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肥前陶磁器あれこれ~

オールド香蘭社、オールド深川、古伊万里、平戸焼などを集めています。

 

唐子人形のオリジナル ~柿右衛門・色絵唐子人形笛~ 

今年は柿右衛門の当たり年です。o(^▽^)o

所謂濁手のものから人形まで、広義において柿右衛門と呼ばれるものは
海外の骨董ファンには垂涎の的ですが、今日はその柿右衛門の中でも
珍品中の珍品と言われるものを紹介しましょう。

それがこちら。
kaki boy 1

これが柿右衛門?血迷ったか?などと思わないでくださいね。
その反応こそ、これが珍品中の珍品と言われる所以です。(^∇^)

ヨーロッパではよく知られた柿右衛門の唐子形笛、実はなんと
あのロンドンのVictoria and Albert Museum も所蔵しているんですよ。
「そんなの、うそだっ!」と思った方、
こちらのリンクでどうぞ。

嘘じゃないよヾ(・∀・)ノ

kaki boy 2

ヨーロッパの文献によると、この柿右衛門の唐子形笛は1700年頃に作られたものですが、
もとは東インド会社が中国の徳化窯に発注したオランダ人形の笛をまねて
作られたものなのだそうです。

柴田コレクションにも、これと似た唐子形笛がありますが、
柴コレのほうはオリジナルの柿右衛門とは微妙に形が異なります。

オリジナルの唐子は両手で頬杖をつき、体全体が曲がっていますが、
柴コレの唐子は両手を前に出していて、体はまっすぐです。
実は、柴コレの唐子形笛はここで紹介している柿右衛門の唐子形笛の
江戸時代の復刻版で、制作時期は柿右衛門より100年ほど遅れます。

日本で見かける唐子形笛のほとんどは、この復刻版ではないでしょうか。
柿右衛門のものはもとは東インド会社からの発注によって
ヨーロッパ輸出向けに作られたもので、文献によると数もそう多くないそうですので、
日本で見かけないのは当然です。

kaki boy 3

さて、唐子の人形というと、平戸焼を思い出す人も多いことでしょう。
以前三川内のとある有名窯元さんにお話を伺った折、
話のタネにこの柿右衛門の唐子形笛をお見せしました。
すると興味深いことに、窯元さんご夫妻はこれは平戸焼だと思われたようで、
お手持ちの平戸焼の唐子をこの柿右衛門の隣に並べました。

平戸焼と柿右衛門というと、前者は上品な染付で、後者は
言わずと知れた色絵の元祖で知られていますが、両者とも肥前においては
唯一人形などの細工物を作っていた窯でもあります。

唐子の人形は、実は柿右衛門がオリジナルですが
それをさらに美しく成形したひねりものに発展させたのは平戸焼です。

kaki boy 4

唐子の足に口をつけて吹いてみると、ピロピロと可愛い音がします。
キュート!

kaki boy 5

細工物としては、 後年造られた平戸焼の足元にも及びませんが・・・

kaki boy 6

笛としてちゃんと機能する細工物を1700年に作った、というところに
意義がある!?(・Д・)ノ

いや、それ以前に柿右衛門はやっぱり柿右衛門。
小さくても、「ん???」と思わせるものがあります。
この存在感、やっぱりスゴイ。

kaki boy 7

平戸の細工物の唐子人形は、土の配合のせいでしょうが、これとは
比較にならないくらい精密に作られています。
細工物、というとマイセンなどが頭に浮かぶ人もいるかもしれませんが、実際精巧さという面で
平戸との比較に耐えうるのは中国の景徳鎮と徳化窯しかないと思います。

kaki boy 8

さて、精巧さという面ではイマイチの柿右衛門ですが、
こうした作品を作っていたことを鑑みると、
「柿右衛門」というブランドのつくった製品の、なんとバラエティに富んでいることか!
肥前磁器の源は、有田の陶山神社ではなく南川原ではなかったのか、とさえ思えます。

kaki boy 9

柿右衛門、知れば知るほど奥が深い!
やっぱり柿右衛門は凄いです。


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Category: 古伊万里

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古伊万里の名品 ~色絵貼付牡丹菊梅鶏文瓢形瓶~ 

NYのマンハッタン、52番街あたりはロックフェラーセンターやらMOMAなど
NYの中でも文化的な見どころの多いストリートです。
当然、この一等地には昔からある骨董屋なども軒を連ねています。

