Diary

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ブログはじめまする 

はじめまして。
今日からつれづれなるままに、ここ数年興味のある江戸時代や明治時代の陶磁器について書きたいと思います。
骨董が好きです、と言いたいところですが、そう名乗ってしまうには素人すぎる気がします。
まだまだわからないことばかりですが、好きなもの、心惹かれる器のことを書きながら、同じものを好きな人たちと
知り合えたらいいなと思います。

Category: Category: None

Thread: ♪ヾ(。・ω・。)ノ゙

Janre: Diary

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