骨董屋といっても、ここで言う骨董屋というのは並みの骨董屋ではありません。
なにしろ20世紀には世界の富が集まる中心地であったNYの真ん中に軒を構える店達ですので
そのコレクションたるや、〇〇世紀の食器セット200点で4000万円等、
家を買うか、骨董を買うか、というレベルのものばかりを扱う店ばかりです。

さて、そんな足を踏み入れるのも躊躇われる名店で、最近素晴らしいお宝を
手に入れました。
し・か・も・・・・
「エエッツ!」と驚くような値段で\(^o^)/

今年上半期に購入したお宝の一つです。
それがこちら。
色絵貼付牡丹菊梅鶏文瓢形瓶です。

flower 1

古伊万里に詳しい方なら、この花瓶がただ物ではないと
一目でお分かりいただけると思います。

古伊万里、と一口にいっても17世紀後半から18世紀前半までヨーロッパへ
輸出されたものを指しますが、そのクオリティは実のところバラバラです。
高品質のものというのは、やはり元禄の頃の1700年あたりの黄金時代に
造られたものです。この時代の絵付けの繊細さは、古伊万里を下品だと思う人でも
認めざるを得ない出来ではないかと思います。

flower 2

この手の古伊万里で繊細な絵付けというのも貴重ですが、
この花瓶の特徴はなんといっても、この時代だけ造られた細工です。

花瓶の胴の窓絵の部分に牡丹の細工がしてありますね。
ヨーロッパに輸出された古伊万里は、18世紀前半の頃までに限り
細工をあしらった装飾品が作られました。「この時代に限り造られた」というのには
おおよそ理由があるのですが、それはさて置き、
このように窓絵に小さい花の細工がしてあるものは極めてレアです。

Christiaan Jorg(Oはウムラート)氏の Fine & Curious によると、このような窓絵の部分を
立体的にして細工を施したものが作られた期間は非常に短かったそうです。
それは手間暇がかかりすぎた為であり、このためこの手の商品は非常に高価であった、とも
説明されています。
中国製の輸出ものにはこのような細工物は全くみられない、と補足されています。

flower 3

絵付けがとても繊細ですね。

flower 4

flower 5

側面。
牡丹
flower 6

輸出古伊万里は下品だと言っている方、
全然下品じゃありませんよ!

flower 7

むしろ・・・イイッ!(^ω^ ≡ ^ω^)

flower 8

さて、この花瓶のもう一つの見どころは、裏面の窓絵細工。
こちらはなんと雄鶏と雌鶏二羽。

flower 9

このレリーフ、いわゆる置上技法で造られたと思いますが、平戸が得意とするこの技法は
この時代有田の輸出品用にもつかわれていました。

flower 10

側面。
牡丹。

flower 11

牡丹の細工、アップ。

flower 12

立体感が良いですね。

flower 13

高台。

flower 15

Fine & Curious より。
数ある図柄から探しても、小さい細工物をほどこしたものは
かなりレアだということがわかります。

flower 14

窓絵にある細工はこの二つの例のみです。

flower17.jpg

さて、気になるお値段ですが、はっきり言うのも下品ですので
まぁ、ルイヴィトンの一番安いハンドバッグも買えない金額だったとだけ
言っておきましょう。

安かった理由はズバリ、ディーラーがこれが18世紀の古伊万里だと知らなかったことです。
ディーラーは、実際これは19世紀、つまり明治の古伊万里復刻版だと思っていました。

そのように勘違いした理由はいくつかありますが、一番の大きな理由は
「古伊万里は高品質でない」という妙な先入観だったと思います。
たしかに美術館で見かけるものでも、古伊万里の品質は柿右衛門や鍋島などと比べると
比較にならないものが多いですし、ドレスデンコレクションでも、
その質はピンキリで例外とは言えません。
しかしいろんな輸出古伊万里を鑑賞して思うのは、
一部の古伊万里にはかなり高品質のものがあるということでした。

この花瓶も、海外の美術館にある古伊万里についての本を見ていなければ
ディーラーの言う通り、「明治の錦手・古伊万里風」だと思ったかもしれません。

もう一つは、NYマディソン街のディーラーなので、古伊万里ひとつにそうそう時間をかけて
調べる暇もなく、安易に「奇麗だから19世紀でいいよね?」という値付けをしたのではないかと
思います。
昨今のチャイナマネーを考えると、古伊万里はもはやNYの骨董商にとっては
ビッグゲームとは言い難いようです。

それにしても、骨董収集は日々戦いですね。
骨董商なんか、なーんも知らんやろ?くらい横着に構えていないと
こういうお宝発掘は無理ですね。
ハハハ・・・

flower 16

(おまけ)
な、な、なんと!モンタヌスの日本史に掲載されたかの有名な
「雲仙地獄殉教の図」。
1669年のものが手に入りました!

shimabaara 1

なつかしー!小学生の頃日本史の教科書で見て、トラウマになりませんでしたか?
子供の時分、ショックで、でも怖いもの見たさで何度もこのページをみた思い出があります。。

穴吊り、とかね・・・

shimabara 2

昨年の映画、マーティン・スコセッシの沈黙、イマイチでしたねぇ~。
やっぱり、アンドリュー・ガーフィールドが合ってないような・・・・
ロドリゴだけど、なんか未成年っぽい。

良かったのは、穴吊りされたリーアム・ニーソン。こういう役、ピッタリですね~!
ダニエル・ディ・リュイスだともっとよかったんだろうけど、まぁ、しょーがねーな。
あと意外と良かったのが、アダム・ドライバー!
初めて見たときは、「こんなブサ〇クがなぜショービズに?」っておもったけど
なんか味があって非常に良かったですなぁ。ガルぺだったけど、主役でもよかったような気が・・・
アダム・ドライバー、( ・∀・)イイ!!

shimabara 3

最近、家の壁に飾る古版画も充実してきたので、こちらもそのうち時間があれば
おいおい紹介していきましょう。

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Category: 古伊万里

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翔ぶが如く (色絵 応龍牡丹唐草文 長皿) 

来年の大河ドラマは司馬遼太郎の「翔ぶが如く」・・・・ではなくて、
林真理子の「西郷どん」‥‥ ( ゚Д゚)ハァ?

せっかく西郷隆盛の話なのに・・・・林真理子の原作とは!
でもまぁ、鈴木亮平が主演だし、俺物語!!よろしく演じてくれるんじゃないでしょうか。
しかも、大久保利通が瑛太とは!
そうきたかー!
野心的な大久保利通を腹黒くも複雑に演じてほしいもんです。

さて・・・・
まぁせっかくなので、「翔ぶが如く」を読みつつ(←まだ終わってなかった!)、
柿右衛門様式の秘蔵っ子でも引っ張り出してみました。

いやはや、珍品いや名品です。

色絵応龍牡丹唐草文長皿 (1680頃)
fd1.jpg

見込みの色絵部分を除けば、そう珍しいものではないかもしれません。
裏銘は渦福。
いわゆる延宝様式のものです。
(詳細は九陶から出ている柴田コレクションVを参考に)

FD2.jpg

初めて見たときは、「なんじゃ、こら?」という感じでした。
延宝様式の図柄はバラエティに富んだものが多いですが
この図柄はさすがに国内外を問わず図録でも見たことがありません。

FD3.jpg

染付のスタンダードな龍と比べると、色絵の応龍は
どことなく西洋風ですね。イギリスなどの紋章を思わせます。

でも調べてみたら、この時代の柿右衛門のモチーフには
ちゃんと応龍は含まれていました。
有名なものは、西本願寺の陶板。
東京国立博物館にも同じものがあるそうです。
応龍は、通常胴体は緑色で翼は緑と青、黄色ですが
珍しいことに、こちらは青の代わりに紫の色がついています。

以前、有田の源右衛門窯の古陶磁館を訪れた際、
17世紀の珍しい色絵の芙蓉手の輸出皿を見たのですが
お店の人曰く、「紫の入ったものは珍しい」のだそうです。
たしかに輸出古伊万里や柿右衛門の名品にも紫が入っています。

FD4.jpg

応龍というのは、古代中国神話に出てくる幻獣の一つです。
もとは中国最初の皇帝といわれる黄帝に仕えていたとされ、
天を掌る黄帝が蚩尤と戦った際に嵐をおこし加勢しました。
しかしこの時の殺戮の罪を問われ、後に中国南方へ追われてしまったそうです。

黄帝というのは、もちろん中原の皇帝(中華皇帝)のもとになった
ものですが、この時戦った相手の蚩尤というのは、実はモン族(ミャオ族)
なのだそうです。
この戦争に敗北し全滅を免れた蚩尤(モン)は、
その後南方の勢力として常に中華帝国を苦しめることになります。
ヴェトナムなどとの中原とのその後の確執がちゃんと説明されていますね。

要はこの神話は
漢族(Self) 対(漢族にとっての)南方の夷狄(Other)という構図を
含んだ中華思想イデオロギー言説のひとつなわけです。

応龍は天上に仕える身でしたが、血の穢れのため天界を追われ、
南方地方に移り住みました。このため中国南方地域には(応龍が雨を
降らせるために)雨が多いのだそうです。

おお!ちゃんとオチがついています!
さすが中国の神話、ちゃんと考えつくされていますね(笑)

FD5.jpg

側面には染付の龍が二頭。
この龍は延宝時代によく見られるものです。

FD6.jpg

三頭の龍が描かれています。
青龍と応龍と理解してよいものか・・・

FD7.jpg

裏面。
この皿、かなり気合の入った絵付けです。
裏まで手抜きなしの仕上がりです。
素晴らしい!

FD8.jpg

銘は渦福。
1680-1700年ごろのもので
間違いなさそうです。

FD9.jpg

高台の鋭利な造りもこの時代ならではです。

FD10.jpg

四方の角にもさらに四頭の青龍が描かれています。

FD11.jpg

それにしても、この時代のものはどんなものであれ
完成度が高いですね。

FD12.jpg

柿右衛門の名品などは、持ち主が代々大切に扱ってきたことは
容易に想像がつきますが、こんな小さな皿が、よくもまぁ300年も
素性も知られず、捨てられもせずに生き延びたものです。
西洋的な応龍の魅力のためなのかはわかりませんが、
今日まで割られもせずに持ち主に大切に扱われ
よくぞ無事に我が家へ来てくれた、と感謝する思いです。

大げさか・・・(*´_ゝ`)

FD 13

実は応龍の存在を最近までしりませんでした。
昨年末九陶に別件で行った時に、学芸員さんに
「あ、これは応龍ですよ」と教えて頂きました。

日本の文化を読むのには、中国の文化リテラシーが必要だなぁ、と
痛感する今日この頃です。

次回、嬉野の名窯の品を紹介します。
すぐですっ!(汗)

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今年の収穫 (染付楼閣山水文ケンディ) 

2016年も、もう年の瀬を迎えました。
皆様にとっては、どんな一年でしたか?

我が家は、一応みんな無病息災で無事一年を過ごせました。

さて、今年は骨董のコレクションのほうも
かなり収穫のあった年となりました。(あくまで主観ですけどね)

今週末の日本里帰りまでいくつアップできるか
わかりませんが、今年手に入れて嬉しかったものを
紹介したいと思います。

まず第一弾はコレ。

ついに、ついに憧れのケンディを手に入れることができました

o(^▽^)oヤッター!

kendi 1

いつもながら写真がイマイチですが・・・
呉須の発色の良さが際立っております。
1670-1690年頃のゴールデンエイジに作られた
高級輸出用のケンディです。

kendi 2

ケンディというのは、17世紀から18世紀にかけて
オランダの東インド会社から有田へ輸出用に注文された注器で、
乳首型の注口が特徴です。

古伊万里ファンとしては、色絵陽刻松鶴文三足注器同様、
ぜひ死ぬまでにコレクションに加えたいものの
一つだと思うのですが、これまでなんとなく二の足を踏んでいました。

ケンディというのは、基本的にお金さえ出せば手に入れられるものです。
非常に人気のあった輸出商品のため、オランダやイギリスの骨董屋では
かなり高い確率でお目にかかれますし、今日はネットでも販売していますね。
贋物を掴まされる、などという心配はあまりしなくても良いでしょう。
イギリスやオランダのディーラーが売っているものは本物がほとんどです。
ただし、ケンディは中国製や東南アジア製のものがあるので
注意が必要です。

まぁ、そうはいっても所詮ケンディはケンディです。
九陶やOliver Impey, Christiaan Jorg (Oはウムラート)の
文献を見ていれば、自ずと本物はわかるという
言ってみれば、種も仕掛けもないものです。

ただ食指が動かなかった理由の一つに
実はそのデザイン性がありました。
というのも、輸出されたケンディの大半は
中国・明時代の写しというのを基本に作られていますので
たとえ延宝、元禄の頃のものであっても、当時の
有田の素晴らしい技術が生かされていないように
思えるわけです。

しかも、値段だって10万は下らないので、ブランドであろうが’
なんだろうが、そうポンっと買えるものでも
ありませんしね・・・(。-_-。)

躊躇するのは当たり前の代物なのでした。

kendi 4

・・・と、うだうだ思っていたところ、相方が
「オイ!このケンディ本物だよ!珍しいなぁ!」というでは
ありませんか。

二人とも一目で、「お?本物じゃん?」と思ったのは
NYメトロポリタン美術館の所蔵の有名な蓋つきの鉢が
頭に浮かんだからでした。

お値段も、まぁまぁ手頃。
クリスマスプレゼントとか
なんとか言って買えそうな値段です。
ヴィトンより全然安いぞ!o(`ω´ )o

買い手がついていないのは、あまり見慣れないタイプの
図柄だったからではないかと推察されます。
とにかく購入するに至りました。ヽ(´∀`)ノ

kendi 3

日本の古伊万里文献ではあまり見かけませんが、
実は17世紀後半の輸出古伊万里の中には
いわゆる芙蓉手などとは一線を画する山水や楼閣の描かれた
高級磁器があります。
これらは、イギリスやアメリカ、オランダなどの
一流の美術館に所蔵されているものがほとんどで、
蓋つきの大型の鉢や花瓶などが主流です。
ヨーロッパを当時魅了したBlue & White の典型と言って
良いでしょう。

kendi 5

近影。
山水画です。
ぼかしダミの技術が生きています。

kendi 6

首の部分。
本体の絵付けに比べ、首の部分の絵付けは
その他の芙蓉手などと同じレベルの、実に雑な
絵付けです。

部分によって、異なる職人が絵付けをしたと
思われます。

kendi 7

こうしてみると、絵付けの技術の差は歴然(笑)ですね。

kendi 8

さらに近影。
一般に、染付楼閣山水文と言われる絵付けで、
Oliver Impey 師匠(!)によると、狩野派様式といわれる風景画なのだとか。
この様式は、当時のヨーロッパ市場では非常に人気が高かったそうです。

上の写真の右下の橋をご覧ください。
一筆ですらりと橋を書いてしまうとは!
これぞ職人技!
恐るべき技術です!

kendi 9

楼閣。
kendi 10

あああ…クリスマスツリーの飾りが
反射しています~!(涙)

kendi 11

柳。

kendi 12

この手の高級輸出用ケンディは、正直まだ見たことがありません。
東京国立博物館に似たものがあるようですが、
絵付けの出来は格段に劣るものです。

kendi 13

しかし、ケンディをもしお探しの方がいたら
こういう図柄の高級磁器もあったということも
是非知っておいてほしいと思います。

日本の骨董を扱う人の中には輸出古伊万里に対する
妙な偏見があって、「国産用に比べると品質は格段劣る」などと
いう人もいるようですが、実際は柿右衛門だけでなく
染付古伊万里の中にも、こういう品の良い作品がヨーロッパに向けて輸出された
わけです。

骨董収集というのは、大学受験の数学の問題を解くのと似ているように思えます。
ある一定のレベルを超えると、あとは似たような問題を以前解いたかどうかに
関わってきます。つまり、情報量の問題なわけですね。

kendi 14

Metropolitan Fine Arts Museum Oriental porcelain より。

kendi 15

Barry Davies Oriental Art より。

よく「骨董は実際に見て、手に取ってみないとわからない」などと言われます。
それはその通りですが、それ以外に骨董を知る方法がないわけでもありません。

イェール大の教授であり優れた骨董コレクターでもある友人に言わせると、
実際はどれだけの本を読んで勉強したかが大切なのだとか。
まぁ、こちらは学者ならではの見解ですが、
要は、情報量の多さがコレクターにとって、大切な要素の一つなのでしょうね。

(おまけ)

メリークリスマス!!!

Xmas tree 2

クリスチャンじゃないけど、クリスマス大好き!

Xmas tree 3

今年のクリスマスは、飛行機の中だけど。
サンタとすれ違うかな???

(´∀`*) なんつって・・・

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長崎を想う(輸出伊万里・染付西洋風景文皿) 

あっという間に11月も半ば。
なんと二ヶ月近くも更新していませんでした。
遂にネタ切れか?と思われたかもしれませんが
単に超多忙だったわけでした。

10月は子供二人の誕生日会。アメリカですので
家でちょっと料理して、ケーキをだしてというわけにもいかず
遊具施設を貸切でバースディ。アメリカ人は結構みんな
バースディパーティをどこかを貸切でやるんですが、
子供が多い人たち、破産するんじゃないのかな??

それが済むと、日本語学校の運動会、ハロウィーン、そして
ついに日本にいる両親、初訪米!
両親のためのゲストルームを準備したり、あちこち観光にいったり
楽しかったけれど、いや、もうクタクタです。

そ・し・て・・・・
まさかの結果が待っていた大統領戦。
いや~、旦那はショックで選挙後は5日ほどニュースも見ず、
BBCも読めない廃人状態に・・・(´д⊂)
「トランプがさぁ・・」と話しかけても、
「ラララララ~」と歌って、逃げていく始末。

まぁなぁ、神聖ローマ帝国もといアメリカ帝国、
終わりの始まりとでもいいましょうか・・・
大変なことになりました。それにしても、教養のない人は
なぜ己の利益に反する選択をするのでしょう・・?
ま、これで将来的に赤の州には絶対に引っ越せないなぁ、
死んでもこの夢の州に留まらねば、とか思ったのでした。

しかし、結果の出た後で悔やんでも仕方のないことですが
「こうなる前に何をすべきだったのだろう?」と思います。
やっぱりもっとアクティブに政治活動しなければいけなかったのかな、と
思いました。後悔しきりです。

まぁ、しかし覆水盆にかえらず。こぼれたミルクを嘆いても無駄だ!
というわけで、気を取り直して、今日は輸出・古伊万里の自慢の一品を
紹介することにしましょう。

こちらです。

kaei 1

以前1680年頃の西洋風景の輸出古伊万里について記事を書きました。

ヨーロッパの学術会で所謂「出島」と呼ばれるこの西洋風景画のついた
古伊万里は、東インド会社(VOC)特注の製品として知られています。
「西洋風景」のもとになった図柄は、当時オランダで人気のあった、
Scheveningenという猟師町を描いた版画からきており、
これをもとにデルフトがFrijtom Styleと呼ばれる製品を作りました。

それと同じようなものをオランダが有田にVOCを通じて注文したのが
今日の長崎・出島から今も発掘されている、「出島」と呼ばれる皿なわけです。

kaei 2

「出島」あるいは「デシマ」と呼ばれる皿ですが、当然出島を描いた皿ではありません。

kaei 3

1680年-1700年頃のものと思われます。
呉須の発色が素晴らしいですね。
落ち着いた藍は、この黄金時代ならではです。

kaei 4

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kaei 6

以前、某学芸員の先生と話した時、この方の専門は古平戸および輸出古伊万里なのだそうですが、
嘉永の「嘉」の銘がついた皿は、この時代のものの中では高級磁器なのだと教えてもらいました。
出島と呼ばれる皿は、その歴史性からコレクターの間では人気アイテムなのですが、
これも先の西洋風景皿同様、高くつきました。
でも、Christiaan Jorg やOliver Impey などの本には必ず説明つきで出てくるものなので
どうしても欲しかったんですよね~。

輸出古伊万里はいくつか持っていますが、染付のVOC関係の皿は
それよりももっと魅力を感じます。

kaei 7

kaei 8

こちらは、Christiaan Jorgの名著、 Fine & Curiousから。
輸出古伊万里ファンにとってはマストな本です。
(* ´ ▽ ` *) 素晴らしい!

kaei 10

kaei 9

皿のデザインですが、当時流行ったOlfert Dapperの版画などの図柄も
混じっているのではないかと思います。
これは中国の風景。

しかし、こういうのもなんですが、彼は一度もオランダ国外へ出たことがないのに
アフリカだの中国だのの風景を出版しているわけですねぇ。
東洋やアフリカへの興味が尽きない大航海時代ではあったわけですが
こうしてオリエンタリズムの言説が構築されたわけです。

kaei 11

この図柄の皿は珍しいです。
通常美術館や本などで見かけるもののほとんどは
同タイプの茶碗です。
余談ですが、出島シリーズは、エリザベス女王時代に建てられた
かの有名なBurghley Houseのコレクションにもたくさん含まれています。
このコレクションの本も、The Burghley Porcelain というタイトルで購入可能ですよ。
1680年頃の輸出古伊万里がたくさん見れます。

kaei 12

kaei 13

地震が多いカリフォルニアでは、磁器のコレクションは無謀かも。
でも、一応家の中で一番安全そうな(?)キャビネットに入れています。
ははは・・・

kaei 14

(おまけ)
輸出古伊万里に興味が出てくると、自然と
その時代のヨーロッパの文化にも興味が出てきます。
あくまで、West meets East もとい East meets West という視点からなんですがね。

版画のほうも、家の中を飾るという目的で収集することにしました。
変な複写にお金をだすよりは、古い歴史を語る本物を飾るほうが
良い気分です。

今日は、こちら。
Jacques-Callotによる1627年出版。(複写ではありません)。

1597年の長崎西坂における二十六聖人の殉教の様子です。

26 saints 1

この東洋におけるキリスト教迫害が、ヨーロッパ人にとって
いかに衝撃だったかを物語っています。

26 saints 2

上空には、大天使ミカエルが殉教した信者を
迎えに来ています。

26 saints 3

来年は、やっと(!)マーティン・スコセッシの映画「沈黙」が
上映される予定ですね。窪塚くんがキチジロー、とか
一体どんなキャストじゃ?若いころの香川照之にやってほしかった、とか
フェレイラ神父は絶対にダニエル・ディ・リュイス(ルイス)を!とか
贅沢をいっても始まらないけどねぇ。ま、マーティン・スコセッシだしね・・・

それにしても、台湾とかじゃなくて、ちゃんと外海とかで撮ってほしかったなぁ・・・(´・_・`)
遠藤ファンには、ぜひあの外海の海を見て欲しいですね~!
訪れる度に、なぜか胸が締め付けられます・・・

まぁ、長崎教会群も世界遺産を再び目指すそうですし、故郷の長崎にとって
来年は良い年になってほしいなぁ(」*´∇`)」

26 saints 4

ネタは切れておりませんよ。
まだまだ輸出古伊万里お見せします。
お楽しみに~!

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Category: 古伊万里

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